【水星の魔女】プロスペラの復讐って?「私たちの娘」と「私の娘」、それぞれの「欲しいもの」<超個人的雑記>

夫の仇として、プロスペラ(エルノラ)の復讐の対象と思われがちだったデリング。ですが、プロスペラの本当の目的は、別なところにあるようです。
何も結論が出ていませんが、プロスペラの復讐やエリクト、ルブリスAIのこと、また14話を見て感じた「欲しいもの」というキーワードについて、徒然なるままに書き出していこうと思います(自分の考察のために)。



プロスペラの復讐って?

ナディムの遺志

デリングの殺害が目的でないとしたら、と考えて思い至ったのは、ナディムが最期に願ったこと。
「エリクトとみんなのために生きてくれ」という遺志です。
この願いを受けて、エルノラはその場でナディムと共に戦うのではなく、戦線を離脱することを選びました。
そのエルノラが、彼の遺志を無視して、単純な復讐(デリングを害すること)に人生を費やすだろうか……そうは思えない、と感じました。

みんなの願いとは

バナディース機関のみんなの願い、ひいてはカルド博士の願いでもあると思うのですが、それはGUNDが分断と格差をなくすこと。つまり争いをなくすことです。
エリクトとみんなのためにと言われたエルノラは、この願いを成就すべく行動してきたのではないでしょうか。

「ゆりかごの星」では、「お母さん」は「見ててね、みんな。私たちの娘が、仇をとってくれる!」と言っています。
私たちの娘は、プロローグでカルド博士が「みんなの子ども」と表現しているので、ルブリス……厳密に言えば、ルブリスAIを指していると考えます(娘、と表現しているので、エリクトのことも意識しているかもしれませんが……)。
鍵となるルブリス完成を待たずに否定された、GUNDによる争いのない世界。それを実現させることが、エルノラにとって仇をとる、復讐という意味になるのでしょうか。

まだはっきりしない、スレッタの役割

14話のプロスペラの話によると、エアリアルは、クワイエット・ゼロが実現する新しいネットワークを起動するためのトリガー。
その最適化のために、エアリアルとスレッタは生き死にに繋がらない「決闘」システムのあるアスティカシア高等専門学園に送り込まれたようです。

たしかに、それによりエアリアルのパーメットスコアは上昇しました。
ですが、スレッタの役割が、単に「エアリアルのパイロットであること」なはずがありませんよね。
なぜエリクトと似ているのか。なぜスレッタなのか。
プロスペラは、スレッタとミオリネを結婚させようとしている(もしくは、結婚でなくても強固な繋がりをつくろうとしている)と感じるので、二人が揃わなければならない理由も、まだ隠されていると思います。

デリングに復讐しないわけではない、かも

デリングを直接害するつもりではないにしても、何かしらの復讐をしようとしている可能性は、もちろんゼロではないです。
ノートレットの発案で、デリングの計画だとプロスペラはミオリネに話して、引き継いでほしいと伝えていましたが、なんか、何となくなんですけど、「最初からミオリネを計画に巻き込む方向で狙ってない?」って思っちゃうんですよね。
どうなるんでしょう……ミオミオ……。

エリクトの意思は?

私たちの娘

前項で挙げた、仇をとってくれる「私たちの娘」は、エリクトやスレッタではなく、開発スタッフみんなの子どもだったルブリスAIを主体として示す言葉です。
ルブリスとエアリアルが同一機体なのかは明確に言及されていませんが、この発言から考えると、同じ機体なのでしょう。

「ゆりかごの星」はエアリアルの視点で描かれています。
このエアリアルの意識が、あとから融合したエリクトなのか、元々機体にいたルブリスAIなのか、あるいは双方が一体化したものなのかは定かではありません。
ですが、少なくともエリクト単体ではないと考えています。
ライブラリのコミックがフィクションだとか、少し古いだとかいう情報は、エリクトにはわからない話でしょう。

そのエアリアルは、プロスペラに対して「(復讐に)スレッタを巻き込まないで」と願っています。ですが声は届きません。
エアリアルにそういった、もしかしたらエリクトと融合した意思があることを、プロスペラは認識できていないのです。
プロスペラにとって、「私たちの娘」であるルブリスAIを登載したエアリアルは、やはりモノなのでしょうか。

エリクトはずっと認識されていなかった?

プロスペラは、9話でエアリアルがパーメットスコア6となったときに、涙を流していました。
クワイエット・ゼロが完成に近づくということもあるでしょうが、私はあれは、エアリアルの中のエリクトを感じて流した涙だと思っています。
プロスペラは、エリクトがデータストームの向こうの世界に行ってしまってからは、エリクトの存在すら認識することができなかったのではないでしょうか。

これは、もしかしたらスレッタにも言えることなのかもしれません。
ずっと家族としてスレッタと直接触れあってきたのは、主にルブリスAI。エリクトはデータストームの向こうにいて、明確には捉えられない存在。
存在を感じてはいるけれど、ルブリスAIを通してしか感じられない、といったところではないでしょうか。
第9話でルブリスAIがアンチドートによってダウンした結果、初めてエリクトを明確に捉えることができたのだとしたら、「よかった、いたんだ」というスレッタの言葉は、ずっと感じてきたエリクトと初めて直接交流し、その存在を確信したということだったのかもしれません。

欲しいもの

エリクトが、意思をもつ存在として認識されてこなかった、あるいはその意思を知る術がなかったのであれば、プロスペラが14話でベルメリアに言った本当の目的「エリィが幸せになるために」は、エリクトの意思とは無関係に、「プロスペラが欲しいもの」ですよね。
14話は、この「欲しいもの」がキーワードだったように思います。

今回は、ソフィの「欲しいもの」を手に入れるためには殺人をも厭わないという考えをぶつけられたスレッタが、その価値観を否定しようとして、自身の12話での行い……ミオリネを救うために人を殺害してしまった行為を思いだし、自身の矛盾にぶちあたる回でした。

誰かを守るために、誰かを害すること。それは、善悪だけで判断できるものではありません。
その判断の根源に、何かを欲しているある意味傲慢な自分がいるということに、スレッタは今回気付くきっかけを与えられた(望まぬ展開で……)のですね。
それはすなわち、自分という存在がそこにたしかにあることを知る、ということでもあるでしょう。無色な自分ではないのです。
これからスレッタは、改めて自分と向き合っていくのだと思います。

そしてまた、人殺しの道具ではないはずのエアリアルが、どうして武器を持っているのか。母がそれをつくったのはどうしてなのか。
スレッタの中で、絶対善であったはずの母親の存在とエアリアルが、大きく揺らいだ回でもありました。
この辺りのことは、別な記事でまた徒然なるままに書き出そうと思います。

余談:エリクトは成長している?

エリクトは、データストームの向こうで、何を感じ、何を思っているのでしょうか……手を伸ばすソフィに手を差し伸べるエリクトの様子は、今まで描かれてきたエリクトからは想像できませんでした。

6話でエラン(4号)は手を差し伸べるような子どもの姿を見ました。あのときは、子どもたちの笑い声のようなものが聞こえていました。
でも今回ソフィに手を差し伸べるエリクトは、そんな無邪気な子どもではありませんでしたね。
また、6話時点の姿形に比べて、14話で登場したエリクトは成長……大きくなっているように見えました。

推測の域を出ませんが、9話でスレッタと繋がるまで、エリクトはずっと取込まれた時の純粋無垢な子どものまま、別の世界を漂っていたという可能性もあるのでしょうか。
それが、9話以降はスレッタを通して外界と繋がったことで、意識体でありながら成長しているのかもしれない、などと考えたりもしています。


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