りべるたん崩壊の具体的要因

りべるたん崩壊の具体的要因について、私見を述べます。

1 はじめに

りべるたんについては、少し前に抽象度の非常に高い総括文を公開しました。これでおしまいでいいだろうと思っていましたが、考えが変わりました。自分が仮に20代前半だったとしたら読みたいのは、こんなポエティックな文章ではないと思ったことが最大の理由です。

私が大学に入学した時代(2007年)、首都圏の多くの大学が自治空間(各サークル棟、学生会館など)が破壊されて喪失感・敗北感がキャンパスに漂っていました。

ここでいう自治空間とは何かというと24時間学生が自主管理している空間です。簡潔に言うと24時間サークル活動や研究活動ができて、寝泊まりすることもできる空間です。今から考えると夢のような空間が大学の中にありました。

2000年代後半に大学に入学した少ない人が先輩から大学の自治空間の黄金時代を語られた経験があるはずです。2010年代前半のシェアハウスの乱立および人の流入は、自治空間の憧れを大学の外に小さいながらも実現したという文脈で語ることもできるでしょう(ここで語るりべるたんは多分にそういう空間です)。

学生時代の私は自治空間がいかに素晴らしかったのかという話にももちろん興味がありました。それと同等に「なぜ駄目になったのか」にそれ以上に強い関心がありました。実際に学生時代にOBの方にインタビューしたものをまとめたりなどもしています(今読むと文章が下手くそすぎて恥ずかしいですが、法政大学のことを中心にまとめています)。

しかし、どれだけインタビューをしてもその核心には触れることができなかったというのが結論です。

ここでりべるたん崩壊の具体的要因について述べるのは、「どれだけ楽しかったのか」という憧れの提供同様に、「なぜ駄目になったのか」の提供も大きな意味を持つだろうと思ったからです。そういった文章を残した方が、今後何かしようという若い人のために多少でもなるでしょう。


本文章は途中から有料での提供となりますが、それはこの文章で儲けを出したいからではなく(多少儲けがでればもちろん嬉しいですが)、政治おじさん等々の邪悪な人類の飲み会のネタとしてただ消費されるのを防ぐためです。

28歳以下で全文を読みたいという人は、ツイッターもしくはフェイスブックのDMで私に連絡をください(追記 ツイッターの場合は文書ファイルを送れないようなので、メールアドレスを添えて連絡をください)。プロフィールや投稿の内容を見て28歳以下だとわかりましたら、無料で全文をお送りします。


2 りべるたんシステムの概要

りべるたんがどういう場所だったか、どのように運営されていたかの概要は色々な方が各所で文章を書いているのでここでは割愛します。

ところで多くの局面で自治、自治と当たり前のように言っていますが、自治とは一体なんなんでしょう。りべるたんの場合は大きくは3点の要素があります。

・お金を工面して金銭面を安定させること(以下、財源)
・運営内部の人間関係を調整してクラッシュさせず楽しい場所にすること(以下、人間関係)
・政治弾圧への対応(以下、弾圧対応)


です。弾圧対応はりべるたんの特色ですが、その他2つは大体の自治組織で重要なことではないでしょうか。

これらは私が運営の主体(具体的には2012年~2017年3月末まで)だったほぼすべての期間で

・財政(菅谷ー宮内君(現えらいてんちょうさん))
・人間関係(菅谷ー吉岡・森君)
・弾圧対応(菅谷ー増井君)


というラインによって担われていました。

この3点に加えて

・イベント開催などで外部からの新規層の獲得(以下、営業)

こちらも面白い場所であり続けるために重要です。
この点で特に尽力したのは東洋鍋子さん、よしけんさん、和田君の3者がいます。この3者がそれぞれの時代に新規層獲得の主体となっていました。

りべるたんは「みんなで話し合ってみんなで決める」ということを重要視していました。しかし、だからといって全員が同等の能力を発揮していたわけではありません。居場所の維持のために絶対に必要な上記3要素(プラスαの1要素)があり、これらの分野で強い影響力や実行力を持つ人がいました。

強固な組織であれば、明文化したり上下関係をつくり、それを明確にします。明確にしない場合もあり、そのひとつがりべるたん運営です。そして最近理解しましたが、明文化されない場合は人によって見えたり見えなかったするようです。

自治だなんだといっても、土台においては複雑なことはありません。そしてそれは少数の中枢を担う人物で賄えます。複雑でないし少数でも担える、でも誰にでもできることではない。こういった必要なことが「見える力」、それを「遂行する力」が必要です。


りべるたん崩壊は、

・能力を持っている人に対してのリスペクトを欠き、文字通りの「みんなで話し合ってみんなで決める」の一構成員としてしか捉えずに、能力者の流出が続き新たな有能人物も確保できなかったこと。

・「見える力」「遂行する力」を持っている人が運営員でいなくなってしまったこと

が離れた視点からの理由になるでしょう。


では、それがどのようにして引き起こされたのか。視点を近づけて具体的な出来事を次項から記します。

「なんだ、そんなつまらないことか」という事実が並びます。
ただ、これは20代くらいの人がこれまでも、これからも作る何かしらの自治組織の崩壊に通ずる点があるだろうと私は思います。

特殊な経験を積んだ人、よほど頭がよい人は少数です。
(私もあまり人のことを言えませんが)20代前半は知識・経験のいずれか、あるいはその両方が不足している人が集団の大多数になります。しかし、同年代の友と、同志と、集団を形成して理想に向けて邁進できるのは20代前半まででしょう。

20代前半までしか未知の領域に向けて、理想を掲げた集団で船をこぐことはできません。

権力によって潰された組織は非常に少なく、大体は自滅です。自滅の可能性を下げ、少しでも遠くにいける道しるべのひとつになってくれればこれ以上に嬉しいことはありません。


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