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「DaysGone」レビュー(ネタバレなし)

あるゲームとの共通点から見る、本作が「凡作」とされる理由についての考察と、自分の中で当作品が秀作たる所以。

ついでに今後の要望。

ネタバレなし。

疲れた。長かった。やっと終わりか。

クリアした感想は「疲れた。長かった。やっと終わりか」だった。このゲームはなかなかに気力を使う。

戦闘中は常に転がり続けることになるし、バイクで走る時は常に前方の木々、後方の狼、燃料タンクの残量を気にしなければならない。

ここまで指を離せないオープンワールド(以下OW)は初めてだ。

しかし、クリアしたにも関わらず(さらにコレクタブルアイテムの収集リストに空きがあるにも関わらず)再びニューゲームを遊びたくなっている自分がいる。
理由を考え、全てのプレイヤーが同じ考えを持てないだろう事も理解した。

これは楽しませてくれるゲームではなくて、楽しむゲームなのだ、と。

楽しむゲームなのだ。

クリア後にこのゲームをどう分類したものかと考えた折り、果たしてこれがカジュアル向きかコア向きなのか今なお決めあぐねている。
フォーカスモードでなければ難しい射撃や、やや厳しいバイクの燃料管理とスタミナ管理といったコア要素はゲームに緊張感と、反対に窮屈さをももたらしていると感じた。

上で述べた窮屈さというのは然り「バフアイテムの使用を推奨、マップでの寄り道の必然化(FTの制限)」である。しかしこれは短所だろうか?
私がOWに必要だと考えているのは「探索の意義」だ。
これらはマップの探索に意義以上の存在を与えている。世界を楽しむと同時にゲームを優位に進められる訳だ。

先の「楽しむゲーム」という言葉はここで使われる。
ストーリーをすぐ進めたい気持ちは良く分かる。だが寄り道を挟めば強力な爆弾や薬を余分に持ち込めるだろうし、物語の背景も味わえ、プレイの緩急も楽しめるのだ。

これだ。
この姿勢が必要なのだ。

(但し姿勢を強制させる事自体は好ましくない)

ゲームプレイが単調である?

話を区切るが、このゲームが世間で凡作扱いされている点に言及したい。
ここでは一意見として、IGNさんのレビューから言葉を拝借させて頂く。

回想メインのストーリーが飲み込みづらい。
イベントの種類が乏しい。
ゾンビゲームとしてのゾンビの存在。

これらは概ね同意。
擁護し難い欠点である。

気になったのは以降の文章だ(要約)。
「燃料の少なさからFTが困難」
は前述を参照するとして、

「敵を倒す事の空虚さ、大群の倒し方もワンパターン」
「戦闘が単純。中盤からはフォーカスを使った突撃銃で強引に突破出来る」etc.
↓↓↓
「ゲームプレイが単調である」

貴方もそう感じただろうか。

FARCRY2と似ている。

実はこの「DaysGone(以下DsG)」だが、とあるゲームと本質的な部分がよく似ている。


「FARCRY2」だ。

中古で1000円もあればPS3版が買える(ステマ)。 

ファークライ2は知る人ぞ知る良作で、ある種古典の一つだ。
同シリーズがカジュアル方面に舵を取ったのは「3」からなのは言う間でもない事で、それ以前はといえば、コアもいいところのハードなゲームであった。
便利で爽快なデスフロムアバブの代わりに存在したのは、不便で苦痛なマラリアだった。

FC2の極めて優れた物理表現や敵の反応はDsGと共通点がある。FC2のマラリアとDsGのガス欠を同列に扱うのは少し厳しいが、常にハンデを背負う緊張感は変わらない。

とは言え、最も似通っているのはゲームプレイだ。

FC2でも『開いた口が塞がらない程シンプルなミッション』が『閉口する程続く』のだ。

でもそれには理由があった。
プレイヤーの自由の為だ。

朝行くか、夜行くか。
狙撃するか、突撃するか。
車で行くか、草藪に紛れるか。
暗殺か、殲滅か。
刺殺か、銃殺か。
直進か、迂回か。

その自由度は「将校を変装で誘導し、指定の倉庫にたどり着け」ではなく「将校を殺せ」でしか成り立たない。

やはり自ら楽しまねばならない。

DsGは楽しむゲームだ。
数十個ものクラフトがありながら、最適解だからといってフォーカスだけを「使わなければならない」のか?そうするよう「選んだ」のは自分なのだ。他のやり方ではクリア出来ないのだろうか?
FC2もまた、狙撃が安パイとされていた。
優位に勧める事と楽しむ事は動議ではない。

確かに、突出した戦術が出来ているのは制作側の落ち度かもしれない。
だが、大群の倒し方や戦闘が単調かどうかは、全てプレイヤー次第だ。
ステルスと戦闘のバランスが見事に取れたデザインのDsGでは単調にさせないだけの土台がきちんとある。
だからこそ、やはりこのゲームは自ら楽しまねばはらない。

そういう意味では、頭を射るか首を絞めるかのラスアスより余程幅の広い遊び方が出来る。あちらには爆弾も火も毒も錯乱剤も無音で撃てるクロスボウは存在しない。
さらに色々なガジェットを使えば使うほど、さらに探索の必然性が増すというわけだ。雑な運転でバイクを壊しても、部品はそこら中にある。

色々試した結果、色々出来た。
大群を誘導して悪党のキャンプをあっという間にすりつぶしてやったし、錯乱ボルトで同士討ちを誘い、家屋を駆け回りながら地雷を設置して敵を攪乱し、石を投げつけて昏倒した相手にダッシュアタックを決めて大地に押し倒した。
まだまだ出来る事がありそうだ。

まとめると?

本作が凡作とされるのは、
ゲームプレイが単調になってしまう危険性を孕む点にあるのではないか。

私が本作を秀作とするのは、
ゲームプレイが多様性に満ちる可能性を秘め、かつOWの探索に他作品以上に意味があり、その全てが流動的に作用している点だ。

但し、敢えて傑作とは言わないでおく。

このゲームは寄せ集めだ。

少し否定的な意見となるが、
やはりこのゲームは突出した部分に欠けるようだ。
確かに初めて大群を目にした時の緊張感と戦った時の絶望感は忘れがたい。しかしそれも慣れてしまうもので、ナパーム火炎瓶と大量の弾薬さえあればどう転んでも恐れる事はないと気付いてしまう。
このゲームは寄せ集めだ。

ラスアスのような敵の脅威から来る緊張感は感じ難い。
ダイイングライトのような、パルクールを生かした戦闘と逃走のスリルも感じがたい。

デッドアイランドの残虐性も
デッドライジングの無双感も
L4Dの共闘感も
メトロの豊富なカスタム性もない。

しかし、DsGは
どの要素も僅かながら孕んでいる。

話の主題とは逸れるが、
まだ誉める点はある。

撃たれた敵の見事なアニメーション。ダイナミックな天候変動とそれのゲームプレイへの影響。好印象な音楽とサウンド。ベタだが誰を欠いても成立しないストーリー。銃のセンス。

不幸なのは、そのような点だけではゲームの個性になり得ない事だろう。

結論

このゲームは遊ぶ側の姿勢を問う、
柔軟なゲームプレイを秘めた秀作である。

78点。



Twitterからほぼそのまま文なので文章が切れ切れなのはご容赦下さい。

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