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黒い服を買うのをやめる

今年、36歳になる。噂には聞いていたが、本当に加齢とともに黒い服が似合わなくなってきた

まずは黒だったベースカラーを紺色にした。けれど思考停止状態でネイビーばかり着ていてもどうも楽しくない。それで、ワードローブの色を見直すことにした。

手っ取り早く色々な色が試着できるUNIQLOに行って、ニットの試着をしまくったところ、私の顔色が一番綺麗に見えたのは、ピンク色だった。さっそくそれを着て出かけたところ、ファッションの研究をなさっている素敵な先生に、「その色、すごくお似合い! アンナ・カリーナみたい!」とお褒めの言葉をいただいた。私は先生の美意識のファンであり、センスを信頼している。その色がいつもの濃いめの紺色より自分に似合っていることは明らかだった。

かなり盛って褒めてくださったとはいえ、その言葉は大変嬉しく、やはり、そろそろ向き合った方がいいのだろう、と思った。自分に似合う色に。

大昔に受けたプロによるパーソナルカラー診断で、私はイエローベースのスプリングタイプと診断されている。いわゆるイエベ春、である。パステルトーンのピンクやオレンジが肌に合うという診断だ。メイクにオレンジ系や茶色系を多用すべし、とのアドバイスは、かなり参考にした。しかし、着るものに関していうと、私は頑なに黒が好きだった。そして黒を着た自分を冴えなく感じることもほとんどなかった。不思議に思ってパーソナルカラーの本を何冊か読んでみたところ、若い時は、診断で似合わない、とされる色もそれなりに着こなせてしまうらしい。なるほどね…

ただ、思い返せば、大人になってから他人に選んでもらう服はいつもあるトーンのピンクだった。高価すぎて母と呉服屋さんに選択を委ねた成人式の着物、夫がはじめて選んでくれたニット。でも私はその色が嫌いだった。イエローベーススプリングタイプに合う少し淡いピンクは、私のキャラクターに合わないと感じていたのだ。

しかし、大好きだった黒が似合わなくなってきて、ふと立ち返る。キャラクターって何だろう。私が頑固に守ろうとしているものに、果たして意味があるのか、と。

真っ黒を中心としたクールで強そうな服と、とんがったピンヒール。それは、人にナメられにくくすることが最重要課題だった若き日の私には、たしかに必要なものだった。でも今は? まだまだナメられることは多いけれど、失礼なタクシーの運転手さんとケンカできるくらいの度量は持てるようになった。顔が老けたことで、ほんの少し貫禄(のようなもの)も生まれつつあるように思う。そこまで考えて決心がついた。私はもう、黒を着て武装しなくても大丈夫なのではないか。

加齢で疲れてきた肌にこそ、パーソナルカラー診断で勧めてもらった色は映える。診断に縛られて自分の好きな色を封印するのはまっぴらごめん、と思っていたけれど、着る服の色を絞るのも、もしかしたら一つの効率化かもしれない、と思えてきた。1年間、自分の肌うつりを気にして服を選んでみようではないか。

そういうわけで、私は1年間、黒い服を買うのをやめてみることにした。

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