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ノベルジャム回顧録④ チーム間交流と今後のノベルジャムのこと

【手短に言うと】 NovelJam2018秋、イベントの表情が少し「変わったな」と思えたひとつは、チーム間の交流がわりと盛んだった事だ。それは審査員の米光先生も感じておられたようで「今回なんでみんな仲がいいの?」と仰っていたくらいだった。「殺るか殺られるか」のピリピリ空間のはずがどうしてこうなったのか。

どう考えてもnoteの影響は大きかった

やはり事前のnoteである程度人となりが把握できたのがよかったのだと思うし、運営さんが作成したTwitterリストから把握できたステータスをまとめた波野さんのスプレッドシートも大きかった(ありがとうございます)。なので当日初対面ではあるけれど「あぁあの人か」と、そこそこすんなり入っていくことができた。
ぼくも事前リサーチを作動させて狙いの編集さんや気になる著者さんをチェックしていたし、既に友人関係にある参加者同士であれば事前に直接会っての作戦会議にも余念がなかった。
もちろんそれでチームビルドが甘くなることなどありえないし、相変わらずの緊張を味わったし、事前情報でジャム感覚が削がれる事は全くなく、すべては、何もかも予想を上回る難しさと楽しさに満ちていた。むしろ情報があったからこそ生まれた駆け引きや驚きの方が大きかったと思う。

今回の舞台である「講堂」が良かった、でもそれはnoteと同じくハードの話であり

総勢8チームが机を並べるノベルジャム独特の風景だが、今回の「講堂」は回遊性という点でとても優れていたと思う。前回2018の大学院セミナールームもよかったけれど、スペースの問題もあり自分のデスク以外の場所をウロウロする余地があまりなかった。そこへ行くと今回の講堂は無駄とも思える広さと高さ、菱形形状のスペースに生まれる余白など、フツーに歩いているだけでうろつくようにできていた。そこにチーム間で交流の生まれる素地ができたんだと思うし、会期中に仕込まれていた各種のイベントなどと相まって、回遊の最中に他チームのテーブルに入り浸る輩まで出現した。

これらは仲間づくりのための導線として素晴らしく機能し、そのようなステージを設計した運営も同じく素晴らしい。一方でセミナーハウス講堂という舞台もnoteというプラットホームもハードの話で、コトの本質は別にあるような気もする。

バチバチか仲良しか、たぶんどちらでも良く、参加者同士の影響の与え合い方が「今後」なのだと思う

「殺るか殺られるか」のバチバチ感がいいのか、仲良さげに振る舞うのがいいのか。どちらがいいのかはわからない。けれどバチバチも仲良しも、互いの実力と表現への欲求を尊重している点で変わらないと思うし、一見仲良しでも水面下では「コイツには負けねえ」と思っていたはずだし実際思っていた。ぼく自身もCarolさんを勝手にライバル視していたし恩田さんにも負けたくねえと思っていた。今でも思っている。

執筆出版自体が終わった後でもグランプリまではそんな風にライバル、ではあるけれど、今回2018秋についてはアフターイベントでチーム間を横断する動きが目立つ。前回小野寺さんが仕掛けた読書会は波野さんのNRFにコンセプトが引き継がれ大幅にアップデートされ、ぼく自身もデザインをテーマにした横断イベントをやらせていただいた。
今後もチームをまたいだ展示イベントなどの声も聞こえてきているし、さらに前回参加者も巻き込んだマルチ展開、連作展開、ラジオなど別メディアへの露出、小説世界を視覚化させるコンセプトアートに果ては舞台化の話まであるのだ。出版物に対する販促活動が起点ではあるけれど、レイヤーの少し高いところで、ノベルジャムという概念自体を押し広げるかのような動き、電書出版文化の外へと拡張しようとするこれら活動は、ぼくらが「出版物を競う単なるライバル」であったら、おそらく実現しなかったんじゃなかろうか。

今後ノベルジャムというイベントがどんな風に育っていくかわからない。コンテンツを世に問う以上品質という要求からは逃れられないし、小説作品の品質を競い合う事自体を主な目的とするならば、現在のノベルジャムというフォーマットには疑問符もつくかもしれない。けれど今、参加者たちの手で「半ば勝手に」拡張され始めた現象を見ていると、小説の出版を超えて「生み出す力そのもの」を高めるブートキャンプとしてノベルジャムは面白いことになりそうな気がしている。

そのようなわけで仲良し自体は悪くなく、それはむしろノベルジャムが「競技」から「別の何か」へと向う過渡期に起きている現象にも思える。
もちろん、異なる文化背景を持った32人なので、全員が全員と仲良くなれるわけじゃない。短時間では自分のチーム内コミュニケーションで精一杯だし、むしろそれが自然だと思う。けれど偶然あの場所に居合わせた人間として強いシンパシーを感じるのも確かなので、今回交流のあった人たちで印象に残ったことをちょっとずつ書こうと思います、ていうかそれがテーマのはずだったんですが長くなりそうなので次回!

Photo ©NPO法人日本独立作家同盟


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sugiura.s

デザイン会社の中間管理職

回顧録:ノベルジャム2018秋とぼくと誰かと

2回目の参加となった出版ハッカソンNovelJam2018秋で起こったこと、出会った人を個人的に思い出します。
2つ のマガジンに含まれています
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