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Sustainable employment depends on quality relationships between supervisorsand their employees on the autism spectrum

Abstruct

自閉スペクトラム症の診断を受けた方 (以下、ASD) にとって、仕事の継続のカギは使用者の自閉症に関する知識と適切な職場支援の見通しによっている。ASD労働者の組織的社会化に影響する組織的要因を明らかにするため、管理者・ASD労働者・ジョブコーチ9組に対し、就労維持の要因に関するインタビューを行った。その結果、最も重要なのは使用者とASD労働者の関係維持だった。関係維持は、ジョブコーチの時宜に応じたファシリテーションに依存していた (雇用、新人研修、トレーニング、パフォーマンス管理)。以上の結果は、リーダー・メンバー交換理論 (leader-menber exchange theory) の上に位置付けられた。関係維持に先行するファシリテートの重要性が明らかにされた

Introuction

  • ASDはコミュニケーション及び社会的相互作用によって職業生活に大きな影響を受けるが、使用者は例えば、細部への通い、タスクフォーカス、ルーチンの順守、単調作業への耐性、特定領域の専門性、記憶力、情熱、想像力、開放的な精神、誠実さ、信頼性などを評価している

  • 例えば、ソフトウエアのテスト、プログラミング、データ入力にASDを活用している会社もある

  • ほかに、SAP、Microsoft、Ford、JP Morgan Chase & Company、EYは特定のプログラムの作成にASDを雇用し、イノベーションから生産性まで様々なメリットを得られるとしている

  • しかし、環境的要因、例えばASDへの理解不足、柔軟性のなさ、同僚の支援不足及びいじめやハラスメント、偏見により困難に直面することになる

すなわち、例えば逆に、ASDを雇用することにメリットがあるんですかと質問してくる時点で、組織はASDを理解して生産性に結び付ける文化の乏しさや偏見・いじめ・ハラスメントがしばしば生じていると受け止められる

Workplace as a critical context that affeccts employment outcomes

  • ASDの就労継続にかかわる要因がいくつか明らかにされている

  • 例えば同僚のアドバイス、環境調整、個人特性・コミュニケーション様式と司式のニーズのマッチングなどである 

  • 組織的社会化Organizational socializationは、例えば組織の訓練と新入社員の情報収集行動によって、新入社員が組織に受け入れられて一員として機能するプロセスを指しているが、うまくいけば従業員に明瞭な役割、仕事に関する自己効力感、同僚からの受容を提供できる

  • マネージャーがASDに接する際の理論について、ASDは異なるニーズと明確さ及び個別化された対応を求めており、authentic leaderのように誠実さ・敬意・個別化された対応を検討するリーダーの下では満足感が高く離職しにくいことが示されている

  • こうした個別化された対応に関するセオリーに、Leader-member exchange theory (LMX) がある

LMX theory

  • スーパーバイザーがどのように部下と異なる関係を形成するか、関係性の良否は各部下の職場経験によるというもの

  • social exchange theory (相互性と交換のルールに基づいてsocial exchangeが行われるとするもの)

  • 関係性は相互のテストによって形成され、スーパーバイザーのフィードバック、報酬、認識、明快な仕事の要求、個人に適応する仕事の設計によるとしている

  • そしてよい関係性の形成された部下は、スーパーバイザーからのフィードックを求めるようになる

  • しかし、障害はスーパーバイザーのLMX評価に影響を及ぼし、障害を抱える従業員に好感を持たず、自分たちと異なる存在だと認識し、したがってフィードバックを与えること自体がよくないことだとすら認識している

  • したがって、スーパーバイザーが障碍者をどう認識しており、それが関係性の良否に及ぼす影響を自覚することが大切

Supported employent services for aults on the autism spectrum

  • サポートサービスは障碍者の就労継続に重要な役割を果たす

  • 本研究の目的は、ASDの就労を支援する地域組織と共同し、ASDの雇用継続の成否にかかわる組織あるいはリーダーの要因を明らかにすることである


Method

  • スーパーバイザー、ASD従業員、ジョブコーチのインタビューをもとに9のケースヒストリーを対象とした

  • ケースは属性に分散があるようにした

  • インタビューでは、雇用、新入職員研修、職務能力、同僚との関係、適応と支援の障害、自閉症従業員に対する組織の上層部の認識と関連する組織の方針に関するもの

  • 平均インタビュー時間は34分 (15-60min)

Results

case description

  • 6名が高卒以上の学歴、3名が高卒未満 

  • この時点で日本人が想像する成人のASDと概念が異なってはいる

  • もっとも困難なのは、特に上司から適応を促そうとして行われるコミュニケーションやインタラクション


  • 事例が書いてあるけど日本で考えてるのと全然違いますけど、どうなってますか、、

  • 解雇事例もよく日本で耳にする事例と全く異なって、仕事ができないとか、興味関心のあることばかりに時間を費やすとかそういうものです、、日本あってますか、、

Manager-Autistic employee relationship quality and organizational socialization

  • 仕事の満足度よりもマネージャーとの関係が就労継続に最も重要だというのがリサーチの結論

  • ASDへの知識 (障害の内容やソーシャルインタラクションの困難さ) が就労継続のカギになっている (例えば、息子の友人がASDだったなど)

  • 遅くても従業員が少しずつ学び成長する姿に安心感を覚えられること

  • 適応に普通よりも長い時間や努力を割くこと

  • 一般的に期待される成果を求めず期待を調整する

  • あるマネージャーは、ASDの特異な能力がチームの空気をよくして尊敬の感情をもたらすこともあるとしている

  • ASDをマネージメントすることに満足感・達成感を抱く

The job coach as relational mediator between supervisor and employee

  • ジョブコーチによって、スキルの紹介をふくむマッチングがある

  • 何が限界で、どのような人間性かなども紹介して間を取り持つ

  • また、マネージャーや周囲をASDの特徴に気付かせる役割ももつ (日本と真逆である)

  • 例えば、食事中に”このパスタはおいしい”と同じことを10回繰り返して上司や周囲があきらめそうになるが、知識を持っていると対応や理解が変わる、としている

  • もうこの時点で日本で言われているのはASDなのかなんなのかただの差別偏見ではないのかと訳が分からなくなってくる

  • ジョブコーチのかかわりを見ることで、どうかかわればよいかわからなかった上司が不通に行動できるようになる

  • この時点でわかることは、海外の論文では、いわゆるDSMに掲載されているASDの支援を行っている

  • 我が国の発達障害支援も、本来であればこうした対象者の支援を目的としているが、現状はよくわからないことになっているといえる

  • おそらく白黒思考などの言葉の使い方も全く異なっていて、日本では極端な発想を口にすると白黒思考といわれ勝ちたが、そうではなく、機能面でのblack-or-whiteを指している

  • ジョブコーチは、万が一関係性が悪化した際に間を取り持って元に戻すことができる

  • 例えば関係性が悪化した時の上司の言葉として、「彼の感情が表情に合わられないから感情がわからず喜んでいるのか嫌なのかわからない」「会議で質問しすぎてこまる」などである

  • 日本で想定されているものと全く異なり、いわゆる自閉症に近い方たちの支援を行っていることがわかる

Reference

  1. Cropanzano, R., Mitchell, M. S. (2005) Social exchange theory: an interdisciplinary review. J Manage, 31, 874–900. (LMX theory)

  2. Dulebohn, J. H., et al. (2012). A meta-analysis of antecedents and consequences of leader-member exchange: integrating the past with an eye toward the future. Journao of Management, 38, 1715-1759. (LMX)

  3. Graen, G. B. & Uhl-Bien, M. (1995). Relationship-based approach to leadership: development of leader-member exchange (LMX) theory of leadership over 25 years: Applying a multilevel multi-domain perspective. Leadership Q, 6, 219–247. (LMX theory)

  4. Martin, V., Flangan, T. D., Vogus, T. J. & Chênevert, D. (2022). Sustainable employment depends on quality relationships between supervisors and their employees on the autism spectrum. Disability and Rehabilitation, 45, 1784-1795. (this note)

  5. Hayward, S. M., McVilly, K. R., Stokes, M. A. (2019). Autism and employment: what works. Autism Spectrum Disorder, 60, 48–58. (ASDの雇用維持要因)

  6. Hayward, S. M., McVilly, K. R., Stokes, M. A. (2020). Sources and impact of occupational demands for autistic employees. Research in Autism Spectrum Disorder, 76, 101571.(ASDの雇用維持要因)

  7. Hedley, D., Uljarevic, M., Cameron, L., et al. (2017). Employment programmes and interventions targeting adults with autism spectrum disorder: a systematic review of the literature. Autism, 21, 929–941.(ASDの雇用維持要因)

  8. Khalifa G, Sharif Z, Sultan M, et al. Workplace accommodations for adults with autism spectrum disorder: a scoping review. Disabil Rehabil. 2020;42(9):1316–1331

所感

  • 調査対象から導かれる当然の結論だが、ジョブコーチのファシリテートにより相互理解が深まり成功事例が多いと主張している

  • ジョブコーチがついているからか、純粋な自閉症に近いかたを支援しようとしている

  • 日本人がよく揶揄しているASDはなんのことかよくわからない

  • したがって、例えば、発達障害の人を支援してほしいといわれた場合、基本的にはASD, ADHD, LDを想定することになるが、おそらく日本人が発達障害と考えている相手はバイオロジカルな意味での発達障害ではなく印象評定や誤った評定にちかいと思われるため、まず情報収集が重要になる

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