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【対立状態と対立プロセスはアウトカムに独立して影響を及ぼす】Moving beyond relationship and task conflict: toward a process-state perspective

概要

チームは、拡大された専門知識と経験の蓄積から利益をえるために編成されるが、その違いから生じる、対立状態と対立のプロセスが最終的なチームの存続可能性と生産性を決定する重要な因子となる。
本研究では、チームの対立に関する文献を理論的に再編し、対立と対立のプロセスを区別し、それぞれの効果的なチームに及ぼす影響を検討する
45の独立した研究 (チーム総数 =3218) のメタ分析の結果、対立状態と対立プロセスがチームパフォーマンスと感情的な結果の重要な予測因子となることが示された
また、対立状態 (課題の対立と関係性の対立) を統制しても、対立のプロセスによってチームのパフォーマンスとチームの感情的な結果の双方にたいしてさらに13%の説明がなされる
チームの対立のプロセスは、チームの対立状態 (対立の頻度や強度) と同程度に重要であることが示された

問題と目的

  • チームは、知識の拡大と経験の蓄積を目的として編成されるため、その相違から対立が生じる

  • 先行研究を統合し、①どの対立のプロセスが機能的/非機能的か、②対立状態と対立プロセスがそれぞれどの程度チームの機能などアウトカムに影響を及ぼすか明らかにする

対立:状態と行動による経過

  • 対立は、【個人または集団がそれぞれの関心・資源・新年・価値・実践に関する違いを認識するあるいは対立すること】と定義される (DeDreu & Gelfand, 2008)

  • 危機状態についてMarks et al (2001) は、「危機状態の指標はプロセスと混在していることが多く、その結果として深刻な障害が発生する。危機状態はチームの相互作用やプロセスなど結果につながる行動を示すものではなく、それらはチームの経験の産物であり、後続のプロセスと結果への新たな先行刺激となる。重要なのは、危機状態そのものは相互作用の性質を含まないためにプロセスではないという点である」と述べており、対立状態と対立のプロセスを区別する重要性に援用できる

  • ここでは、チームの対立状態と、対立のプロセスを以下のように定義する

  • チームの対立状態:チームメンバーが課題 (目標、考え、パフォーマンスの戦略) または関係性 (性格の衝突、対人関係のありかた) について非合意を強く感じている状態

  • チームの対立のプロセス (先行研究では対立のマネージメントとよばれる):非合意への取り組みを目的とするメンバーの間での相互作用

  • 課題の対立と対人関係の対立のメタ分析は、対立の状態に焦点を当てておりプロセスに焦点を当てていない

  • 対立の状態は、対立のプロセスによって解決に向かうと想定されることから、状態とプロセスはチームを説明する別のメカニズムであるため次のように仮定する

仮説1:チームの対立プロセスと対立の状態は、独立してチームのパフォーマンス及び情緒的なアウトカムに影響を及ぼす

対立のプロセスがアウトカムに及ぼす影響

  • 対立のプロセスは、主として、collaborating, competing, avoiding (DeDreu & Van Vianen, 2001)、オープンネス (Tjosvold, 1985) に分類される

  • さらにプロセスは、個人に焦点づけるものと、集団に焦点づけるものに分類される

仮説2:集団の対立プロセスはチームのパフォーマンスを促進し、個人の対立プロセスはチームのパフォーマンスを抑制する

仮説3:集団の対立プロセスはチームの情緒的アウトカムを高め、個人の対立プロセスはチームの情緒的アウトカムを抑制する

方法

データベースと包含基準

  • 44の独立した研究 (チームメンバーは3218)

  • PsychoINFO/ABIデータベース

コーディングの手続き

  • サンプルサイズ

  • チームの数

  • 対立プロセスとアウトカムの相関

  • 対立プロセス間の相関

  • 信頼性係数

  • 課題の対立vs関係性の対立

  • 協力vs競争vs独裁vs強制vs回避vsオープンネス

  • チームパフォーマンス、情緒的結果 (情緒的な健康、満足度)

分析

  • artifact distribution meta-analysis (Hunter & Schmidt,2004)

  • CV

  • CI

  • meta-analytic regression (Viswesvaran & Ones, 1995)⇒尺度の信頼性調整相関マトリクス⇒回帰係数の標準誤差推定

結果

相関マトリクス

対立状況と対立プロセスの独立性

  • 課題の対立、関係性の対立はいずれも、チームのパフォーマンスと情緒的アウトカムに関連した

  • 次に、回避を除いて、協力的・競争的・オープンネスな対立プロセスはいずれも課題の対立・関係性の対立を統制したうえで、チームのパフォーマンスと情緒的アウトカムに関連した

  • したがって、対立状態と対立プロセスが独立してチームパフォーマンスと情緒的アウトカムに影響することが示された

  • 協力・回避・競争という対立プロセスを統制しても、課題の対立及び関係性の対立のチームパフォーマンスと情緒的アウトカムへの影響は示された

  • 一方で、オープンネスを統制すると、対立状態による増分妥当性は示されたものの、課題の対立のアウトカムへの効果は示されず、関係性の対立は情緒的アウトカムに対してのみ影響した

集団vs個人の対立プロセスの効果

  • 集団の対立プロセスはチームパフォーマンスと情緒的アウトカムを促進する影響

  • 個人の対立プロ押せスはチームパフォーマンスと情緒的アウトカムを抑制する影響

文献

  1. DeChurch, L. A., Mesmer-Magnus, J. R., & Doty, D. (2013). Moving beyond relationship and task conflict: toward a process-state perspective. Journal of Applied Psychology, 98(4), 559.

  2. De Dreu, C. K., & Gelfand, M. J. (Eds.). (2008). The psychology of conflict and conflict management in organizations (pp. 3-54). New York: Lawrence Erlbaum Associates.

  3. De Dreu, C. K., & Van Vianen, A. E. (2001). Managing relationship conflict and the effectiveness of organizational teams. Journal of Organizational Behavior: The International Journal of Industrial, Occupational and Organizational Psychology and Behavior, 22(3), 309-328.

  4. Hunter, J. E., & Schmidt, F. L. (2004). Methods of meta-analysis: Correcting error and bias in research findings. Sage.

  5. Marks, M. A., Mathieu, J. E., & Zaccaro, S. J. (2001). A temporally based framework and taxonomy of team processes. Academy of Management Review, 26, 356 –376.

  6. Tjosvold, D. (1985). Implications of controversy research for management. Journal of Management, 11, 21–37.

  7. Viswesvaran, C., & Ones, D. S. (1995). Theory testing: Combining psychometric meta-analysis and structural equations modeling. Personnel Psychology, 48, 865– 885.

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