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アイフル (旧ライフ) 事件

概要

 会社より私傷病期間満了のため退職とされたが、精神疾患は過重労働に起因するものとして労働基準法第19条1項の類推適用がなされ、罹患中の退職扱いが無効となったものである。
 なお、本件の過重労働とされる労働状況は、労働者がみずから労働時間を管理簿に記載する方法で労務管理がなされており、実態として残業時間に上限を設けないサービス残業が生じていた。
 労働基準監督署の調査によれば、当該労働者が専門医に自律神経失調症・抑うつ神経症と診断を受けて欠勤・休職する前の三か月間の時間外労働は、それぞれ158時間、203時間、241時間であった。
 判決要旨として、労働基準法第19条1項の趣旨は、労働者が業務上の疾病によって労務を提供できないときは、自己の責めに帰すべき事由による債務不履行とはいえないことから、労働者が労災補償としての療養のための休業を安心して行えるよう配慮するものである、とされている。

注意点

 労働者が精神疾患を罹患して休業した場合に、後日企業が把握していなかった時間を「労働時間」として過重労働の評価を受けることを防ぐため、また、適正な労務管理のために業務実態と企業が記録する実労働時間の乖離がないよう労働時間把握を行うべきものと考えられる。

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