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21/7/7 七夕の夜、ゲロッパ!!漫才ライブ。

博士の悪童日記 2021年7月7日 水曜

長谷川かいまとやよい軒

4時30分起床。
また雨かよ!
思わず言ってしまう。

日記を書く。
「藝人余禄」1を最後まで書き上げ、編集部へ送稿。
まだ締め切りのかなり前だ。
「日記のススメ」も8まで構想をメモ書き。

朝刊で、松坂大輔の引退を知る。
松坂大輔の初登板の東京ドームを見に行った日から
20年の月日が流れたのだな。

ガラパゴスのカイマが来宅。
アサヤンTシャツ大戦争の際の
プレゼント用のTシャツをまとめて持ち帰る。

一緒に朝ごはんへ。
「エリックサウス」が開いてなくて『やよい軒』に。

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思いの外、旅館の朝ごはんぽくててイケる。

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昼前から陽射しが射してくる。
思わず、お客様呼び込みツイート。

そして、読書にシンクロニシティ現象も。

明日の古舘伊知郎、
明後日の村松友視戦に向けての仕込み。

利根川さんと阿佐ヶ谷へ

お昼、ミートピアさぬきの肉うどん。

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15時、フルスイングの利根川さんの迎えで歩いて、
阿佐谷へ向かう。

水曜日なので、
文春、新潮の早売りもゲットしてから。
暑さなのか、身体が重く感じられた。

16時、阿佐谷ロフト入り。
早々と、球児師匠も楽屋入りだが、
ここまでのおひとりの移動だけで、
すっかりお疲れの様子でグッタリと。

この後、果たして長尺のネタが出来るのか、
心配になるほど。

今回のLIVEの発端は、2月15日に、
高円寺で漫才協会主宰の寄席に訪れたことから。

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その時の漫才師の並びの素晴らしさに衝撃を受け、
特に球児好児師匠のトリには打ちのめされた。

そのときの球児好児の漫才評。

青空球児好児

この日のトリをつとめたのは、青空球児好児師匠。

漫才協会会長、球児師匠は79歳、
好児師匠は77歳。

登場だけで神々しいオーラが客席に届き、
息を呑む。
マイクを中央に置かない独特の距離感。

好児師匠の丁寧すぎる言葉遣いの裏をかくような
球児師匠のブッキラボウな物言い。

「馬鹿野郎ォ!ぶっ飛ばすぞ!」
と濁声のツッコミが、まるでドラム音のように
リズム感を刻む。

しかも、
ネタとしてボケているのか
本当にボケているのかわからないような
虚実の皮膜を付く、
その佇まいを含めて
キャリアを重ねた
老レスラーのインサイドワークのようだ。

本ネタは「逆さ言葉」だが、
浅草キッドも若い頃、
このネタの完コピをやっていたので
ネタの展開まで熟知しているのだが……。

ネタそのものが懐かしすぎるのと、
必殺技は繰り出すタイミングを待ち望む気持ちで
ゾクゾクとしてしまう。

今まで何度共演してきたか数え切れないが、
まるでオールドジャズマンの
セッションを見たかのような
圧倒的ステージだった。

映画に例えれば、
デビット・リンチ監督作品のような、
夢か現実かわからないような、
夢幻のフィクショナルな世界観に
幻惑された。

恐るべし! 球児好児師匠!!
これは今こそ、見るべし芸だ!!」

全体を通して、寝不足で完落ちするかと思ったが、
2時間が短く感じるほど。
逆に目が冴えた。

高円寺在住の
金谷ヒデユキくんが見に来てくれた。
久しぶりだ。

松原隆一郎先生も客席に居たとのこと。

一回だけのリハーサルで本番。

アサヤンVol.14 開演

18時、アサヤンVOL・14
ゲロッパ!!青空球児好児師匠、漫才道場。
開幕。

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前説。ドルフィンソング三木、ガラパゴス・カイマ。

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OPは、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の
「ドバドバドバン」
昔のボクが出演した時の『エレ片』を聞き直していて、
この曲を想い出した!!

OPには最適。

今回のゲスト・道場長にナイツ・塙くんが、
偶然にも奇妙礼太郎さん、
Sundayカミデさんとの縁があるのを驚く。

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漫才協会のはなしを念入りに。
いかに巨大な組織になったいるか、
そして、高田文夫先生の
外部理事就任の余波の大きさを語る。

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この一番上のエラい人が青空球児好児であることを振る。
エラい=面白い人なのだ。

ここで若手の3人が乱入。

この回は、TAP所属の10代の最年少漫才師、ガラパゴスが、
漫才協会の会長、最古参の70代漫才師の球児好児師匠に、
入門を直訴するというストーリー仕立てだった。

大掛かりなマスコミ対策も用意していたが、
ガラパゴスの急遽の解散で話は振り出しに戻った。

その物語をガラパゴスに変わって、
背負うのがドルフィンソングだ。

事前のZoom会議では、荷が重すぎる、
との議論があったが、高須さんの説得もあり、
この役に。

ドルフィンソングは球児好児師匠の後、
最後にトライアウトするとの発表。

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ガラパゴスの解散で、
シナリオは書き換えられた。

まず、今の球児好児師匠の漫才が
いかに凄いことになっているか、
何故、今、見ておかなければならないのか、
その前振りを丁寧におこなう。

キーワードはデビット・リンチの映画のような
夢幻な世界であると。

テレビで見ていても、
球児好児師匠のここまでの漫才の境地は
気づかないはずだ。

ここから、青空球児好児師匠に繋ぐための打順に。

一番手、エル・カブキ。
毎回、ツカミは彼らに任せている。

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終わってからの質疑応答。
塙くんのキツめのダメ出し。
YouTubeの漫才添削の要領で。

同じ事務所ながら因縁もある。

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呼び出し役の無法松。今回も大活躍。

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2番手。KITAJIMA。

北見くんは、吉本からオフィス北野(TAP)へと
理由ありで移籍してきた。

今回がボクとも初対面。

若手のLIVEでは不祥事の件をイジるのは、
タブーとのことだが、
そこも全開で話すことが
「アサヤン」参加の条件だった。

吉本である程度まで登ってきている人は、
芸人として経験値が違う。

ハラハラするところはない漫才。

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塙くんと北見くんとの因縁があったようだが、
そのあたりのトークも面白い。

そして絶妙のネタのアドバイスも。

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換気タイムとCM上映。

後半戦。

U字工事。

マネージャーと偶々、小杉湯で出会い、
数日前にブッキング。

長尺をダレ場もなく堂々たる漫才芸。

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彼らは、
浅草キッドが主催した『浅草お兄さん会』で
学生の時にデビューしただけに、
ここまで名人級の漫才師に成長したことを思うと、
感無量な気持ちになる。

彼らのデビューのキッカケになった、
オーディションの告知が載った雑誌を
取っておいてくれているのも、
カミモノを捨てないボクとしては嬉しいかぎりだ。

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福田は浅草キッドの初代マネージャーの娘さんと
結婚したこともあり、
文字通りの浅草キッドチルドレンだ。

そして久々にTVサイズではない、
漫才を拝見したが、
見事だった。
惚れ惚れする舞台だった。

ここで、ほたるゲンジによる、
球児好児の完全コピーMANZAI。

今の球児好児の境地を測るためには、
全盛期の球児好児のゲロゲーロを再現しなければ
わからない。

ナイツも浅草キッドも経験済みなので、
それがどれほど難易度が高いかよくわかっている。


どこまで出来るのか?

と思っていたが……。

衣装の段階でもう勝っている。

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「夏でもタートルネックの球児好児」
とよくネタにさせてもらったが、
ボクが漫才師のユニフォームの大事さに気がついたのは、
球児好児師匠だった。

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期待値を遥かに超えた、
大爆笑のステージ。
K点超えている。

こうなると球児好児師匠への
ハードルは高まりすぎている。

デビット・リンチ映画のような
夢と現実の区別のつかない
黄泉の国で行われる、
「見納め漫才」という前振りは入れている。

楽屋でグッタリされている球児師匠が
果たして喋れるのか不安はある。

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しかし、それらの懸念を全て吹っ飛ばすほどの至芸だった。

球児師匠の鬼気迫る表情からのボケ。
森光子さんの最後の舞台を見るような動き。

彼岸と此岸を行き交うかのような霊気揺蕩う
後期高齢者漫才の凄み。

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芸歴50年以上の漫才師だけが出来る絶対時間が訪れた。

終わってお話を聞いていると、
すぐに20時の観客だし時間になる。


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延長戦。

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芸人&スタッフが見守る中、
ドルフィンソングのトライアウト漫才。

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場の空気感は頂点で弾けた。
ハードルが上がりすぎている。

芸歴50年のあれだけの漫才の後だけに、
2年目の漫才はアラが目立つ。

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終わって、皆さんの感想を聞く。

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思わず、三木が泣き出すが、
優しく労る球児好児師匠。

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U字工事の激励。

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最後はTAPの枝豆社長の判断を仰ぐことに。

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枝豆裁きで漫才協会への加入が決定。

物語は、長老が若者を旅へ送り出すものだ。

ドルフィンソングは涙を噛み締めて、冒険に旅立つ。

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次回の予告編を入れ、
最後は万歳(漫才)三唱で締め。

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終了後、球児好児師匠を最敬礼で見送りする。

塙くんとはYouTubeの「博士の異常な対談」
で話すことが決まっている。

ガラパゴスの解散で
一時は開催も危ぶまれたが、
開催直前に、
まさかのU字工事、塙くんのブッキングで、
最高の舞台が作れた。

ボクがやろうとしていることは、
若者の通過儀礼だ。

小説や映画や舞台はそれを作品にしている。

漫才師の人生を文脈に流し込めば、
寄席にもその物語の力を持たせることが出来る。

漫才師のLIFEが凝縮されるLIVE。

死ぬことが舞台の上であるべきひとたちを見せるLIVE。

そういうLIVEを目指したのだが、
これは到達感も満足感もあるLIVEだった。

終了後、次回の打ち合わせを軽く。

チンコ、利根川さん、カイマ、
ドルフィンソングと歩いて帰る。

アサヤンの恒例の帰り道。
LIVEの帰りの語りも青春そのものだ。

酒チャンス。

三木が居残りながら、何時の間にか就寝。

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新番組スタート

「水道橋博士の異常な対談」がYoutubeのサブチャンネルでスタートしました。是非、ご覧ください。
第1回ゲストは、「週刊文春」元編集長・新谷学氏
第2回ゲストは、作家・元東京都知事 猪瀬直樹氏
https://is.gd/Eur24O

ライブ情報

■タイパン
【7/17】#2 さらば10代!ガラパゴス THE LAST SHOW

■アサヤン
https://asayan.s-hakase.com




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