『檸檬の思慕』

『女がきれいなものだなんて、誰が言ったのでしょうか。』

『あそこから私、逃げました
白い小鳥は穢されて』

『十二歳の夏、現場は雨。男は』
「ーー逮捕されました!」
「今男が出てきます。少女は無事、無事です。少女は無事です。」
とりかこむフラッシュ。見えない太陽、つぶやく、おなかがすいた。

ねえ、大丈夫なの?
『うん、大丈夫だよ。ぜんぜん平気さ』
ほんとうに?
『うん本当だよ。君はどうなの、大丈夫?』
わたしは、ね。

あそこから逃げてきて 美しいものに出会った
そこにいたのは女の子 守ってあげたいと思った
広がるスカート ふわり 長いまつげが きらり
涙で濡らさないように 僕が抱いていてあげる

彼女の手を取って その人は走り出した
十二歳の夏現場は雨 浴びるフラッシュをかき分けて
そこにいたのは女の子 守ってあげたいと思った
涙で濡らさないように 抱いていて あげる

手を繋いで走っていると 泣き声が 聞こえた
どうして泣くのと聞いたら 泣いてなんか いないと言う
耳に聞こえないそれは どこからくるのだろうか
そうかこれは彼女の 心の奥底の声

『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』

あの娘を…幸せにしたい(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
自分が…不幸でも(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
あの娘が…幸せなら(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
それでイイのと……笑いたい。(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)

『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』(そこにずっといるつもりか)
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』(はやくおいでよみんな待ってるよ)
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』(鳥かごの中にずっといるつもりか)
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』(声は届かない 彼女はずっとあの日のまま)

『十二歳の夏、現場は雨。
男は 逮捕されました』
私は、『小鳥は』 穢れてしまいました。
『ひとりは怖いの誰か助けて』 届かない 声

『あそこから逃げてきて 美しいものに出会った
私は穢れているのだから 美しいものを胸に抱こう
少女を抱いて眠ればいい きれいなものをだきしめて
泣いているのは誰なんだ 抱きしめてほしいのは自分』

大丈夫?という声掛けに、彼女はいつも笑って答えていました。
それが彼女なりの防衛本能だったのでしょうね。強い人だと思っていたのですが
本当は折れやすい繊細な人でした。彼女がいつも弱い人にやさしかったのは
本当は彼女自身が守られたかったからかもしれません。

『守ってくれる人がいないのならば自分が守る側になろうと思った
はじめから汚いものがない恋ならば安心できると思った
私は彼女にキスをした。彼女はきれいだった。
私は彼女を穢したりはしない。私を穢した男のようには、しない』

『届かない、思いならば
穢れることも、穢されることもない。
貴女も、そうでしょ?
届けない思いの行方に 安堵していたい』

『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』

あの娘を…幸せにしたい(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
自分が…不幸でも(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
あの娘が…幸せなら(『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』)
それでイイのと……『しあわせにしたかった!』(『幸せになりたい 幸せになりたい』)

『あの娘を…幸せにしたい』
『わたしを…しあわせにしたい』
『傷を埋めるこの 行為そのものを』
『いとおしいと思えるまで 今日も』

ねえ、大丈夫なの?
『うん、大丈夫だよ。ぜんぜん平気さ』
ほんとうに?
『うん本当だよ。君はどうなの、大丈夫?』
わたしは、ねぇ…。

『あそこから逃げてきて 美しいものに出会った
そこにいたのは女の子 守ってあげたいと思った
広がるスカート ふわり 長いまつげが きらり
涙で濡らさないように 僕が抱いていてあげる』

大丈夫?という声掛けに、彼女はいつも笑って答えていました。
それが彼女なりの防衛本能だったのでしょうね。強い人だと思っていたのですが
本当は折れやすい繊細な人でした。彼女がいつも弱い人にやさしかったのは
本当は彼女自身が守られたかったからかもしれません。

『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
あの娘を…幸せにしたい
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
自分が…不幸でも

『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
あの娘が…幸せなら
『幸せになりたい 幸せになりたい しあわせになりたい』
それでイイのと……『笑いたい』

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作詩・原案:彩冬貴灯子 アートワーク:歳雪 作詞・脚本:西瓜すいか
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