『木苺の嫉妬』

緑色の目が
今日も開かれる
朝日が燃えるのを見たら
綺麗になれるかな

地平線からの煌きが
私の瞳を刺すの
両の目を潰される痛み
朝はまた、やってくる

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「嘘をついたのね貴男!」
昨夜の罵声が、耳に、残る
老婆のような皺枯れた声
自分の醜さに、反吐が出る

切れかけてまたたく蛍光灯
鏡の中の、どす黒い顔色
朝が来れば朝が来れば朝が来れば
泣きながら眠った、深夜4時

貴男が部屋から出ていく音を
背中越しに、聴いたのでした。
負けを認めたくない私は
振り向くことさえ、しませんでした。

朝になれば全ては、過ぎ去っていくのだからと
貴男の匂い、残る毛布を
抱きしめそして、抱きしめられながら
眠りに、ついたのでした。

天使様がハレルヤ!祝福の雨を降らせます。
恵みの水は滴り、人々の心を洗います。
イエス様がハレルヤ!愛で私を包みます。
私の身体はとろけて、高みまで昇りつめます!

気持ちよさが苦痛を、覆い隠してくれるから
私は痛みなんてもの、感じないですむのです。
傷だらけの身体を、朝日に曝してなお
ヴィーナスここに在り、と胸を張らせてください。

男は私をかなぐり捨てて、別の女に走りました。
美しい女でした。嫉妬で狂いそうなのです。
シェイクスピアは言いました。緑色の目をした化け物と。
私は化け物でもいい。燃やしませう、嫉妬の炎。

貴方の眼差し、その先に
誰かを見付けた、その時に
淡い期待の、しろいろの
ちいさな花が、散りました

むかしむかしあるところに、男と女がおりました。
「娘さんあなたは綺麗だね」
そんなことないわ
「そんなことあるよ」

綺麗って、どこが?
「君の心が。」
嘘だとわかっていたのに!胸の高鳴りを、止められなかった!
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『私の無様な告白を聴いてもらえますか?
私ずうっと誰かに、見つけてほしかったんです。
ここにいるよ、ここにいるよ、ここにいるよ、ここにいるよ
誰か気づいて、誰か気づいて、私はここに、いるよ。

ここにいるよ(どこにいるの)ここにいるよ(そこにいるの)
ここにいるよ(そこにいるね)ここにいるよ(さようなら)
ここにいるよ(さようなら)ここにいるよ(知らねえよ)
ここにいるよ(………)ここにいるよ!(………)』

ここにいるよ(………)ここにいるよ!(………)
ここにいるよ(………)奪われた希望。(………)
淡い期待の、しろいろの
ちいさな花が、散ったとき

見つけてもらえる、全ての人に、
私は、嫉妬したのです。
嫉妬の炎のケロイドを、化け物のように纏っても
ヴィーナスここに在り、と胸を張らせてください!

一歩
一歩
お前を灼いてやろうと
炎を纏って進む

一歩
一歩
あぁそれでも私は
君を殺せないだろう。

見つけてもらえる、全ての人よ
私はあなたがたに、嫉妬しています。
嫉妬の炎に包まれて、静かに燃えカスになるから
最期くらい美しく燃えたと、胸を張らせてください!

天使様がハレルヤ!祝福の雨を降らせます。
恵みの水は滴り、人々の心を洗います。
イエス様がハレルヤ!愛で私を包みます。
私の身体はとろけて、高みまで昇りつめます!

気持ちよさが苦痛を、覆い隠してくれるから
私は痛みなんてもの、感じないですむのです。
傷だらけの身体を、貴男に曝してなお
ヴィーナスここに在り、と胸を張らせてください。

嫉妬の炎で焼けるのは、私一人で良いのです。
あなたは、どうか、
わたしのことを
覚えていて

ここにいるよー…
ここにいるよー…
ここにいるよー…
ここに、いたよー…

「死んだか?あいつ、…へぇ、そう。
––––––嫉妬の炎が私を灼いて!

貴方と繋いだ、手は爛れ
貴方と話した、声は枯れ

傷だらけの、身体を
貴男に晒して、なお
恋に生きたヴィーナス、ここに、在りと
胸を、張らせてください。

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「ウザい女が死んだんだ。
 つまんない女で、美人でもなかった。
 ちょっと遊んでやったら、勘違いしやがってさ
 彼女ヅラでいっちょまえに、嫉妬とかしてんの」

「そういうのって重いじゃん?
 だから言ってやったよ。
 他に女ができたって、
 お前とはさよならだって。」

「そうしたらあいつさ、マジで死んでやがんの。
 おかしいよなマジで、マジで死んでやがんの。
 俺の携帯にさ、電話かかってきてさ
 間違いありませんかって、警察で聴かれて」

「青白い照明の中で、なんでなんだろうな
 あの女をはじめて、綺麗だと思った。
 あいつたったひとりで、
 死んでいったんだもんな…」

『ユウ君へ。私はあなたと出会えて幸せでした。
 あなたが手を繋いで一緒に寝てくれたことは忘れません。
 あたらしい人と、しあわせにね』

「……忘れられるわけがないだろう!?」
ふり絞るように呟く貴男。
本当かなんてどうでもいい、
これで貴方は私を…忘れない。

ここにいるよ(どこいったんだよ)
ここにいるよ(帰ってこいよ)
くちびるは、血に染まり
流れぬ涙に、ハートは溺れ

これが私の、復讐でした。
(どこいったんだよ、帰ってこいよ!)
尖った悲しみ、その切っ先は
可愛いあの子の、その先に…

一歩、一歩
お前を灼いてやろうと、炎を纏って進む
あぁそれでも私は
君を殺せないだろう

嫉妬の炎で焼けるのは、私一人で良いのです。
あなたは、どうか、
わたしのことを
覚えていて

貴男が部屋から出ていく音を
背中越しに、聴いたのでした。
負けを認めたくない私は
振り向くことさえ、しませんでした。

それから私は、ライターを手に
抱きしめた毛布に火を放ち
嫉妬の炎のケロイドを、化け物のように纏っても
ヴィーナスここに在り、と胸を張らせてください!

「そういってアイツさ、マジで死んでやがんの
 髪も顔も崩れて、マジで死んでやがんの」
わたしのことを
覚えていて

「どこいったんだよ
 帰って来いよ」
最期くらい美しく燃えたと、
胸を張らせてください!

嫉妬の炎が
私を灼いて

「緑色の目の怪物が、今日も夢枕に」
立つ。

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