絵解き東遊記表紙1

東遊記翻訳まとめ

 よく知られている「西遊記」のほかに、「東遊記」「南遊記」「北遊記」というのもあって、まとめて「四遊記」と呼ばれることもあります。

 今回は、そのうちの「東遊記」の日本語翻訳出版された本についてです。

「東遊記」は、中国の明代の作品で、作者は呉元泰。編集者でもあり、版元・出版者でもあった余象斗が、「西遊記」が売れたからと、別の作品であった、「東遊記」「南遊記」「北遊記」と一緒にまとめて「四遊記」として売り出したことがあります。

 日本語への翻訳は、明治17年発行の根村熊五郎 訳が、現在手に入る最も古いもののようです。

 これは現在、国会図書館デジタルコレクションで無料で読むことができます。ただし、文字が不鮮明、旧字体であるなど、現在では少し、読みにくいかもしれません。また、李鉄拐、鐘離権(漢鐘離)、が仙人になる話の後すぐに東海龍王との戦いの話になっている抄訳です。

 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/896576?tocOpened=1

 また、トンデモ本として一部で有名になっているエリート出版『東遊記』(竹下ひろみ訳)もあります。若干のカットはあるものの、一応全訳となっているのは、この一冊だけかと思われます。(絶版になっています)

エリート出版『東遊記』

 今回、noteで連載した「絵解き東遊記」は、明版の『新刊八仙出処東遊記』(国立公文書館蔵)のイラストを使用したあらすじとなっています。

 さらに、画像の解像度を上げ、分量を増やしたKindle版もあります。

 作品としてみた場合、もともとの東遊記は、それ以前の作品からいろいろなエピソードを寄せ集めて大半が作成されており、オリジナル部分は東海龍王との戦いぐらいでしょうか。個々の仙人によるエピソードの分量の差も大きく、あまりバランスの良い出来ではありません。

 とはいえ、工芸品に描かれていたりする有名な八仙。李鉄拐、鐘離権(漢鐘離)、呂洞賓、藍采和、韓湘子、何仙姑、張果老、曹国舅の八人の福の神様。日本で言えば七福神のようなもの。

 ちょっとぐらいでもエピソードを知っていると、話のネタになるのではないでしょうか。


ご覧いただき、ありがとうございます。このnoteでは、中国古典神怪(神魔)小説関連の記事を書いていく予定です。サポートしていただければ幸いです。