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アルバート、はなしてのこと。【米山】

先週3月20日に無事彗星マジックプロデュース公演"ギフト"「アルバート、はなして」が終演しました!

結構濃い20日を過ごしたせいで、
アルバートロスしている出演者を多数見受けられて、なんか主催側からしたら嬉しい限りです。
ほんと、めっちゃしんどかったと思うんですが最終的に良い公演になったんじゃない?と皆のロスっぷりを見て思うわけです。

作品の事とか今回の思い出とかは皆が沢山書いてくれてるので、
私はアルバートを初演から全部出演してて、全部違う役!って事で、
アルバートで演じた3役について話そうかなと思います。

今日はオタク記事はお休み!
アルバートの内容は無料公開します!
後半だけ有料ゾーンにしまっす。
ちょっと大事な話しまっす。

2013年1月 初演「マヤ」

遡る事11年前(ギャー!)
私が彗星マジックに入団して初めての公演でした。
入団初めての公演って宝物ですよね。
なんかキラキラした思い出で残ってると思いきや、わりと大変で殺伐としていた思い出。
当時は勝山さんも沢山勉強しなきゃならなくて、出演者も作品の内容について色々知らなきゃならなくて、全員が手探りで作ってたような。
大変な作品に結構皆疲れてて、ちょっと機嫌悪かったりして。
まさかこんな彗星の代表作になるなんて…。

初演はアルバートの妹、マヤを演じました。
髪長ぇな。

懐かしき應典院の楽屋…。

勝山さんのnoteにも書いてますが、
当時は妹っぽかったんです。
座組でも年下組で皆に可愛い可愛いされてました。笑

マヤは私にはとってもやりやすい子で、役作りに関してはそんなに悩まず米山をそのまま演じたら良い感じで勝山さんが書いてくれました。
何か一番困ったかって、マヤが頭良い所で。
米山自身、頭悪いんですよ。勉強嫌いだし。
だけど、作中に出てくる難しい事理解出来てるのがマヤで、
最終アルバートより先に大事な事に気づいて死んでしまうとか、
とりあえず、物理について説明できるくらいには理解出来てないとなんか台詞ちゃんと言えない!と気づいた私は、梅田のジュンク堂書店に行きアインシュタイン系とか物理に関しての本を買いあさってとりあえず読む!分からなくても読む!あとネットで沢山調べる!分からなかったら勝山さんに聞く!色んな人に聞く!という、
思い返せば今回ギフトに出演してくれてた皆と同じ事してたなって思ったわけです。
皆熱心で素敵だなぁって思ってたんですが、私も当時熱心で素敵だったんだなぁって事で。
今も本棚にはアインシュタインの歴史とか猿でも分かる相対性理論とかの本が眠っている…。

2020年8月 再演「ダンテ」

米山劇団員として初の本公演を終えてから、
それは色んな所に出させてもらったり、
一人芝居でもツアー行ったり、劇団の公演でもツアーに行ったりして7年後。
ついにアルバートを再演しようって話になりました。

彗星マジック自体も色んな役者さんとの繋がりが増えて、
「アルバート、評判良かったしもう一回観たいって言ってくれる人多いしやりたいね」って話になって。
コロナで不要な外出禁止!と騒がれてた時期がほんのちょっと過ぎた頃。
初のコロナ禍の公演でした。

集合写真もソーシャルディスタンスだった。

初演の時に「ダンテやってみたいな…」とずっと思ってて、
初演当時の若かりし米山は『主演の隣にいて横やり入れてるキャラ』っていう感じの役をやってみたいなぁ。主演って役割重いけど主演の隣にいるってなんかおいしくていいよね。とかそんなバカみたいな単純な事考えてました。
まぁ月日が経って7年後の再演では上記みたいな役をありがたい事に何回か経験した後だったので、
改めて「私本当にダンテやりたいか…?」と考えました。

再演をするってなった時に真っ先に配役が決まったのが彗星マジックの常連客演さんの立花裕介さん。
アルバート役でした。
そうなった瞬間米山は「ダンテやりたいっす」と言っておりました。
ダンテがやりたいというより、もう一回立花さんとぶつかり相撲がしたいって思ったのであります。
立花さんは彗星マジックの劇団員じゃないのに、誰よりも彗星マジックなんですよ。演技が。
凄すぎるし羨ましいし、当時は劇団員として悔しい…!と熱い想いも抱いてて、それは「憧れ」とか言いたくないけど、でもそれくらいの人だと思ってました。
ツアーで周った「ポストグラフ」でもわりと立花さんを浴びたんですが、
※2015年初演、2018年再演でツアーに回った作品

今まで立花さんが色んな意味で上の人、私が色んな意味で下の人、という役が多くて、
7年後の色々経験して成長した(はず)の今!
立花さんと「相方」として芝居してみたい!という欲でした。
勝山さんもあっさり良いんじゃない?って言ってくれたんで、
再演ではダンテになりました。

チラシ撮影の様子

いざ稽古になるとまぁ楽しい事!
ダンテってこんな楽しい役なのね!と思って稽古しておりました。
天真爛漫の明るい姉御って感じ。わりと得意分野!(だと思ってる)

難しい事も理解しなきゃならなかったけど、7年前の知識があったのでそんなに苦戦せず。
立花さんとのぶつかり演技もなんかめっちゃ楽しかったんです。
あ、今カチッとハマったかもしらんって瞬間が何度かあって、
おそらく立花さんもそう思ってくれてたりして、
なんとなーく「この7年間、私色々経験してきたんだなぁ」と実感した公演でした。

しんどかった事といえば、コロナ禍で稽古や公演の色々な慣れない制限とかが死ぬほど大変だったのと、
公演直前に引っ越しを控えてたので、引っ越しの準備を並行でするのがまじでしんどかったです…。
皆公演期間に引っ越しとかやめようね。

2024年3月 ワークショップ公演「アドルフ」

そして今回ですね。

このワークショップ公演は短編集をするつもりで私が企画を提案しました。
突劇金魚のGFTとか空宙空地のクリエイションツアーとか、劇団としても参加者として横の繋がりが増えるなぁって思ってて。
あと、私もかれこれ15年くらい前にHYTという今をときめくピースピットの末満健一さんがプロデュースしたワークショップ公演に参加して、
今の同世代の繋がりがあるようなものだったので、単純にいつか彗星でやりたいなぁって思ってました。

若い劇団員が増えてきっと劇団員の子達も同世代の繋がりが欲しいだろうし、彗星マジックとしてももっと色んな人に劇団の事を知って欲しい。
じゃあ!何人来てくれるか分からないけど、彗星に出演してもらおう!それで皆仲良くなろう!!
という、すごくざっくり言うとそんな企画でした。

しかし短編集で提案してみたんですが、
夏に彗星の劇団員だけで短編集をした時、とにかく大変だったね…。
役者もスタッフもとにかく大変だったね…。
という話になり、彗星の作品に出るとなったら長編の方が出演する醍醐味があるのでは?ってなって、長編をすることに。
候補に上がったのが、
・アルバート、はなして
・ポストグラフ
・詩と再生
でした。

最初はまじで応募は少ないと思ってたんです。
シングルキャストで足りなかったら誰か客演さん呼びましょうか。という話をしてたくらい。

でも蓋を開けてみたら、
あれよあれよと沢山の応募が…!
え、彗星ってこんなに皆に知られてたん?と普通にビックリ。

とりあえず、登場人物が一番多い「アルバート、はなして」にしよう…。
え…もうシングルキャストだと役が足りない…?
じゃあダブルキャストにするか…。
ダブルキャストでも足りなくなってしまった…。
今回オーディションでは無いし落とす事はあまりしたくない…。
じゃあアンサンブルも含めましょうか…。
って事で、ダブルキャスト&シングルキャスト合わせて総勢24人でお送りする事になったというわけです。

突劇金魚のGFTに比べたら24人なんてめっちゃ少なく感じるんですが、
彗星マジックの本公演は多くて13人とか14人とか。
なので、20人超える事なんて無いので、人数の多さに慣れない慣れない。
突劇金魚の凄さを感じました。

なんで米山がアドルフになったのか?

そう。これなんですよね~。
初演再演と観ていただいた方は分かると思うんですが、「アドルフ」という役は男性の役。
あのアドルフ・ヒトラーです。

ちょびヒゲ。

配役を出演者陣に発表した時にもビックリされたし、
観に来られた過去のアドルフを知ってるお客様にもビックリされました。
私もビックリしました。

今回稽古始める前に、配役オーディション的な事をしたんです。
2月頭くらいに。
その中で、アルバートの台本をシーンごとに演じてもらったんですが、その時劇団員は相手役の補佐に回ったりしてたんですよ。
その時、私がアドルフをやるタイミングがあって。
「あれ?楽しいな」ってなったんです。
まぁ、でも普通にアドルフはありえへんなとその時は思ってました。

オーディション全日程が終わって帰り道。
勝山さんと配役について話してたら、勝山さんから「アドルフのハードルが高い」という話になりました。
「アルバート、はなして」におけるアドルフは高圧的で偉そうで自分勝手。それに似合う子がなかなか居ない…。アドルフを誰にしようか悩む…との事。
初演は立花裕介さん。
再演は三等フランソワーズの中川浩六さん。
この配役を見るだけでも、ハードル高ぇ…ってなる。
そこで何も考えてない私がポロっと「アドルフ楽しかったからやってみたいんだけどなぁ男だしなぁ」みたいな事を言ってしまったんですね。
そしたら、勝山さんも「俺もヨネのアドルフどうかなと考えてた」って言いだして、ええ!?ってなりました。
まさか勝山さんも思ってたとは思わず。
そしてあれよあれよと米山がアドルフをやる事に。

ちなみに、もう一役ハードルが高かったのがアルバートの父ヘルマン。
とってもとっても大事な役で、とにかく「父」に見えなければならない。
でも受けてくれた皆が若い子ばかりで、ヘルマンが居ない…となり、野倉良太くんを客演を呼ぶことになりました。

役作り楽しすぎて遊びまくったアドルフ

配役が決まって、考える事は「女のアドルフとは…?」って事。
結構色々な案を考えてみたんです。
・キャリアウーマン的な出来る女アドルフ
・米山そのままのイキのいい感じアドルフ
・陰湿に暗い貞子みたいなアドルフ

色々考えてた時に、勝山さんが「『さかなのこ』ののんちゃんがやってた感じの存在が良い」と言われました。
さかなクンの半生を描いた映画で、のんちゃんはさかなクンを演じていたと。
さかなクンは男性だけど、のんちゃんは女性。
でも見てる最中、性別なんて気にならなかった。
そんな存在が良いっていうアドバスをもらいました。

そうか~なるほどな~ってなって、
最終的に行きついたのが、
・ピーターパンシンドロームのアドルフ
でした。
今保育園で働いてるんですが、
子供って男だからとか女だからとかそういう概念あんまり無いなーって思ってたんです。「子供」という性別って感じ。
だからいい機会だしいつまでも子供の精神年齢でアドルフやってみよってなりました。

そしたらなんか楽しいのなんの。
絶対悩んで頭抱えると思ってたんですが、
なんかものすごく自由でした。

突然しゃべり出す長セリフも、過去にさんざん聞いてたからすんなり入って、あんなに長セリフが楽しいって思った事無いかも。

メイクはクマ作って、
前髪が眉毛の上なのがこだわり。

劇中、出演者の工藤くんにウザ絡みするシーンあるんだけど、遊びすぎて本当に迷惑をかけたね…。
でも困ってる君の顔をもっと見たいって思ったんだ…ごめんよ…。

最終的には衣装髪型メイクとキャラが相まって皆に「ピエロみたい」と言われるようになりました。
ああなるほどピエロね。いいじゃんピエロ。アドルフにぴったりじゃん。

そんな感じで稽古から本番まで楽しく演じれました!
あとワーッ!と長セリフ喋って最後に「立ち上がれ国民よ!」で最大のデカボイスで言うのが謎のストレス発散になってた。笑

とにかく楽しく終われました

本当に今回まさかアドルフやるとは思ってなかったけど、結果やって良かったなって心底思います。
この公演でも自分の色々な経験を実感した。
やり続けるって大事だね。
性懲りもなく次やるなら何やろうかなぁとか考えちゃうよね。
ウルズとかやりたいなぁ。楽しそう。

そんなこんなのワークショップ公演でした!
あー楽しかった!!!


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