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フジロック2021 Day1レポート


・OKAMOTO'S (GREEN STAGE)

2011年のレッドマーキー以来、10年振りの出演で初のグリーンステージ。よく出ていそうな割に、思いの外ブランクが空いていた。

久々に観たけれど初期のガレージ感は影を潜め、レッチリ的なダイナミズムを感じさせるスケールの大きなサウンドに、ああグリーン進出は今でよかったのではないかと思った。キーボード有りの5人編成になっていたのも大きい。

OKAMOTO'Sはイメージの更新に成功したバンドで、サブスクのトップソングを見ていても近年の曲の方が多い。セットリストもそのような現況をきちんと反映しているものだった。

ちなみに「Beek」の時、「10年前のリベンジ」と言ったのは何だったのかと思ったら、前回出演時に緊張して曲を飛ばしてしまったという事らしい。(Twitter情報が正しければ)

Border Line
Picasso
Welcome My Friend
Misty
Sprite(新曲)
Beek
Lagoon
Young Japanese
BROTHER
ROCKY
90'S TOKYO BOYS


・TENDOUJI (RED MARQUEE)

どんな場所もハッピーなダンスフロアと化す彼らのライブがフジロックとの相性抜群なのは、もはや明白。苗場食堂を経て初のメインステージ進出となった今回も、矢継ぎ早にキラーチューンを繰り出して観客を踊らせていた。ちょっとしたVJ付きだったのも嬉しい演出だった。

後半には同日同ステージに出番があるTHE BAWDIESのROYが登場し、コラボ曲を披露。前に彼らのライブを観た時も思ったのだが、後半になると踊れるより聴かせるナンバーが増えるのはどういう意図なのか知りたくなった。

アサノが「とにかくダサい事しないようにしましょう。これ(音楽)一本で、今年はめちゃくちゃ楽しんでいきましょう。」と話していたのが、とてもよかった。そして「やっぱここがないとやってられないなという感情になったと思うんです」とも。御意。

COCO
FIREBALL
Killing Heads
Kids in the dark
STEADY
HEARTBEAT
CRAZY (feat. ROY)
D.T.A.
Peace Bomb
HAPPY MAN
THE DAY
GROUPEEEEE



・yonige (GREEN STAGE)

TENDOUJIを終えて1曲目終盤に到着。正直フジに出るのが意外だったバンドで、しかも初登場でグリーンステージという抜擢ぶり。このバンドは初期のイメージしかなかったが、「さよならプリズナー」や「アボカド」といったかつての代表曲は既にセットリストから外れ、60分もの持ち時間で盛り上がるアッパーチューンすらほぼなかった。

適当に手を挙げて盛り上がれるような曲がある方が楽しい雰囲気は出るし、フェスの場においては明らかに有利だ。実際、途中で離れていった人もいた。でも分かりやすさに頼らないところが潔かった。そうして深い所で繋がれたリスナーとは、深く長い付き合いになるのだと思う。

11月24日
ここじゃない場所
2月の水槽
バッドエンド週末
往生際
催眠療法
わたしを見つけて
子どもは見ている
27歳
サイケデリックイエスタデイ
ピオニー
トラック
対岸の彼女
最愛の恋人たち



・H ZETTRIO (RED MARQUEE)

元PE'Zのメンバーによく似た(一応お約束)3人から成るジャズトリオ。前回出演時のFIELD OF HEAVENでのライブが良かったらしく、再び出る機会を伺っていたバンドだ。PE'Z好きとしては「晴空 -Hale Sola-」(「Hale no sola sita ~LA YELLOW SAMBA~」のセルフカバー)がやはり嬉しく、ああできればこれは屋根付きのステージではなく開放的な晴れた空の下で聴きたかったなあと思った。

2002年当時の耳からするとPE'Zの存在はとても鮮烈で、ロックのフィールドにジャズという価値観を持ち込んだ、それこそ黒船のようなものだった。インストバンド界では老舗とも言えるスカパラの存在も大きかったが、彼らがヒットチャートで目に見える結果を出し始めたのは主に歌モノ3部作以降であり、インストバンドがスタイルを変えないままメジャーシーンに広がっていくのは新しかったのだ。

正直もっと後世から語られてもいいほどの功績だと思うのだが、PE'Zのあの胸躍るサウンドが形を変えてでも2021年にも生き続けている事実は、なんだかとても嬉しかった。(PE'Zの話が長くなりすぎたのでここでやめます)


・THE BAWDIES (RED MARQUEE)

久々に拝見。この日お披露目の新衣装に身を包んだ4人は、ちょっと若々しい印象になっていた。ライブは序盤からフルスロットルで、「皆さん遅れないようについてきて下さい!遅れたらどうなるか分かりますか?IT'S TOO LATE!」という曲紹介はお笑いでいう営業の鉄板のツカミのような安定感である。

ROOKIE A GO-GO出身でありその後も度々出演しているバンドだが「俺らが初めて来た高3のフジロックから20年」と語っていた通り、最初は4人とも観客だっただけあってフジロックへの思いは一入の様子。会場中の共感を得たところでセットリストは終盤に入るかと思いきや「HOT DOG」に繋げるための謎の寸劇が始まり、レッドマーキーのテントの中は不思議な空気に。こういうノリもやるバンドだったのか...!

余談だが、デイリー新潮の記事にはTHE BAWDIESのライブを観たという記者がこんな記述をしていた。

「みなさん! 大きな花火を打ち上げましょう!」

ボーカルがそう叫ぶと、「せーの」で観客がジャンプ。「さぁもう一度!」。何度も煽り続けるボーカル。客は声を出していない。だが、息は切れ切れだ。

んー、ちょっとこの論調は苦しい。息は切れ切れ、には到底見えなかったのだけど。

LET'S GO BACK
IT'S TOO LATE
YOU GOTTA DANCE
OH NO!
RAINY DAY
LEMONADE
KEEP YOU HAPPY
T.Y.I.A.
HOT DOG
SKIPPIN' STONES
JUST BE COOL
KEEP ON ROCKIN'


・SOUTH PENGUIN (苗場食堂)

2016年にROOKIE A GO-GO枠で出演したSOUTH PENGUIN。そこから5年を経てのカムバック且つ念願の場内ライブとなった。しかし今年はステージ数減少の関係でルーキーと苗場食堂が同じステージになっており、結局さっきまでルーキーが出たステージに出演する事に。これを半ば自虐的に話し、ウケていた。

なんでも5年前、彼らはルーキー出場者の投票企画で15組中15位、つまり最下位だったらしい。確かにこの年は羊文学、MONO NO AWARE、yahyel、SIX LOUNGEといった出世組が名を連ねてはいるのだが、それにしても最下位は驚きだ。中には今活躍していないバンドもいるし、フィールドは違うがM-1決勝最下位を経て優勝を掴んだマヂカルラブリーのようなミラクルもないとは言えない。メンバー脱退などの危機を経て状況が整い、傑作アルバムが出てまさにこれから!というところでコロナ禍で活動がセーブされてしまったバンドなので、次のアルバムでの飛躍に期待。

・猪苗代湖ズ (GYPSY AVALON)

翌日にサンボマスターとしての出演を控える山口隆、クリエイティブ・ディレクターの箭内道彦、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT 16)、松田晋二(THE BACK HORN)から成る4人組。バンドは2011年の東日本大震災を受けて結成され、その後も不定期でライブ活動を続けて今年で結成10周年。しかし正式にCDリリースされているのは未だ1曲のみで、今回は50分もの持ち時間をどう使うのかと興味深く観た。

今回のセットリストは5曲という事で元々MCの尺の方が長いくらいではあるけれど、開始35分の時点で披露したのは「yes!」と、箭内さんが長澤まさみに提供した曲「タイムマシン」の2曲のみ。MC中、残り14分であると気付き焦った山口さんがあと3曲やるつもりで何とか進めようとするも、箭内さんが話を脱線させてしまう。結果、「予定」をなんとか披露したものの、終了予定時刻でまだ4曲目「福島に生まれなかったら僕は」の途中だった。

押し切ってラストの「I love you & I need you ふくしま」もそのまま演奏したけれど、こちらとしては10分後のMETAFIVEに遅れられないため、聴きながらステージを後にするハメに。一番大事な曲なのに!「俺らもうフジロック最後なんじゃないか」と山口さん言ってたけど、そうかもしれない...笑

・METAFIVE(砂原良徳×LEO今井) (WHITE STAGE)

元々楽しみにしてはいたけれど、ある種今回一番の注目アクトになってしまったMETAFIVE。高橋幸宏、小山田圭吾、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコの4人が欠席で、サポートに永井聖一と白根賢一を迎えるという一夜限りかも知れない編成だった。バンド名はファイブでも実際は6人組(元々「高橋幸宏&METAFIVE」というバンド名だったため)なので正式メンバーが1/3しかいない中、まずよくキャンセルしなかったと思う。

発売中止になった新譜に収録予定だった曲、その中でも先行リリースされていた曲、既発のフルアルバムとミニアルバムの収録曲など、幅広い選曲で60分近いライブは進む。今回が初見だったのでかつての編成と比べられないのが残念だけれど、「Don't Move」のリズムを完コピした場面には痺れたし、よくカバーしてくれていたと思う。ラスト「環境と心理」で小山田の代わりにLEO今井が歌い始めた時は少し切なくも感じたが、楽曲を繋いでくれてありがとうという気持ちの方が大きかった。

多くを語る事はせず、ラストの「緊急事態中のMETAFIVEでした」という言葉に全部が入っていた。今回は小山田の一件がなくても幸宏さんの身体の問題もあったので全員が揃うのは無理だったのだと思うけれど、次はフルメンバー揃ったライブが観たい。

Full Metalish
The Paramedics
Music Chairs
Maisie's Avenue
Gravetrippin'
Luv U Tokio
Peach Pie
Disaster Baby
Whiteout
Don't Move
環境と心理

・millennium parade (WHITE STAGE)

普段ならグリーン、ホワイト、レッドマーキーの3ステージは海外勢をヘッドライナーに据える(※フィールドオブヘブンでは邦楽アクトが務める事もある)のが通例なので、今年は日本のアーティストがトリを務める点がいつものフジロックと違うところだ。

ミレパのライブでは中央の巨大なオブジェがプロジェクションマッピングになっていて、楽曲によって表情を変えていった。フジロックではヘッドライナークラスの海外勢がワールドツアーからそのまま持ってきたような巨大なステージセットを配置するのをしばしば見かけるけれど、それらと比べても全く遜色がなかった。音楽的にもヒップホップ~R&Bを中心としながらも多様なジャンルを横断してミクスチャー化し、尚且つアート性まで兼ね備えているという、ある種フジロックがやってきた事の集大成のようなステージだった。

井口以外のKing Gnu3人はフルで出演したが、他のメンバーは楽曲によって変動していった。また後半には井口も登場し、4人が勢揃いする場面もあった。King Gnu好きな若い世代のリスナーがミレパのライブを見たら、カルチャーショックを受けるんじゃないかと思う。日本でこれができる人、ちょっと他に思い当たらない。それはKing Gnuで得た知名度と予算をぶっ込んだ上でデカいアートをマスに向けて放っているからで、最初からミレパだけを地道にインディーズから育てて...とやっていたらこうはなっていないはずだ。今回、配信含めるとフジロックには行けない層にもこの凄まじさが届いたのは、とてもよかった。

NEHAN
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Dark
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