フジロック2021 会場レポート

2021年8月29日 18:44

依然として議論が収まらないフジロック。名前だけは誰でも知ってる超大型フェスだけあって、批判の格好の的になってしまった感じがする。その矛先は出演アーティストにまで向き、それはそれは地獄の様相を呈している。

案の定、ネットやテレビでも殆どが批判的な論調で報じていた。今年設けられているマナーに言及した後、「中にはこんな参加者も」と守っていない人を取り上げるケースが目立っているように思う。あくまで「中には」という程度なのだが、結局尺を割いたり見出しになったりするのはそちら側である。会場の多くの人はマナーを守っているのに、一部の人間のせいでフジロックの民度が問われる事態となった事は、大変悲しい。ラブ&ピースどころか、今やフジロックは分断の象徴になってしまった。

会場内にも潜入して取材した記者もいるようだが、それはつまり会場にあら探しをしに行って、このご時世にこんな大騒ぎをしてますよ！皆さんどう思います？とネット民を煽るのが仕事である。しかし報じる側の人間はフジロック、ひいてはライブカルチャーをよく理解していないケースが多く、的外れな批判もあった。しかしその記事は多くのフジロックを知らない読者にまで届き、更なる怒りを買う。こうして更なる温度差が生まれていくという悪循環に陥ってしまっていた。

ちなみに動員は公式発表によると、
8/20(金) 12,636人
8/21(土) 13,513人
8/22(日) 9,300人

だそうで、完売すると1日4万人を収容する同フェスにとっては半分以下どころか定員の1/3～1/4程度だった模様。直前に参加のキャンセルが相次いだのが原因のようで、やっぱり採算のとれる感じではなさそうだ。ちなみに最も動員の多かった土曜日のチケットは他2日に先駆け8/10(火)に、金・日曜分も8/19(木)に販売を終了し、当日券の販売はなかった。

ここからは11回目の参加という中堅フジロッカーである僕から見た会場の様子を書いていきたいと思う。

まず、感染症のリスクさえなければ(それが唯一にして最大の原因なのだが)、場内は超快適だった。こんなに快適なフジロックを味わった事は過去にない。今後もないかも知れない。各セクションで、大幅に時間を短縮する事ができたのだ。

・シャトルバス
駅に着いた時は検温待ちの長い列ができていたがスムーズに進み、待ち時間なく乗車する事ができた。しかも越後湯沢駅から会場まで、35分程度で着いた。通常なら1時間はかかってもおかしくないはずだ。駅を10時頃に出発したバスが10:35に会場に到着し、11時開始のGREEN STAGEのOKAMOTO'Sに間に合うなど、例年ではまず有り得ない。

・トイレで並ばない
今年はトイレを一度も並ばずに利用できている。これもフジロックでは有り得ないことだ。例年だと夜になるほど列が長くなる傾向にあるが、夜でも並ばずに済むのは異常事態である。客が少なかったのと、酒が売られず尿意が促進されなかったのが要因と思われる。

・ドラゴンドラを独り占め
フジロック会場にはドラゴンドラという日本最長のゴンドラがあり、会場の名物となっている。片道20分ほどかけて山頂までの景色を楽しむのだが、通常であれば混雑し、知らない人と相乗りになってしまうケース(特に往路)も多い。しかし今回は乗車待ちをする事もなく、ゴンドラ内を一人で独占する事ができた。今年の場合、マスクを外して過ごせるリラックスタイムにもなった。

・飲食の列の短さ
動員が減ったとはいえ、そこでフードが減ってしまっては結局並ぶ際に密が起きてしまう。よって、屋台の数はあまり減っていなかったように思う。(フィールドオブヘブンのステージ後方に配置されていた店は、マスクを外してのライブ観覧を避けるためか、なくなってしまった)
普段では考えられないほど、待たずに食事にありつける事が可能だった。アルコールの販売がなかったのもフジロックとしては異色だ。

・ステップマークの導入
ステージ前方では密を避けるため、地面に立ち位置を表した目印が設けられた。基本的に守られてはいたのだが、夜になると暗くて見えなくなってしまうのが弱点でもあった。特にKing Gnuの時に立ち位置を無視して割り込んできた人、本当に不快だった。しかも連れと一緒に煙草まで吸ってたのも本当に許せず、思わず注意してしまった。恥じてほしい。

<GREEN STAGE>