2021 年間ベストトラック 番外編

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地平線 Ma/AJICO

2年振りのフジロックではコロナ禍により海外アクトの出演がなくなり、必然的に国内勢が増加。若手が存在感を示す中、20年振り復活のAJICOが私的ベストアクトだった。4人揃うだけでゾクゾクする存在感、安易なジャンル分けのできないオリジナリティ、過去のヒット曲も今の方がかっこいいのではとすら思わせるアップデートぶり、どれを取っても凄かった。この曲は20年振りにリリースされた新作のリードトラック。

カキツバタ/Pii

どこから出てきたのかよく分からない楽曲・ミュージシャンがバズる事が増えたここ2~3年だけど、メジャーレーベル発でリリース前から宇野維正が絶賛していたため何かあるなとは感じられた曲。正体不明、青髪のキャラクター、avex、頭文字がPというヒントからAwesome City ClubのPORINを連想する声が続出。加えて小沢健二が配信ライブでカバーした事から、もはやファンにとっては周知の事実となった。タムくんが手がけた温かなアニメーションは「大人向けのみんなのうた」感。

nyan光/NIRGILIS

突然の復活、しかも解散時のメンバーはアッチュのみでその前に在籍していたオリジナルメンバーがカムバックというまさかの展開。ちょっと懐かしい匂いのするテクノポップを現代にアップデートしたニルギリスらしい曲。

碧い鏡/サンダルテレフォン

90年代J-POPのオマージュなのは一聴して分かるけど、その中でも歌い継がれてない側というか、「ああ、こういう曲あったよね」的な埋もれていったサウンドを感じさせるのが面白い。当時の音楽ファンに熱烈な支持を受けたわけでもなく、マスに寄せようとするも結局は長く残る事もなかったJ-POPのイメージ。それを今、いわゆる楽曲派系のポジションにいるダルフォンがやって、面白い!と思う人がいる。このねじれた現象が興味深い。

縁/ヒグチアイ

『生きるとか死ぬとか父親とか』のEDでトッキーさんが父親と口ずさむ映像が印象的。あなたがいたからわたしがいる、わたしがいたからあなたがいるという言ってみりゃ当たり前の事実を敢えてサビで広げていくあたりは、「ラブ・ストーリーは突然に」に通ずる気も。

EVERBLUE/Omoinotake

メジャーデビュー曲。歌い出しはほぼ山下達郎だが全編を鍵盤が引っ張るとともにサビで大々的にホーンをフィーチャーしカラッと開放的なサウンドに。これは新時代のシティポップ!

fade/04 Limited Sazabys

新曲CDをグッズとセットで通販限定リリースする施策「Yon Express」。アメリカの運送会社・FedExのオマージュと思しきロゴで統一されたグッズがとにかく可愛く、思わず購入した。そのCDに入っていた新曲がこれ。斬新さや奇を衒ったところのない青く真っ直ぐなファストチューンで、フォーリミのド直球を投げてきた印象。意外と今いないタイプのバンドだし、自分がティーンの頃に出てたらライブハウスでガンガンモッシュしてたと思う。

shift command/Kroi

ブラックミュージックのエッセンスを様々なジャンルと融合して鳴らす、昨今のトレンドを汲んだバンドの中でも今のシーンをリードしているのがKroiだろう。この曲、ほぼ英詞なのかなと思って歌詞を見ていたら9割は日本語で、言葉のチョイスと発音のバランスがとても気になる。

夏も冬も/ういんたぁ~す

ROCKETMANプロデュースによる、さまぁ~ず×ふかわりょうによるユニット。ローファイヒップホップ系の結構ちゃんとしたトラックにおじさん3人の自己紹介が乗っかった、期待を上回る名曲。さまぁ~ずと言えば、昔やってたマイナスターズの「心配性」をラジオで聴いた時大爆笑したけど、今回もなかなかのクオリティ。本人達はこれと言って音楽に詳しいとかではなさそうだし、周囲のディレクションに恵まれてるんだな。

あびばのんのん/Tempalay

OPのコーネリアスで色々あった『サ道2021』のEDの方。琴の音色をフィーチャーした和のテイストを感じさせつつも、サイケでチルでポップで不穏なTempalayにしかできない不思議なバランスの曲に。シングルのカップリングには"料亭 Ver."として日本料理屋で小さくかかっているBGMのようなアレンジver.も収録されていて、そのアイデアには脱帽するほかない。初回盤は風呂桶などのお風呂グッズがセットになっていて、買ったものの本当に部屋で邪魔。笑

Slow Dance/SOMETIME'S

ヒゲダンやスカート等が所属するポニーキャニオンの新レーベル・IRORI Recordsからメジャーデビューした新鋭2ピース。ホーンとストリングスをフィーチャーした清涼感溢れるポップスで、ドライブ中のラジオから流れてきたらめちゃくちゃ気持ち良さそう。

ライブハウス音頭/四星球

コロナ禍で大きなダメージを受けたライブハウスとライブハウスを愛する音楽ファンにエールを送るべく作られた楽曲。音頭のリズムでライブハウスあるあるを歌うという、組み合わせの違和感が面白い。音頭は全員同じ振りを踊る文化なので、この厳しい状況でもみんなで心を1つにしてライブハウスを盛り上げていこうというバンドの気概をとても頼もしく感じた。岡崎体育「MUSIC VIDEO」のライブハウス版と言ってもいいのでは。

好き好きロンちゃん/好き好きロンちゃん

2018年の夏の魔物で、冒頭♪笑い飯じゃないよ~のツカミからいちいち衝撃的だったRONZIさんのソロ。当時はRONZI名義だったしこんなヴィジュアルではなかったのだが、いつの間にか幡ヶ谷のラーメンアイドルという設定が足されて本格始動。どちらかと言えば硬派なイメージのあるBRAHMANからこのキャラクターが生まれ、尚且つ受け入れられている状況、毎度面白過ぎる。アイドル文化の成熟の極致。

アイラヴユー/SUPER BEAVER

「アイラヴユー」なんて超直球モノだし過去に同名の名曲だってあるし、生半可な気持ちで手を出しちゃいけないタイトルだと思う。そこを乗り越えられるのはやはり言葉の力であり、ビーバーの得意とするところなんだろう。アイラヴユーとただ伝えるのではなくそう歌いたいのだという気持ちは、直接声を届ける事すらままならないこのご時世ならではなのかも知れない。

Out of the blue/乃木坂46

乃木坂に一切靡いてこなかった自分だけど、アッパーなフィリーソウル歌謡でこれは好き。2010年代半ばまでのアイドルソングっぽいけど、こういうの最近めっきり減ったなあ。


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