(日記)元カノ鑑定団

<6/17 日曜>

昼。
ふと、今年の目標を考えた。

出た答えは「揚げ物が作れるようになりたい」だった。私はこれまで揚げ物作りを避けてきた。揚げ物は買うもの・もしくは料理上手の我が母が作るものと決めていたし、避けたまま死ぬと思ってた。だけどさすがに子供を産んでからのここ数年…うっすらと積もる「埃」のような罪悪感と恥ずかしさみたいなものが、いつの間にか糸になり縄になり私の首やさしく締めようとしている感。インスタで綺麗にトンカツ揚げてるママ友みて心に引っかき傷できるくらいには囚われ始めていた。

よし今年中に揚げ物!と決めてすぐ仲のいいママ友に「今年中に揚げ物つくれるようになりたい。教えて」とLINE。以前我が家でフライドポテトをなんなく揚げている彼女をまぶしく見つめたことがある。彼女に教われば大丈夫!今年中には、揚げられる!と希望が見えた。


その矢先、夕方。
突然「今日叶えよう」と思ってしまった私は「からあげにしよう」と決めスーパーに材料を買いに行った。クックパッドを見て夜17:00、つくれぽ5588件の殿堂入り唐揚げレシピに習い、なんと速攻唐揚げが完成してしまった。断食6日目の私は食べなかったけど、子供たちは一瞬で完食。人生のステージが上がった気がした。ちょっと感動した。


次の日の朝はじゃがいもを刻みハッシュドポテト(念のため補足するが揚げ物)を作った。その夕方にはおやつに、じゃがいもを切ってフライドポテトを揚げた。

そして…なんと少なくともここから6日間…記憶にあるだけでも…フライドポテト2、からあげ2、ささみチーズフライ1、豚コマ唐揚げ1、さらなるハッシュポテト2(つまり全3回)、えのき茸の素揚げ1…回の揚げをしている。毎日何かしら揚げてる。そう、わたしはすっかり、「揚げる」行為にハマってしまったのだった。

前述のママ友には、揚げブームを告白し今度むしろ私の揚げ物食べてと切にお願いした。ギター初めて弾いた少年が、つぎは人前で弾いてみたい…と湧き立たせる感情たぶんこれ。

<6/18 月曜>
断食明け初日。昼食はチョップドサラダ専門店でサラダとブロス。くびれてる人の書く単語。

<6/19 火曜>
信じられないほど仕事が進まなくて信じられなかった(←このくらい意味のない文章しか書けなかった)。振り返ると、断食明けの低血糖による集中力低下が原因。

<6/20 水曜>

私の人生における、ささやかなターニングポイントが訪れた。
この日私は大学の同級生に生まれた新生児に会いに、同じく大学の同級生たちと朝から集合していた。そのうちのひとりが、ふと、私の元彼の、元カノのSNS画面を見せてくれた。数年前一度だけその元カノに会ったことがあったのだけど…見せてもらったそのタイムラインには彼女の現在の姿、海外に事業をしに行ったこと、最近ラジオに出演したという情報が載っていて、それを見る私は心臓から嫌な汗が滝。


世界一の元カノになることをライフラークにしている私なのにこいつノーマークだったわ不覚。元カノが一人でもメディアに出てるなんて…信じられない潰す…と、書いてはいけない感情を心に確認した私、その場は平然を装い暗記したアカウント名を家で検索、鍵付きだったので入れずgoogleで片っ端からそのラジオ番組やその子の行っていた国や名前をいれまくること60分…
ぜんぜんそれっぽい情報が出てこないのでこれはそんなに活躍もしてないな!と一旦ド安心し、ノーマークのままでおっけー、と元カノ鑑定団は終了。もう、焦ったんだから!と思ったものの…

ここで改めて2つの発見があった。
私が元カノに驚異を感じる指針とはどれだけメディアで取り上げられてるかとか有名かとか「わかりやすく成功してるか」であること。もう1つは、私は元カノ達全員を基本的にみくびりすぎていること。元カノ群のアカウントは頻繁に追っているつもりだったが、今後どんな元カノが飛び出すかわからない。あぐらを書いていた自尊心殴られた気分だった。そして、死ぬまでにやりたいこと100を新たにまた書き始めたのでした。雑魚元カノ、ありがとう。

<6/22 金曜>

髪を切る。近所に最高のプリンを出してくれる喫茶店を見つける。これから先どれだけ落ち込んでもこのプリンがあるから大丈夫と思うほど美味しくて涙が出そうになる。かなり洒落た純喫茶風の店は、郊外にある人気店の二号店として去年オープンし、遠くから来る人も多いようで、みんな写真撮ってる。一眼で食べ物撮ってる人さえいる。わたしは渋いイケメン店員さんが料理する厨房の目の前の席に座ってしまい「こんな時代に、あえて写真なんて取らずにシンプルにプリン食べに来た真っ直ぐな子」を演じようと、写真撮りたい気持ちを抑えてiPhone出さずひたすらプリン噛みしめた。

<6/23 土曜>
翌日。こんどは息子を連れて、またプリンを食べに来た。この日は、イケメンいたけど厨房から死角の席だったので思う存分写真撮った。

<6/24 日曜>
子供達が水遊びするのを眺める日曜。お昼ご飯は公園にきてる屋台。子供が思いっきり走ってると、自分も運動したようにストレス発散されるから充実感。できれば競馬場みたいな距離感で子供が延々はしゃいで走ってるとこ観戦したいくらい。

そしてそれを四六時中本当は、元彼に観戦されていたい。


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