100%のメンヘラだったのにそこから抜け出して完全なるきらきらリア充になれた理由を分析してみた



私がどのくらいメンヘラだったかというと
全身黒い服で軽音楽部でアシンメトリーで彼氏に会えないと絶望して泣いてリスカで気を引いてきれて私のこと好き?嫌いになった?まだ好き?ほんと?本当に?を一日何十回も確認しても不安でメール送りまくって電話しまくってでも会えないと不安で結果20時間くらい一緒に過ごすことになりすぐに飽和状態になりそんな自分に自暴自棄になりブログにリスカしたって書いては心配されたことを確認してずっとそばにいるからと言われたいがために過呼吸になって他に好きな人ができたり大失恋をして激痩せしたりわざと吐いたりそれを小説に綴ったりブログに書いたり歌詞にしたり長いバンド名をつけたり椎名林檎のファンクラブ入ってるくらいにはメンヘラだった。



だけどいまどれくらいメンヘラじゃないかというと
自分が「メンヘラでした!」とメンヘラな理由をnoteに書けるくらいにもう私はメンヘラを卒業している。



あの頃私はほとんどのメンヘラがそうであるように
自分がいわゆるメンヘラだとまったく気づいていなかったのだった。ただただ自分の事を、【人とは違う感情豊かで愛情に溢れて寂しがりやで繊細で感性が豊かすぎて可愛くて放っておけない19歳】だと思っていたのだった。
これはほぼ「登山」と「遭難」が【「山にいる」という点でほぼ変わらないにもかかわらず決定的に違う。】という事実にかなり似ている。ただ山を登っているだけで気づいたら樹海に入っていて気づいたらこんな風にこんなところで遭難していたのか!ということは、だいたい脱出したあとヘリコプターの上からしかその全貌はわからない。もしかして遭難してないかもしれないここは樹海でないかもしれないわたしは迷っていないかもしれないここは正規ルートかもしれない。それと同じでリア充大学生とメンヘラ大学生は【「大学にいる」という点でほぼ変わらないにもかかわらず決定的に違う。】のである。それはあまりにも、田中康夫と道端ジェシカくらいにもはや別物なのである。


そして
そんな私がなぜ今、
コピーライターやCMプランナーをしながら汐留の広告代理店勤務の夫と結婚し新婚旅行のフランスで懐妊し第一子をもうけ夫の車で買い物や旅行に行き花の再生プロジェクトの代表をしながらラジオに出演したりトークゲストとして呼ばれたりという100%リア充、まさに地球の反対側のようなリア充、になったのか、というおとぎばなしについての話である。






私がしたことは

【一年間 精神統一をする】

という修行であった。


リアル精神と時の部屋をつくりあげたのである。
2007年のことだった。



その頃の私は、先述の通り生粋のメンヘラ、
メンヘラの中のメンヘラ、痛いというよりはもうほぼ激痛、歌手になりたいと言い出して大学を辞める!と言ったり劇団四季に入る!といって劇団のオーディションを受けたりするほどに完全なる迷走系メンヘラ日本代表だったのだが、そこに加え、大失恋につぐ失恋、
もともとの【迷わず、人の携帯を見る!!】という癖も相まって、失恋の相談をしていた友達がその彼とにゃんにゃんしていたり、自分が彼女と思っていたのに実は浮気相手だった事がわかったり、まさに【どん底】だったのである。あまりにも傷つき過ぎ中身をすわれきったフキのように萎びた繊維だけだった私はもはや泣きすぎて意識もほぼ毎日朦朧とするなか薄々ここが樹海なのではとうっすら予感する。そしてそれがとんでもなく大きくて抜け出しにくいところなのでは?全貌はわからないけど明らかになんか靄かかってる感。そんななか、どん底が一周回って
フキとして限りなく「無」に近い状態になった私は、
【私は、何を「禁止」したらここから抜け出せるのか】
と考えるようになり、樹海大脱出大計画をはじめるのであった。

その矢先、2007年春、いまの夫にであうことになる。


彼はいままで付き合った誰ともまったく違う人だった。
まず隅々までまとも。まっすぐ良い人すぎ頼れるぶれないつつみこまれたい系、中身は海猿、大泉洋。私たちは就職活動の面接で出会ったのだけど
「あーこういうひとは、まじちゃんとしたロングヘアーの人と付き合うんだろうなー」と絶望しながら見た彼の姿がいまも脳裏にやきついている。



それなのに私の第六感は私に
「これがまじ私の最初で最後のチャンス」と言ってきたのである。



たった1度の最後のチャンス感、広瀬香美感は私の中で強く発光した。作戦を決行する時だと思った。【何】を禁止したらここから抜け出せるのか?
その答えは、【感情の爆発】だと気づいたのだった。

それまでの私は、付き合って一ヶ月半もすればメンヘラが溢れ出し大爆発、もう取り返しのつかないことになりただリスカ号泣、深夜の海、椎名林檎の悪循環連鎖。なんとか爆発を阻止しなくてはと思っていたなか
幸運なことに私たちは東京都と名古屋の【遠距離恋愛】をスタートさせたのであった。はからずともその距離は、爆発に、時差をうんでくれたのだった。

私は【一年間感情を表に出さない】ということを決めた。
爆発させそうになってもメールしない、電話もしない、一年がんばろ、一年がんばろ、脱出、脱出、脱出、と言い聞かせ、爆発しそうになったらノートに書いて、将来結婚したらそのノートを彼にプレゼントしよう。と思った。彼の事が好きすぎたがそれは爆発気配があるすべては水面下に。
私は凪いだ海。葉山の別荘。薄い紅茶。「会いにきちゃったと泣きながら言う為には新幹線に乗らないと行けない距離」最高、である。



そうして
【彼は騙されたのだった。】


それどころか
【私も騙されたのだった。】
彼にではない。自分自身にである。


私は私の感情を一階層下に沈める修行で
自分自身の感情を騙しきった。
まるで取り憑いていた霊が外に出て行くように、私の中のメンヘラが、
「この人、メンヘラの居場所じゃなかったのかも」と言わんばかり、
するりと私から出て行ったのである。

つまり大事な事は

【遠距離な相手と恋愛する。】
【期間を決めて、感情を出さない修行をする】
【自分を小説の主人公だと思ってそれを守りきる】





これでOK~




さよなら、わたしの黄金時代。


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メンヘラ・ハッピー・ホーム スイスイ
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