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ホームトレーニーのリングフィットアドベンチャーレビュー #4 腹筋ガード

リングフィットアドベンチャーブームである。

Twitterでリングフィットアドベンチャー(以下、RFA)の話題を見ない日はない。大抵のアカウントがRFAのエクササイズに悲鳴を上げており、感心しているのだが、今日は数あるエクササイズの中でも行う頻度が高いにも関わらず今ひとつやり方や効果が分かりづらいであろう、「腹筋ガード」について考察していきたい。

腹筋ガードとは何者か

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「腹筋ガード」は、「RFA」の「アドベンチャーモード」における「戦闘」で、敵からの攻撃を受ける際に行うエクササイズである。様子としては、「リングコンを水平に持ち、腹部に押し当てる」というもので、運動の分類としては「アイソメトリクス」の「筋トレ」であることがわかる。ただし、プレイしたことのある方なら心当たりがあるかもしれないが、このエクササイズは漫然と行うとどうやっていけばいいのか非常に分かり難い。「腹部にリングコンを押し付けてるだけでどこに負荷がかかっているのかわからない」といったところか。

これについては、「リングコンの片方が腕によって支えられている」「直立したまま腹部に力を入れる」の2点が原因だろう。解決策は後で述べるとして、問題点のひとつひとつを詳しく解説していこう。

まず、「リングコンの片方が腕によって支えられている」点。「腹筋ガード」は腹筋をターゲットとした運動種目であり、腕の力で押してしまっては全く意味がない(「リング」も、腕じゃなくお腹に力を入れようと言っている)。このことから、両腕は添えるだけにしておいて、腹筋の力によってリングを押す動きが適していると考えられる。

続いて、「直立したまま腹部に力を入れる」点。そもそも、腹筋は「腹直筋」「外腹斜筋」「内腹斜筋」「腹横筋」の4種があり、それぞれ役割が異なる(外・内腹斜筋においては密に連動して役割をこなすし、腹直筋との関係もあるので、ここでの説明は大まかなものである)のだが、「背骨を丸める(腹直筋)」「上体を捻る・横に倒す(外・内腹斜筋)」のどちらにも当てはまらない「腹筋ガード」は「腹横筋」を使うエクササイズであることがうかがえる(「腹筋ガード」の画像にも、ターゲットが「腹横筋」であることが示されているので、見れば一発ではあるが)。

さて、「腹横筋」を鍛えるエクササイズとしては、今や超有名となってしまった「プランク」が挙げられるが、自重をある程度の負荷として利用できる「プランク」と異なり、「腹筋ガード」は直立して行うため、その状態で「プランク」のような力み方をした場合の負荷は、リングコンの反発力と支えとなる腕からの圧力にかかっている。

おわかりいただけるだろうか。ただ立ってリングコンを押し当てるだけのフォームでは、「腕で押しては意味がない」のに、「負荷をかけるには腕からの圧力が必要」になってしまうのである。

こんな矛盾しているようなエクササイズなのだから、よくわからなくて当然である。よくわからないエクササイズは、当然フォームもよくわからないまま行われることになるし、対象筋に刺激の入るフォームを見つけられなければ筋トレとしての効果は薄いと言わざるを得ない。

そうは言っても、せっかく「戦闘」で毎度のごとく行うエクササイズなのだから、効果はありません!いかがでしたでしょうか?などとクソブログのように終わらせては非常に勿体ない。ここはひとつ、「腹筋ガード」の最適なフォームを見つけて、いっぱしの筋トレに仕上げてみるとしよう。

腹筋トレ全ての負荷を塗り替える腹筋ガード

腹筋ガードが「腹横筋」をターゲットとした「アイソメトリクス」であることは先述した。では、「腹横筋」の役割を理解できれば正しいフォームを見つける助けになるかもしれない。

「腹横筋」は「腹圧を高め、内臓の位置を正しく保つ」ための筋肉である。肥満ではなさそうなのに、下っ腹が出ているような人は、この「腹横筋」が弱っており、内臓が正しい位置に置かれていない可能性がある。つまり、今そういう状態になってしまっている人は、この筋肉を鍛えることで、腹部の美しいラインを作っていくことができる(当然、食事管理も駆使して脂肪を落とさなければ腹筋が見えてくるようにはならないが)。

また、腹式呼吸で働くのもこの筋肉だ。腹部を意識して大きく息を吸えば、腹は風船のように大きく膨らみ、また、最後のひと息まで吐ききろうとすれば引っ込んでいくはずだ。このような動きを司るのが「腹横筋」なのである。また、この「腹を引っ込める」動きは腹筋トレそのもののカギを握っているのだ。

それでは今回のキーワードである。腹を凹ませることを「ドローイン」という。これを覚えてほしい。「ドローイン」を行うと、腹部は細くなり、体幹は長くなる。これが筋トレでどういう効果をもたらすのかというと、「ドローイン」によって身体が引き延ばされた状態でエクササイズを行うと伸縮率が高くなり、通常より強い刺激を与えることが可能となるのだ(「ドローイン」自体も、「腹横筋」を収縮させてキープするアイソメトリクスである)。

RFAの「アドベンチャーモード」では、最初から腹筋のエクササイズに「ニートゥーチェスト」があるが、これも「ドローイン」して行うことで通常より強い負荷を得ることができる。筆者は未だゲーム中では見ないが、腹筋の有名なトレーニングとして「クランチ」「レッグレイズ」「ロシアンツイスト」等があり、それらのトレーニングも全て「ドローイン」して行うことで負荷を増すことができるのである。やってみればわかるが、「ドローイン」して行うのとそうでないのとでは反復回数の差に明らかに影響が出るだろう。腹筋トレーニングは、とにかく、ぐっと腹を凹ませて行うことである。

「ドローイン」は、腹筋のトレーニングを行うならば必ず覚えておきたいテクニックなのだ。

腹筋トレのために、腹筋ガードを極めるべし!

「直立状態では負荷をかけづらい問題」は、「ドローイン」を意識することで解決できそうである。ではいよいよ「腹筋ガード」のフォームを考えてみよう。ここでは2つの目的がある。まずは「ドローイン」を体得すること、もう1つは「アイソメトリクス」から脱却して「伸展」の負荷を得ることだ。

まず、腹部は極限まで凹ませる。これが肝要である。そして、腕の力を使ってでもリングコンを限界のちょっと手前まで腹部に押さえつける。容易には力が解けないようにして、「ドローイン」した状態をキープさせるのが目的だ。リングの精「リング」が「腕じゃなく、お腹に力を入れよう」と言ってくるかもしれないが、ここでは無視しておく。腕の力で押し込むのでは意味が無いが、腹筋に負荷のかかる位置にリングコンをもってくるまでは腕の力でやっていくしかないのだ。その状態で、息を吸いながら「キープ」の間に凹ませた腹を徐々に戻すようにするのだが、腕の力はそのままの位置でキープする。

つまり、リングコンの反発力の負荷を得ながら、「伸展(エキセントリック)」の刺激を与えていくのである。「伸展」を行う際は筋肉をコントロールしてゆっくり行うのが鉄則である。そのためには、重ねて言うが「息を吸いながら」行うと感覚がつかみやすいだろう。また、「伸展」は強い力が発揮できるので、腕が押されないようにこらえておこう。

なんだか文がゴチャゴチャしているので、流れをまとめておく。

1.「腹筋ガード」のターンになったら、腹部を思いっきり凹ませる

2.リングコンを腹部に限界ちょっと手前まで押さえつける(「キープ」中に主人公の髪が最大に燃えるような位置を探そう。)

3.「キープ」中は息を吸いながら腹部を徐々に戻していくことで、リングコンを押す。腕の位置はそのまま。

以上だ。

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実際のフォーム。しっかり腹部を凹ませる。身体が前のめりにならないように気を付けよう。

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こちらは悪い例で、腹筋ではなく腕の力だけでリングコンを押してしまっている。「ドローイン」して、リングコンをより身体に近い場所でキープさせよう。

これは「腹横筋」を「最大収縮」させ、「ドローイン」の状態にもっていってから「伸展」させていく運動である。もちろん、「ドローイン」のまま「キープ」して、「アイソメトリクス」としても良い。その場合はより「ドローイン」の感覚を掴みやすくなるだろう。どちらにせよ、「腹を凹ませずに行う」のが負荷がかからず最も無意味なフォームなので、「ドローイン」は必ず行うようにしてほしい。

具体的には、「腹筋ガード」のターン毎に「ドローインから伸展させるver」と「ドローインでキープさせるver」を交互にすると良いだろう。それというのも「伸展」時に負荷をかけるトレーニングは強度が高く、短時間のうちに高強度のトレーニングを行うにはピッタリなのだが、そのぶん疲労も大きいので、何も考えずにそればかり行うとオーバーワークとなってしまうおそれがあるからだ。

ここまでフォームと要領を固めておけば「腹筋ガード」は優秀な「ドローイン」の練習種目でありながら「腹横筋」に負荷をかけられる効果的な筋トレになるだろう。「戦闘」のたびにほぼ必ず行うことになることを考えると、練習種目の位置づけは丁度いいと言える。

「腹筋ガード」によって「ドローイン」の感覚に慣れたら、あらゆる腹筋トレーニングを「ドローイン」して行ってみてほしい。特に「プランク」は腹筋のトレーニングの中では元々負荷の弱い種目であるため、「ドローイン」による負荷は是非とも得ておきたいところだ。「プランク」がキツい人は「ドローイン」によってさらに破格のキツさが体験できるだろう。

今回はここまで。ありがとうございました。

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