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書店の諸事情。

 広島県を中心に積極的なチェーン展開をしていた書店チェーンのフタバ図書が、40年にわたって粉飾決済をしていたことが表面化しました。
「らしい」ことは以前から公然の秘密のようになっていたので、融資していた金融機関も実態は薄々知ってはいたのでしょう。
 それでも貸し出しを断てなかったのは、もし破綻でもされれば、それまでの融資がパーになってしまうという損得勘定が優ってのことだったようですが、広島の活字文化というか、書籍文化が被る損害を度外視できなかったというのも理由のひとつだったのではないでしょうか。

 書籍の流通に関していえば、フタバ書店は絶大なパワーを誇っています。全国の大手書店チェーンである紀伊国屋書店もジュンク堂書店も広島に進出してはいますが出店は都市部に限られていて、広島市内を中心に大型店を随所に展開しているフタバ書店には、そのスケールで遠く及びません。

 主に広島県内をマーケットにいくつかの本を刊行してきての実感ですが、売上でいえばフタバ書店がダントツ。ひとり勝ちといってもいいほどで、他の書店が束になってかかってもかなわないほど強力な販売力を持っています。
 その書店チェーンがもしなくなってしまったら…。
 そんな危機感は金融機関にとどまらず、出版業界全体が共有していたものでもありました。

 幸いにも、3月からは経営権を委譲したファンドによってリスタートすることになったようですが、これで広島市内に基盤を置く主だった書店はすべて「出版不況」の波に呑まれ、経営形態が刷新されたことになります。

 処女作の『「時代の気分」はもう二日酔い。』を刊行したさい、取り扱いのお願いにあがった書店の対応はさまざまでした。ふたつ返事で快く引き受けてくれたK書店にS館。手続きに手間取ったK書店。(イニシャルにするとKばかりですね・笑)。そうかと思えば、M書店のように、にべもなく断られたところもありましたっけ。

 そのときフタバ書店の仕入れ担当だったYさんは、ふたつ返事で引き受けてくれたばかりか、以後の出版でもその都度、販売のノウハウから表紙のデザインまで、いろいろアドバイスをいただきました。そうそう、出版のタイミングについて、初めてご教授いただいたものYさんでしたね。ありがとうございました。

 県内では一強といほどの存在につき、スタッフの一部には勘違いされている方もいて、ときに不快な思いをさせられたこともありましたが、長くお付き合いいただき、またご協力を仰いできた書店さんです。あらたなスタートが吉と出ますよう、心より願っております。

 そうそう、今年はたぶん新刊を出しますので、その節はまたよろしくお願いいたします。




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