見出し画像

四ツ谷、赤坂迎賓館〜下町と壮大な西洋建築〜

東京の下町が面白いのは川だけではない。川がなくても高低差を楽しむのも大きな楽しみだ。今はマンションが立ち並び、高低差を歩いても見晴らしを楽しんだり谷を感じたりすることはない。だけどマンションがなかった時代、家がなかった時代を想像すると魅力的な散歩になる。

四谷はこれまで幾度となく歩いた。歩いたと言っても新宿通り沿いに歩き、ひたすら新宿へ抜けるのみ。
新宿通りを歩く途中、左右へ入る道が気になる。なぜなら坂になって下っているから。下っていくと何があるのか?見晴らしが楽しめるのか、ずっと気になっていた。
この度、四谷散歩を実行した。

四ツ谷とのいう地名のとおり、谷がある町ということだ。東京には「谷」がつく地名がいくつかある。最も有名なのが「渋谷」。確かに渋谷駅は谷底にあって、駅からどの方向へ進んでもゆるい上り坂になっている。四ツ谷の地名は谷が四つあるということにちなんだもののようだ。

四谷三丁目スタート

新宿通りの北側、飲食店が集中するエリア荒木町を歩く、ゆっくり傾斜しているように見える。昼間なのでわかりにくいが飲食店が立ち並ぶ。夜は飲食店の明かりが魅惑的に灯るのであろう。奥へ入るにつれ、新しめのマンションから、古いボロアパートに変わっていくのが面白い。

階段があり、どんどん降りていく。谷に入り込む。池を発見。おそらくここが谷底なんだろう。弁財天との祠が建っている。水道のない時代、貴重な水汲み場であったとしたら、信仰の地になってもおかしくない。

池とともに鎮座する津の守弁財天

再び新宿通りに戻り、反対側に渡ってみる。こちらは旧坂になっている。そして、坂に沿って寺や墓地が立ち並んでいる。

谷筋に沿って道が続く、その両脇が傾斜地である。そこに寺や墓が立ち並ぶ。谷につながる傾斜地に寺があるのは不思議な現象だ。「スーパー地形」でこの地を見ると一目瞭然、谷の周りに寺が集まっている。なぜここに寺を建てたかの理由を見つけるのは難問そうだが、景観的には、確かにこういう風景はどこでもよくある風景にも見える。傾斜地は家を建てるにしては良い場所とはいえない、墓をつくるにはもってこいの場所だから!?

須賀町(スーパー地形)

須賀神社

ここは、アニメ映画「君の名は」の聖地らしい。大学生っぽい外国人の若者がたむろし写真を撮影している。
寺は谷から上った高台に立っており、谷を越えて向こう側の高台が見えるのが清々しい。良い眺めだ。もし谷筋に川が流れていればさらに格別な風景になるだろう。

須賀神社から谷におりる階段でたむろする外国人

四ツ谷の谷あいには別れを告げ、次に向かうのは黄色い電車のJR総武線を超えた、平地エリアだ。この辺りは皇室御用邸の広大な敷地である。
赤坂迎賓館。今は予約なしで入館料さえ払えば中に入れるようだ。せっかく来たので、話しの種に入館してみる。

入館料1500円。しかも、荷物検査が空港なみに厳しい。

とんでもなくでかい。確かにスケールは大きい。カメラに納めるにはとんでもなく離れなければならない。寺巡りや神社巡り、神輿などを見ていると日本的な目の肥え方がしてしまっているせいか、曲線美や木のあたたかさなどが感じられない。物足りなく感じてしまう。壮麗だがどことなく日本建築ならではの精緻さがない。

赤坂迎賓館(表側)

日本家屋への招待は、セキュリティ上、難しいのかもしれない。忍者が隠れていたり、日本家屋は忍びにとっては好都合だ。このような壮大な建築は要人警護の観点ではもってこいなのかもしれない。

順路以外に行くことは禁止されている。むしろ宿泊して、ナイトツアーなど面白いのではないか。同じ場所に戻ることができなかったり。
また、秘密の抜け穴、バックヤードなど、面白そうである。

迎賓館自体は明治時代に東宮御所として設立されたそうだが、今の建築は昭和40年代に建てられたそうだ。意外と歴史は浅い。平日昼間だが、ここを見学している人は、やはり日本人が多いようである。欧米の人はこんな場所には興味はないのだろう。自分も誰かにこの場所を案内する機会は訪れなさそうな気がしてきた。

帰りは、四ツ谷駅から丸の内線に乗る。この四ツ谷駅のホームも谷あいにある。谷だけにここだけ丸の内線が地上に顔を出す。その写真を撮影し、四ツ谷をあとにした。

丸の内線四ツ谷駅からの眺め


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?