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令和の徳政令

2024年3月 #248:hiko

1年間も空けてしまい、このnoteのことを一瞬も思い出さない日々が続いていたため、徳政令を使いました。溜まった分の返済は必要なし!現時点から再スタート!過払い金はアディーレ法律事務所まで!ってなわけで、またやってみますわ。

先に書きたくないことを書こう。留年した。また。
大学6年生。
情けない。

留年を悟った日からおよそ2ヶ月間、毎日のように酒を飲んで意識を朦朧とさせていた。酒に縋るしかない状態で、いまこうして振り返ると痛々しいが、当時はもっと痛かった。
アルコールでハイになっている自分を、遠巻きに眺めている自分がいて、痛みと痛々しさに耐えられなくて、何度も号泣した。
字義通り、声を上げて涙を流した。ひとのやさしさに刺されて、家族の温かさを思い出して。

両親と話したとき、怒られながら、俺は自分のことを語った。俺がいちばん苦手な話。話してたら涙が止められなくて、はじめて人前でちゃんと泣いたと思う。
結局、もう1年行かせてもらえることになった。

そんな日々を過ごしたいたせいで、最近は涙脆くて仕方ない。心温まるエピソードがあれば目に涙が溜まるし、バラエティ番組でサンボマスターの『できっこないをやらなくちゃ』が流れたときには、さっきまで笑ってたのに突然泣き出す始末。
でも嫌いじゃない。この心の温度というか、感情的なところを抱えたまま、生きていきたいと思える。


話は変わって、バイトを辞めた。やさぐれた訳ではなくて、元々1年でやめようと思っていたからだ。
最終日、色紙といいおつまみをもらった。色紙には、俺が短歌が好きと知っている子が俳句を書いていた。以前は贈る側だったからもしかしたらなんて思ってたけど、もらったらちゃんと嬉しいんだね。
それに、仲良くしてた隣のテナントの女の子からもお菓子をもらった。わんちゃんあるかもって勘違いするくらい嬉しかった。
もう辞めたので言っちゃうと、渋谷ヒカリエのはちみつ専門店で働いていた。制服を返しに行くとき、簡単な菓子折りと一緒にメッセージを書いた。

ひとさじの  酸いも甘いも  蜜の味

By hiko

意外だったのは、自他共に認めるいちばんの不仲コンビだった奴がだいぶ寂しそうにしていたこと。何かにつけてやいやいと言い合いをしていたけど、それはそれで楽しかったと思えた。酸いも甘いも蜜の味だね。あ、ちなみに俳句を書いてたのはこいつ。


月末のある夜、珍しく電話が鳴った。
スマホに表示されているのは、元いたサークルの後輩だった。そういえば彼女らは新社会人になるんだと思って、無視しようと考えた。俺の無意識アラートも注意報を発令していたから。なのに出てしまった。仲良くしていた後輩とおよそ2年ぶりに話すのがうれしかったんだろう。これだから人間は愚かで可愛い。
電話の向こうにはフリー効果音「喧騒」というような雑音があって、知っている名前が飛び交っていたから、飲んでいるんだろう。後輩からは当然、「最近何してるんですか?」と訊かれた。誤魔化しきれていない誤魔化し方をして、なんやかんやあって今度会うことになった。お楽しみに。
何で電話をかけてきたのかというと、単騎突撃ではなくて、後輩たち何人かが俺と話したいという話題になったらしい。照れくさくてしょうがない。その後何人かと話したが、その中に俺のファンを自称する子がいた。以前書いたことあるかも。陽気な良い奴で、今の俺にとっては「こんな俺を」と陰を濃くする存在だった。
おなじみのノートネームたまねぎもいた。地声の大きさに酔いをのせたうるさい声で「なんでわかってくれないんですかhikoさんのこと好きってこと」と、恥ずかしいことを口走ってた。嬉しかった。が、シラフでは受け流すこともできないので、お得意のごにょごにょ喋りで捲し立てておいた。
カメラ旅の話にもなって、linと3人で桜を撮りに行くことが決まった。


目を見て話すことができなくなってからしばらくが経った。また、目を見て、顔を突合せて話したい。好意を正面から受け取って、お世辞を受け流して、悪意を背負い投げできるように。


By hiko.

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