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旅について聞かれること

旅に行ってきたことを人に話すと、三つのことをよく聞かれる。「それってどこ?」、「ひとりで行ったの?」、「何のために旅してるの?」。

 まず、「それってどこ?」について。自分はたいてい、そこまで有名じゃないマイナーな場所をよく訪れる。要は〝みんなが行かなそうなところ〟へ旅してる。そんなわけだから、訪れた場所の地名を言っても「どこ?」ってなるのだ。
 じゃあ、なんでそういう場所に行くのか? だって、混雑が嫌じゃん。せっかくの休みに旅しても混雑に巻き込まれ、気を遣いながら観光地を歩き、ゆっくり写真もとれない、という状態は正直御免なのだ。だから、そういう風にならない場所を事前に見定めているのだ。

 次に、「ひとりで行ったの?」について。これに対して「そうだよ」と答えると、相手に哀れな顔を向けられる。あるいは「寂しくないの?」などと心配されるときもある。大丈夫です。寂しくないです。
 むしろ自分は複数人で出かけることの方が煩わしい。日程や集合時間を合わせて、宿や切符等の手配をし、行き先を話し合って、滞在時間の調整し、食べたいものの意見が分かれればグダグダする時間が続いて……。こういうのが本当に嫌なのだ。煩わしさの極みなのだ。
 それなら、もうひとりででかけるようにする。そして、好きな時に好きなように好きな場所へいって好きなものを食べる。この方が、自分にとってはストレスなく、楽しめるわけだ。
 ただ、旅好きのパートナーがいてくれれば、また違った楽しさがあるんだろうなと思うことはあるけれども……。

 最後に、「何のために旅してるの?」について。なんででしょうね。自分もこれはわかっていない。何か見たいものがあるから? ストレス解消のため? 趣味として? 行けるところまで行ってみたいという力試し? 知的好奇心? 自己満足?
 哲学的だが、「何のために旅をしているのか?」の答えを探すために、旅をしているのかもしれない。高校時代に旅をはじめて数年たつが、この問いへの答えは、この先も容易にはわからないのだろう。
 でも、きっと旅は続けていく。

(同人誌「旅先」あとがきより)

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