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こどもの頃の写真をかみしめる

昔の家族写真を見返したことはありますか?

私は現在32歳ですが、近年でいろいろ過去を振り返ることがあったり、実家の整理をする機会が出てきました。そして我が家所蔵の、家族写真の多さにおののきました。

今やデジタル上に人々の写真が大量に存在しているのかと思いますが、フィルム時代の我が家の家族写真はそれはそれは大量で、アルバムにされているもの、アルバムにされていないもの含めて膨大な量。当時はもちろん写りがいまいちなものも含めて現像されるわけで、同じような角度のぶれぶれの写真や、ネガも含めて大量です。わーん愛しき、整理しづらきフィルム時代。

彫ることで思い出を噛みしめる

しかし見返してみると、やはりおもしろい写真が出てくる出てくる。写真は写真で精査して整理したいとは思いますが、ふと自分の愛されていた歴史も含めじんわりと思い出し、自分のこどものころの写真をもとにはんこを彫り出してみたのでした。

まずはプロフィールにもつかっている、ぶいぶい言わせていた頃の私の写真から彫った絵はんこ。私は3人兄弟で兄と弟に挟まれた唯一の女子なのですが、しゅっとしてくりくりのお目目を持った兄と弟とは一人異なり、突出して「ぽっちゃぽちゃのぷにゃぷにゃ系」女子でした。おデブでもないんですけど、顔を中心として全体的に丸い。笑うと「フニャア」って音がする感じの子供。正直言って親は可愛くてしょうがなかったんじゃないかと思いますが(って我ながらよく思えるなあ)、通りすがりの人が「わー赤ちゃんだ…!」とベビーカーを覗き込んでは、「赤ちゃん…かわ…あ、髪が多いね!」と気を使われるようなこども。(実際毛量は多かった)

まあ百聞は一見にしかずといいますのでこれだけは唯一見てもらいましょうか。

あ、比較すると、はんこ、美化してない?って言われる気がするからもうこれ以上は写真出しませんよ…笑

現時点での自分の人生、いろんな局面があって、必ずしも楽しく幸せな時期ばかりではありません。だけどこういう時代や思い出があったなっていうことを忘れないでいれば、この先も生きていけるんじゃないかって思えるし、そういう日々を噛みしめようとしているのかもしれません。

ニヤリとしてほしい

自分の過去の写真は結構笑えます。自分の写真だからかどうかわかりませんが、私はこの写真を見て、爆笑、ってわけでもないですけど、ニヤリとしてしまいます。このバランス感なんやねん!ほっぺた膨らみすぎやろ!ま、根本的な顔立ちが変わってないのも含めてご愛嬌ですかね。。

私のはんこも、そのくらいのニヤリ感を人に与えられたらいいなあ、なんてもくろみつつ彫ってます。

じぶんの歴史ものがたり

ちょっとだけ大げさにいうと、写真はひとつの歴史ものがたりだなあと思うのです。写真が語るものもあるけれど、その背景にあるものとか、前後の状況とか。写真をきっかけにして、それを聞き出せることができるというのは面白い。

お抱え美容師の一人や二人いたもんよ…。って、実際この写真は切っている人の顔が写っておらず、母に確認したところ、切っているのは母じゃないとのこと。一体誰やねん…。

そしてこれは、写真があったわけではないのですが、母から聞いたエピソードから。私は自分の意思で、幼稚園は年中さんから入ることを選んだらしいのですが、入っていないながらも、3歳にして「幼稚園いってなくてもおかお洗えるよ!」と負けん気の強い発言をしていたらしいのです。なんだかサラリーマンをやめた今の自分にも通じる性格だな、と思ったものでした。

誰かの思い出とリンクする

2018年の頭頃にふと思いつきこのシリーズをアップしていたのですが、このシリーズに目を留めてくださった方から、1歳、2歳のこどもたちをイメージした絵はんこのご依頼をいただきました。自分の思い出から派生した作品に、どこか懐かしいような、誰かの思い出と重なる部分を感じてもらえたことは、とても嬉しい出来事でした。

そしてこんなカレンダーが出来上がったのでした。子育てに苦労している親御さんへ、保育士さんと専門家のかたからの具体的なアドバイスがついた、万年ひめくりのカレンダー。めちゃくちゃ大変だけど子供ってやっぱり可愛いよね……って思えるようなカレンダーになりました。いや、それは受け取る側次第なので…なってると……いいなぁ?と思っております。

一度ご自分の昔の写真を見返してみると、思いがけない発見や再会があるかもしれません。それを「彫る」人はあまり多くないかもしれませんけど。楽しい思い出、辛い思い出、そんな出来事の背景に、それぞれの物語があるのでしょう。できればその話、たくさん聴きたいなあ。そんな思いもありつつ、スキマインタビューもやっているのかもしれません。

そしてnoteで連載していたスキマインタビューから発展して、haconiwaさんでの連載も始まりましたし。その人が生きてきた歴史や背景、物語に興味があるのです。

「childhood -こどものころ-」シリーズ、他の作品についてはホームページの「ギャラリー」でもご覧いただけます。

あまのさくや
絵はんこ作家。はんこ・版画の制作のほか、エッセイ・インタビューの執筆など、「深掘りする&彫る」ことが好き。チェコ親善アンバサダー。
エッセイ「時をかける父と、母と」が、幻冬舎×テレビ東京×noteのコミックエッセイ大賞にて準グランプリを受賞。 http://amanosakuya.com/


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