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会社設立にまつわる「会社法」用語まとめ |#学習メモ

こんにちは。金森です。

今回も、会社法関連のコンテンツです。テスト勉強をしているのですが、どうせならnoteで書こうと思った次第です。主に、「会社設立」にまつわる会社法用語をまとめていきます。(ものによっては、会社設立とは関係のないものも混じっている。というか、一個目から違うんですが…。)参照先は基本全て、タイトルにリンク付けしています。

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組織再編とは

Business Lawyersさんが分かりやすい図を用意してくれています。さすが、弁護士ドットコムのサービス。

出典:Business Lawyers

🧐組織変更とはどう違うの?

<事例>DMMが株式会社から→合同会社へ組織変更

組織変更とは法人格の同一性を維持しつつ、株式会社から持分会社に、または持分会社が株式会社に“衣替え”すること。現在の日本には株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つの会社形態があるが、このうち合同会社、合資会社、合名会社の総称が持分会社

組織再編の中でよく出てくる、下記4つ言葉の意味を知りたい方は、下記リンクを参照してみてください。

合併とは:2つ以上の会社が、合併契約を締結し、包括的な権利義務承継を行うことによって、一部または全部の会社を消滅させ、1つの合併会社を存続または新設させる行為。
会社分割とは:会社が、その事業に関して有する権利義務の一部または全部を他の会社へ包括的に承継する会社法上の行為。
株式交換とは:2つの会社が、株式交換契約を締結し、いずれか一方の会社を完全親会社、他方の会社を完全子会社として親子会社関係を創設する方法。
株式移転とは:会社がその発行済株式全部を新設会社に取得させる会社法上の行為。つまり、1つまたは2つ以上の会社が株式移転計画を作成し、当該会社の完全親会社を新設する方法。完全子会社となる会社の株主には新設される完全親会社の株式またはその他の対価が付与される。

準則主義とは

準則主義というのは、

行政機関の裁量や許認可によらずに、法律の規定に則っていれば法人格が付与されるというもの。(もっと簡単にいうと、所定の書類を作成し定められた手続きを踏めば、設立可能ということ。)

株式会社や一般社団法人などは準則主義によるもの。公証人役場などで定款の認証を受け、法務局に持ち込めば法人の設立が可能。準則主義によって法人設立が容易になった!

許可主義とは

許可主義というのは、行政機関の許認可が法人設立に必要という考え方。医療法人やNPO法人などは許可主義の対象となり、手続きを始めてから認可を受け、法人の設立までは認可が受けられる場合でも半年くらいの期間がかかるという。

特許主義とは

本来的に誰も行うことができないはずの活動を、法律によって特別に認めるというもので、設立の度に特別法の制定が必要になる。日本銀行法に基づく日本銀行の設立などが代表例として挙げられる。

定款とは

定款とは会社の根幹となる規則のこと。会社を運営していくにあたって重要な指針となるものなので、会社を設立する前に必ず作成する必要がある。いわば、会社の憲法である。

会社の形態(ex.株式会社・一般社団法人・一般財団法人など)によっては、定款の認証が必要である。

メモ)定款記載事項の変遷(法改正)

2005年(平成17年)会社法成立前:

・定款記載事項:「会社が発行する株式の総数」と「会社の設立に際して発行する株式の総数」
・株式発行実行:「株式の発行価額」と「株式の発行価額中資本に組み入れざる額」

2005年(平成17年)会社法成立後:

定款に「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」と
「発行可能株式総数(株式会社または有限会社会社が発行することができる株式の総数)」は成立までに記載する。その上で公証人による認証が必要。

公証人(コウショウニン)とは

公証人とは、30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員で、公証役場に勤務している。公証人の仕事は、公正証書の作成、私署証書(私文書)や会社の定款などの認証、文書の存在した日にちを証明する「確定日付」の付与など。公証人には、通常、判事や検事、弁護士、法務局長などを長年勤務した人がなる。

発起人組合とは

要は、会社作る人たちのチームみたいな感じですかね。

株式会社の設立手続を進める「発起人」が複数いる場合、通常は発起人相互間で会社設立を目的とする組合契約を締結して、会社設立手続きを進める。

変態設立事項とは

変態設立事項とは、会社法第28条に規定されている定款への記載事項(以下の事項)を指す。

<会社法第28条の変態設立事項>
一、現物出資
二、財産引き受け
三、会社が成立することで、発起人が受ける報酬
四、成立後の会社が負担する設立費用

これらの行為は定款への記載がなければ無効になる。(行為が無効になるのであって、定款が無効になるわけではない)

会社設立の過程で、定款に変態設立事項の記載が必要になると、原則として裁判所への検査役選任の申し立てなどの手続きが増える。なぜ、手続きが増えるかというと、以上の変態設立事項に挙げられる行為は、発起人の間で扱いが不公平になったり、債権者を害する恐れがあるから。

この記事の図解が分かりやすいですよ。

検査役とは

常設的な機関である監査役とは違うらしいですね。

検査役は、会社の業務や財産の状況などを調査するために、臨時に置かれる会社の機関。会社と無関係な第三者による公正中立な調査を行うことを使命として選ばれるもの。検査役は、会社の設立手続や業務、財産の状況についての調査を職務とする。

設立登記とは

法人の設立に関する登記。会社は本店の所在地において登記することで成立し、法人格を取得する。株式会社等では設立登記は会社の成立要件となる。

メモ)会社設立の2つの方法

(1)発起設立:通常はこちら。お金を出した人全員が発起人となる。
(2)募集設立:発起人が設立時に発行される株式の一部を引き受け、残りは他から株主を募集して設立する方法。発起人は1株以上の株式を引き受ける必要があるので、すべての設立時発行株式を他から募集することは不可能。

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発起設立の場合、会社を設立するまでは、大まかにはザックリ次のような流れになるそう。

①設立事項を決める:商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金、役員などを決める。
②定款を作成する:定款は会社の基本的なルールをまとめたものになります。
③定款の認証を受ける:定款作成後に、公証役場で公証人の認証を受ける必要がある。
④資本金の払込をする:定款認証の手続き完了後、資本金を発起人の代表者の個人口座に振り込む。
⑤設立登記をする:会社の設立手続きは、法務局で設立登記を行うことで完了する。

詳しくはこちらの記事を確認してください!

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財産引受とは?

財産引受とは、特定の者が会社の設立を条件に、会社に特定の財産を引き渡す契約をすることです。

具体例

会社が設立することを条件に、車を設立後の会社に売却するケース

注意点

財産引受けの契約を行う場合も、現物出資と同じように定款に記載する必要があり、定款に記載のない財産引受けは無効

現物出資と同様に検査役の調査も必要。ただし、以下の場合においては、検査役の調査が不要になる。(これは現物出資と同じ。)

1)定款に記載された財産引受けの価額の総額が500万円以下の場合
2)弁護士や税理士などから、定款に記載された財産引受けの目的財産について、価額が相当であるという証明を受けた場合
3)対象が証券取引所で売買されている有価証券であり、定款に記載した価額が市場価格以下の場合

③財産引受けに現物出資と同じような規制がされている理由

財産引受けも対象物の価額を過大に評価することで、会社に必要以上の金額で買い取らせてしまうことがあり得るから。

④財産引受けについては、相手は発起人とは限らない!

現物出資はモノの対価は株式(現物出資できるのは発起人に限定されている)だが、財産引受けの場合、対価は会社のお金。そのため、誰でも財産引受けのモノの出し手となれるということ。財産引き受け自体は通常の売買契約だから。

こちらの記事の図解が分かりやすいですよ。

現物出資とは?

現物出資とは、現金ではなく"現物"を出資することで会社を設立するために必要な資本金の代わりにできるというものです。

注意点

(1)現物出資の対象となる資産とは?

基本的には貸借対照表に資産として計上できるかどうかがポイント。

・車(ローン支払い中のものは不可)
・パソコンやOA機器などの機械類
・有価証券(上場株式や非上場株式、債権など)
・ゴルフ会員権やリゾート会員権
・不動産(土地や建物) など

(2)現物出資で検査役選任が不要になるケースとは?

会社法改正後、以前より現物出資が容易に行えるようになりました。

現物出資のトータル額が500万円以下
・現物出資する資産が市場価格のある有価証券であり、記録された価額が市場価格以下
・現物出資する資産について、定款に記載された価額が相当であることが弁護士や公認会計士により証明されている(不動産に関しては不動産鑑定士の鑑定評価が必要)

(3)現物出資に必要な手続き

・出資する現物の時価を調査。(取締役か調査人が行う。)
・定款に現物出資の旨を記載。
・出資した現物の価額が相当だと取締役が証明する調査報告書を作成。
・現物出資の出資者からの財産(現物)財産引継書を作成。

さらに詳しく知りたい方(メリット・デメリットなど)はこちらをご覧ください。

設立費用とは?

会社設立にかかる費用のことです。会社の形態によってかかる費用も異なります。freeeさんが素晴らしい比較表を用意してくれています。ありがたく引用させていただきます。

未払費用とは?

未払費用とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合、貸借対照表日の時点で支払いがなされていなくても、時間の経過に応じて発生しているものと考えられる費用である。流動負債に区分される。

具体例

・未払家賃
・未払手数料
・未払利息
etc

未払金とはどう違うの?

未払費用と未払金(特定の契約等により既に確定している債務のうち、未だその支払が終わらないもの)は主に次のように区分される。

継続的な役務提供契約に基づく役務提供に対する未払分・・・未払費用
非継続的な役務提供に対する未払分・・・未払金
・役務提供が継続している場合・・・未払費用
・役務提供が完了し債務として確定している場合・・・未払金

開業準備行為とは?

会社が成立後すぐに事業が行われるように、発起人がいろいろ準備する行為のこと。

具体例

・土地・建物等の取得
・原材料の仕入れや製品の販売ルートを確立しておく
財産引受(発起人が会社の成立を条件として特定の財産を譲受ける契約)

事後設立とは?

事後設立とは、設立後2年以内の会社が、設立前より存在する営業のために継続して使用する財産を譲り受ける契約を締結すること。

注意点

(1)M&Aの場面においては、許認可の承継や複数の投資家から資金を調達する目的で、事前に受皿となる会社を設立し、この会社が他の会社の事業や資産を譲り受けるケースがある。この場合、その対価によっては事後設立に該当することもある。
(2)会社法においては、事後設立にあたっては、検査役の調査は不要。ただ、株主総会の特別決議による承認が必要である。

特別決議とは?

一定の重要事項を決議する場合、普通決議よりも厳格な要件を課しているもの。

行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上による多数の賛成を必要とする。

仮装払込とは?

実質的には払い込みといえないが、外観上の払い込みを作り出す行為を仮装の払込と言います。大きく分けて、預合い(アズケアイ)と見せ金というものがあります。

預合いとは?

預合いとは、払込金融機関の職員とグルになり、その金融機関からお金を借りて、それを出資金に充てることです。

預合いでは、外観上は払込口座にお金が入金されていますが、それを返済するまでは引出さない約束をしているので、資本金を信用した債権者を欺くことになるし、実質的に会社財産を形成していないといえます。

やさしい会社法」さんによる分かりやすいイラスト。

見せ金とは?

見せ金とは、実際に現金が動いて払込口座に入金されているが、払込金融機関以外の第三者から借り入れた財産でまかなっており、会社が成立した後にその第三者へ返金されることを指します。このように、初めから会社財産を形成する意思がない等の計画的な場合も、実質的に会社財産を形成していないと言えます。

同じく「やさしい会社法」さんによる分かりやすいイラスト。

仮装払込の責任は誰が取るの?

①払い込み等を仮装した発起人
②発起人が仮装することに関与した発起人又は設立時取締役

原則的に、仮装払込み等に係る金銭等の全額を会社に支払う義務を負うことに。

資本金払込とは?

会社設立時の資本金払込は、設立事項で定めた資本金の金額を、所定の銀行口座に払い込む手続きのことを指します。

不公正ファイナンスとは?

不公正ファイナンスは、証券発行市場において調達した資金を不当に社外流出させることなどを目的とした詐欺的行為であり、第三者割当増資や新株予約権の割当などの手口で行われます。結果として既存株主持分の著しい希薄化を招く、発行市場を悪用した不公正な行為です。

注意点

発行後に同様のファイナンスが繰り返されたり、以下のような他の不公正取引や違法行為を複合的に誘発する資本市場にとって危険な行為である。
・株価操縦
・風説の流布
・インサイダー取引
・有価証券報告書虚偽記載(粉飾)

偽計取引とは?

偽計取引とは、株式などの有価証券の売買や相場の変動などを目的として、人を騙したり、事実に基づかない情報を流したりすること。

財産価額填補(テンポ)責任とは?

新株の発行等は、現物出資によることもできるが、現物出資財産の値付けが適正でない場合

現物出資者あるいは現物出資を受け株式を交付した会社の株主が、損害を被ることになる。

そこで会社法では、現物出資財産が適正に評価されるよう、裁判所が選任した検査役によりその価値の調査を求めるとともに、当該調査を行わない場合には、買収会社の取締役等に適正価額に対する不足額を填補する責任を課している

引受人とは?

あることを引き受けて責任を負う者のこと。

会社法改正(平成26年)

コーポレート・ガバナンスの強化および親子会社に関する規律等の整備等を図るために、平成17年に成立して翌年から施行されている会社法は平成26年に改正された。

▼コーポレート・ガバナンスの強化のため

(1) 社外取締役の機能の活用
 監査等委員会設置会社制度の創設
 社外取締役等の要件の厳格化
 社外取締役を置くことが相当でない理由の説明
(2) 会計監査人の独立性の強化

▼親子会社に関する規律の整備

(1) 多重代表訴訟制度の創設
(2) 組織再編の差止請求制度の拡充
(3) 詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設

詳しくはこちらをご覧ください。

疑似発起人とは?

擬似発起人とは、株式会社設立時に募集設立を選択した際に適用される概念

定款に発起人の記載がないにもかかわらず、設立時発行株式の引き受けの募集に際し、株式会社の設立を賛助する旨を記載(もしくはその承諾)した者。

擬似発起人は、発起人とみなされ、発起人と同様の責任を負わされる。

ex.)会社の成立時において、出資された財産の価額が不足しているときに、当該金額を払い込む義務

会社設立の無効とは?

株式会社が設立登記によって成立しても、設立手続きに瑕疵(カシ)があり、会社設立を認めることが適切ではない場合があります。会社法では特定の範囲の者から、一定期間に限り訴えを以ってのみ設立無効を主張できるとされています。

設立無効の訴え

・一定期間内とは?:設立から2年以内
・誰が提起することできる?株主等(株主、取締役、監査役、執行役、清算人)だけが提起することが可能。
**注意点:原告適格者に会社債権者は含まれない**
・どんな影響がある?:設立無効の判決が出ると、第三者にも及ぶが、その効力は将来に向かってのみ発生。すでに取引を終えた法律関係には影響を与えない。

清算人とは?

清算人とは、清算中の会社において、業務の執行を行う者のこと。解散前に業務執行していた取締役に代わって清算人が業務を執行していくことになる。現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の分配などが主な職務。

対世効とは?

対世効とは、判決の効力が当事者のみならず、第三者に対しても及ぶ効果を指す。会社法では、会社組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有すると規定されています。会社の関係者は多数にのぼりますが、会社の組織に関する訴えに係る判決の効果を当事者だけに限定することは、法律関係が混乱する可能性があり、これを避けるための規定です。

遡及効とは?

遡及効(ソキュウコウ)とは、 法律や法律要件がその成立以前にさかのぼって効力をもつこと。 法律は遡及効を認めないのが原則(不遡及の原則)だが,特に規定がある場合に限って認められる。

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なかなか盛り沢山でしたね。いざ会社法が必要になった時、振り返ってみようと思います。こうして、まとめてみると結構勉強になるし、為になります。
それでは、最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。

普段は、BtoBマーケティング関連のコンテンツを制作しています!


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