業界特化型SaaS

【10選】業界特化型SaaSをゴリっと紹介!(1万字超え)

こんにちはおすすめSaaS.comというメディアを運営する金森と申します。

本記事では「業界特化型のSaaS」について深掘りして見ていきます。

SaaSの基本から見ていくこともあり、文量が1万字超えととても多いため、業界特化型SaaSの事例紹介だけが気になると言う方はそちら以降をご覧くださいませ。事例で紹介している企業のマーケティング分析などは特にしておりません。また、筆者が学生時代に書いたnoteなので、どちらかと言うと分かりやすさ重視です。SaaSにある程度詳しい方には物足りないと思います。ご了承ください。

◆ 今回のnote概要
SaaSとは
水平展開型SaaSとは?
業界特化型SaaSとは?
・業界特化型SaaSの特徴とは?

業界特化型SaaSの事例紹介
 1:ANDPAD(株式会社オクト)
 2:助太刀(株式会社助太刀)
 3:PHARSAS(株式会社ファーマクラウド)
 4:ABEJA Insight for Retail(株式会社ABEJA)
 5:カイポケ(株式会社エス・エム・エス)
 6:hokan(株式会社hokan)
 7:KAMINASHI(ユリシーズ株式会社)
 8:ジニー(株式会社DentaLight)
   9:Musubi(株式会社カケハシ)
 10:ホテル番付(株式会社空)

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◆SaaSとは?

それではまず、「SaaSとは何なのか」について軽く紹介していこうと思います。

「SaaSの説明なんてイチイチ要らないよ!」と言う方は読み飛ばしてもらって構いません。

SaaSに関してBoxilというWEBメディアがとても良いまとめをしてくれているので引用させていただきます。

画像1

上の図を見てわかる通り、SaaS(Software as a Service)とはクラウドというインターネット経由で利用するサービスの一つの形態になります。

具体名を挙げると、SalesforceSmartHRと言ったサービスがSaaSの一種になります。

※クラウドとは:ユーザーがインフラやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する考え方およびサービスの総称  (引用元:GMOクラウド *一部改訂)

これらの名前にピンと来ない方でも、GmailOutlookと言うメールサービスを比較してみると分かると思います。

かつて、メールを利用する場合、何かしらのソフトをインストールする必要がありました。その一種に、マイクロソフトが提供しているOutlookがあります。(※現在では、Outlookもブラウザ経由でメールサービスを利用することが可能です。)

一方で、Gmailを利用するときはGoogle Chromeなどのブラウザで「Gmail」と検索してから利用していますよね。
つまり、Gmailではパソコンに何かしらのソフトをインストールする必要などなく、ブラウザを通じてメールサービスを利用することができるのです。これがクラウドサービスの威力です。

もっと分かりやすく言うと例えば、友達の端末(PCやスマートフォン)からでもIDとパスワードさえ分かればログインしてサービスを利用することが可能になるんです。

ここまでで、軽い説明とはなってしまいましたがSaaSの説明は以上とさせて頂きます。
noteの最後の方に参考文献をまとめておいたので詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

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次から本題の業界特化型SaaSについて紹介したい...!

ところなんですが、、、

その対となる水平展開型SaaSについても軽く紹介していこうと思います。

◆水平展開型SaaSとは?

またもや、Boxilが良いカオスマップを作ってくれていたので参照します。

画像2

こう見ると、ありえないくらい大量にありますよね。

水平展開型SaaSに関して今回押さえておいてもらいたいことが一つだけあります。

それは、水平展開型SaaS大方どこの企業でも必要な業務に注力したサービスになります。

例えばGoogle Driveなどのクラウドストレージサービスを利用しているIT企業があったとします。
なぜGoogle Driveを利用しているかと言うと、文書などのファイルを管理するためです。
この業務、つまり文書管理と言う作業は大抵どこの企業でも必要ですよね。IT企業だから使っていると言う訳では決してなく、出版社や建設系の企業が使っていても全くおかしくありません。

一旦ここまでをまとめると、水平展開型SaaSが対象としているものはこういったものになります。

◆水平展開型SaaS
・提供対象企業
:大小問わず、企業であれば一定のニーズあり
・提供対象業務特定の"業務"に特化している。Saleforceなどの大規模SaaS企業であれば、いろんな業務に特化したサービスを提供している
・市場規模:拡大傾向(下記の画像参照)
・市場参入企業:上記画像の通り多数

画像3

上記がグローバルで見たSaaS市場の予測図になります。
一方、日本に関してはTech chrunch Japanは以下のように報道しています。

【SaaS市場は年平均成長率10%のスピードで成長】
本レポート(Boxilのレポート)によれば、クラウドサービスの普及率は毎年増加しており、2015年末には40%を超える企業がクラウドサービスを利用しているという。なかでも、SaaS市場は年平均成長率10%を超える勢いで成長。2015年はおよそ1兆円だった市場規模が、2020年には1.3兆円になる見通しだ。

下記の画像も面白いので要チェックです。

画像4

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続きまして、業界特化型SaaSについて紹介していきます。

◆業界特化型SaaSとは?

画像5

業界特化型SaaSは、水平展開型SaaSに比べて知名度が低いです。

業界特化型SaaSをカンタンに説明すると以下のようになります。

◆業界特化型SaaS
・提供対象企業:特定の"業界"に特化している。今までテクノロジーが入ってきていなかった業界にゴリっと切り込んだSaaSが今注目されつつある。
・提供対象業務:特定の"業界"に関わることであれば、専門的な業務含めてテクノロジーを利用して業界特有の課題を解く。つまり、対象業界は狭いが、対象業務は深く広い。ターゲットユーザーの同質性は高い。
・市場規模:拡大傾向(下記の画像参照)
市場参入企業:下記画像の通り多数

画像6

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◆業界特化型SaaSの特徴3つ

業界特化型SaaSの特徴についてはこちらの記事を参照にしています。

<1>勝者が全てを勝ち取る

 一つの企業が圧倒的なシェアを獲得する可能性もある。業界特化型SaaSは業種を選定するため、ユーザーの同質性が著しく高まる。そのため、20%の縛りを超えてシェアを握ることが可能になる。

(cf.) 水平展開型SaaSで取れるシェアは、リーチ可能な市場の20%程度と言われている。例えば、あのSalesforceであっても、CRM市場でのシェアが20%である。

<2>クロスセルとアップセルが行いやすい

 クロスセルとアップセルが行いやすいのが一つの特徴。例えば、1つの業界にCRM(顧客管理)のツールとして入った後、マーケティング、ファイナンスの機能を提供していくというもの。たとえ入り口が小さく見えても、その先にはBig marketが広がっているということです

※アップセル:顧客が検討しているものよりランクの高い製品・サービスの販売をすること
※クロスセル:顧客が購買する、あるいはすでに利用している製品・サービスに関連するものを販売していくこと

<3>ユーザー1人当たりの獲得費用(CAC)が安い

 業界特化型SaaSはターゲットの同質性が高いため、効率的なマーケティングが可能になる。ある調査では業界特化型SaaSのCACは水平展開型SaaSとくらべて、8倍も安いという結果が出ている。

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はい!
ということでここまで、以下のことを見てきました。

・SaaSとは
・水平展開型SaaSとは?
・業界特化型SaaSとは?
・業界特化型SaaSの特徴とは?

次からはいよいよ本題!

業界特化型SaaSの事例をまとめて見ていきましょう!

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ANDPAD

【業界】

  建設業界

【サービス紹介動画】

明日から使える施工管理アプリ

【実績】

画像7

業界シェアNO.1であり、契約者数、案件数、写真アップロード数共に右肩上がりですね。まだまだ成長しそうです。

すごい。梅木さんの分析記事(ウメキワークス)でもA評価を得ています。

【コメント】

機能もかなり豊富(工程表/カレンダー/写真・資料管理/OB管理/検査/チャット/日報/営業管理/見積もり作成/受発注)ですし、定期的にセミナーも開催しお客さんが導入しやすいようにしており全体的にとても好印象を持ちます。
一番人気のプランでも月6万円ということで年間72万円。全ての顧客が仮に、人気のプランを選択していると仮定したら、これだけで6億弱の売り上げですね。


【メディア掲載】


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助太刀

【業界】

 建設業界

【サービス動画】

建設現場と職人をつなぐアプリ

「300万人の働きを変える可能性!」と助太刀の社長も言っています。

【実績】

この即日受け取りサービスは素晴らしいですよね。本当にユーザーのためになるだろうなって思います。

画像8

【コメント】

「職種と居住地を入力するだけで現場が届く」機能によって簡単に仕事が手に入られる、というのは何だかとても良いですね。

同じ建設業界でも、先ほど紹介したANDPADとはまた違う切り口で、面白いですね。

下記の動画は「助太刀」がまだ「助太刀くん」だった頃の動画。
助太刀くんの魅力がよく伝わります。

【メディア掲載】


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PHARSAS

【業界】

 薬局業界

【サービス概要】

薬局特化型SaaS「PHARSAS(ファーサス)」は、2014年12月にリリースされた処方せん送受信システム「空飛ぶ処方せん」を始めとしたWebアプリケーション群です。薬局のための不動在庫のシェアリングサービス「Med Share」は2017年3月にリリースされました。

画像9

【実績】

画像10

【コメント】

 今やコンビニよりも多い薬局をターゲットにしたSaaSということもあり、市場参入企業も増えそうですね。ホームページを見てもサービスの紹介動画などがない上、ホームページも微妙なため、そこが改善されるとよりお客さんも増えそうだなぁと思ったり。。

【メディア掲載】


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ABEJA Insight for Retail

【業界】

 小売・流通業界

【サービス概要】

人工知能活用の店舗解析サービス

画像11

【サービス動画】

【コメント】

ディープラーニングを専門に扱うベンチャーであるABEJAのSaaS。ABEJA Insight for Retailは、「自社開発のディープラーニング技術に基づいた解析システムで、使えば使うほど賢くなる店舗解析サービス」ということです。

こちらの動画を観るとここの会社が言う、"人工知能"はいわゆる「なんちゃって人工知能」ではないと言うことがよく分かります。

ここが仮に上場したとしたら、結構な値がつきそう。

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カイポケ

【業界】

 介護業界

【サービス概要】

画像12

・保険請求だけではない介護ソフト
・機能が超豊富
最大18ヶ月無料

(※動画などでサービスが一発で分かるものがあれば良かった。)

【実績】

とんでもない伸びです。一度、カイポケのコンセプト変更後(保険請求のみ→経営支援サービス)、会員の一部が離脱したがその後順調に会員は増加したようです。

画像13

【コメント】

東証一部上場のSMSが展開しているSaaS「カイポケ」も今や年間売上33億円のビジネスになっています。機能やらサービスが豊富すぎて、正直どうなっているのか全体像が見えないほど
「最大18ヶ月無料」と行ったところなどから見て取れるにユーザーをガッと囲い込んで、クロスセルやアップセルで利益を回収していくスタイルなんでしょうね。


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hokan

【業界】

 保険業界

【サービス概要】

 保険営業のためのSaaS(顧客管理・契約管理サービス)

画像14

◆hokanの役割保険証券を見える化し、グラフやデータをもとにした営業活動を行えるようにすること。

【コメント】

パッと見どんなサービスなのか分かりにくいので、今後は動画などでサービスを説明できるようになると良いかなと思いました。ちなみに、2018年7月1日に正式版がリリースされたばかりなので、ベーシックプランの機能もまだ未実装で料金も決まっていないのかと思われます。ちなみに、年内にC向けの保険管理アプリをリリースする予定だそう。

【メディア掲載】


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KAMINASHI

【業界】

 食品業界

【サービス概要】

 食品工場管理SaaS:一言で言えば「紙をなくすサービス」

画像15

・月額7万円
・最短一週間で導入可能
・必要なのはPCのみ

【コメント】

サイトのデザイン結構良いですねえ。あと、ヤギ可愛い。
KAMINASHIを開発したユリシーズは2018年5月16日、“食品工場”から紙をなくし、スマートにするサービス「KAMINASHI(カミナシ)」 のβ版を公開した』と言うことで、まだ出来てホヤホヤのサービスなんですね。

確かに最初の方は、現場から反発もあるかもしれないですが、こうしたサービスがどんどん普及していき最終的には現場の人がより楽になれば良いなと思います。

ただ、食品工場自体がどんどん進化し、ロボットが導入されることで働く人がどんどん減って行く(同時に紙も減っていく)と言う未来も見えますが、きっとまだまだ先のことなんでしょうね。

実際、ユリシーズがターゲットに置いている工場はIT投資などができない中小の食品工場と言うことらしいので。

【メディア掲載】


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ジニー

【業界】

 歯科業界

【サービス概要】

予防歯科のための、予約管理・コミュニケーションシステム

画像16


【コメント】

歯科業界向けのCRMって良いですね。歯科診療所は平成28年度において68,940もあるらしく市場規模としては結構大きそうですね。

実際、歯医者の予約って忘れがちですよねえ。
とは言え、歯医者さんの方からリマインドのための電話するのも面倒でしょうし。
これがあればそんな歯医者さんのドタキャン率は結構抑えられそうですね。

【メディア掲載】


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Musubi

【業界】

  調剤薬局業界

【サービス概要】

  次世代電子薬歴システム

◆Musubiを利用することによるメリット

・毎日2-3時間かかる薬歴記載にかかわる薬剤師の業務負担を大幅削減
患者さんに沿った服薬指導と生活アドバイス
・患者さんに向き合う時間が増える

【コメント】

 アニメーション動画が分かりやすくて良いですね。

Musubiを使うことで薬局が「お薬を渡すだけの場所」から「患者さんに付加価値を提供する薬局」になればどちらにとってもハッピーですよね。

なお、電子薬歴システムのフローは以下のようになっているよう。

①患者情報の登録・確認
②処方確認・薬歴参照
③服薬指導・ワンポイントアドバイス
④薬歴完了


ちなみに、Musubiを調査していたら、ちょうど面白い資料を見つけたので共有しておきます。

500 Startups Japanの吉澤美弥子さん曰く

 業界に特化したSaaS(Vertical SaaS)プレイヤーが日本でも出てきて、注目を集めています。市場規模が大きく、かつ資源不足が明確で、業界構造が複雑な医療業界も業界特化SaaSの成長が期待できる業界だと思っています。しかしその一方で、非常に保守的で、かつリテラシーが低く、個人が頑張るという文化が根強い医療業界、特に医療機関にスタートアップがSaaSを売っていくのはなかなかハードルが高いとも考えられています。

 すでに米国では医療現場におけるクラウドの利用が広がっており、2016年のSADA Systemsによる調査によると、米国の医療機関の89%が業務において何かしらのクラウドサービス(SaaS)を利用し、医療機関の45%がメールや患者の情報共有などの業務に6~10の複数のSaaSを利用していることが明らかになっています。クラウドでもっとも使われているのはメール(68%)、患者のケアアプリ(64%)、ファイル共有(55%)の用途での利用で、患者の情報連携・活用・診療行為支援といった目的ですでにSaaSが導入され始めているのです。

こちらの、米国の医療機関向けSaaSの事例紹介も面白そうですね!要チェックです。


【メディア掲載】


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ホテル番付

【業界】

 ホテル業界

【サービス概要】

ホテル番付は一言で言うと「ホテル業界向けのエージェント型サービス」です。

 ホテル番付は当初、ホテル業界向けの効果測定・経営分析ツールとして登場したが、2018年4月からはエージェント型サービスにリニューアルしました。新バージョンでは分析結果に基づく気づきや提案を、必要なタイミングでユーザーへ通知するスタイルに変わりました。

今や、「ホテル番付が料金決定の重要な判断材料になる」とホテル業界の新聞でも評判らしいです。

ホテルの料金データ、ホテルの経営状況を収集することで、そこからホテル料金最適化サービスの「Magic Price」も提供しています。
これこそ、まさに業界特化型SaaSの真髄です。

【実績】

画像17

【コメント】

 ホテル番付は、「TechCrunch Tokyo 2017スタートアップバトル」にて優勝した注目サービス。

こちらの動画を見てみると、ホテル番付の魅力がより伝わります。社長の方の雰囲気が良いですね。


【メディア掲載】

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と言うことで。

ここまで、「SaaSとは何か」から「業界特化型SaaSの事例」まで盛り沢山見てきました。

何か自分で「これを徹底的に調べよう!」と考えて、実際にインプットしながら同時にアウトプットすると言う経験は非常に良い勉強になりました。

今後も「調べたい!」と本気で思ったものはガシガシ調べて、noteにしていこうと思います。

読んでくれた方にとって、少しでも学びになれば幸いです。

もし、よろしければSNSでの拡散やコメントなど待ってます!

それでは最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!!

【参考文献】

①SaaSなどのクラウドサービスについて広く知りたい方向け

②Tech chrunchが上記Boxilが提供しているレポートを分かりやすく解説してくれています。


③業界特化型SaaS(Vertical SaaS)に求められる戦い方や特徴など、より深く知りたい方はこちら必読です。かなり面白いです。


④いま起こっているSaaSの5つの進化トレンドについて深く知りたい方向け


⑤ ベンチャーキャピタリストの前田ヒロさんの「対象顧客が支払うSaaS利用料の限界はいくらなのか?」と言う観点が非常に勉強になります。


⑥ 介護業界クラウド「カナミッククラウド」に関して詳しく分析されている記事。この方のブログは勉強になる。


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