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#SaaSの今と未来を考える会 | #イベントレポート(1万字超え)

こんにちは、金森です。

先日、HiCustomer鈴木さん(@dkzks)主催の「SaaSの今と未来を考える会」というイベントに参加してきました。


今回は、そのイベントのレポートnoteになります。

 SaaS好きにとっては、本当に勉強になるイベントでした。オフレコの内容が結構あったので、SaaS裏話などを知りたい方は次回開催を待ってみると良いと思います。

SaaS関係者/SaaSマニアにとっては、めちゃくちゃ面白い内容となっているはずです。1万字超えの長文ですが、良ければ最後までお読みください。

★結論★

・SaaS領域はいま、アツい
・クライアントと健全な関係を保て、提供者側としても精神的な健全性が保てるのがSaaSの魅力
・カスタマーサクセスを経験してから、セールスを経験すると導入がスムーズになるのでオススメ!
ドックフーディングできているプロダクトは売りやすい
・無料トライアルより、有料トライアルの方がおすすめ?
・スタートアップにはまだ「RPA」の波はそれほど来ていない
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■ イベントの開催背景

・SaaSが好きで楽しいと心から思っているので、同じ思いを抱いてくれる人を増やしたい!伝えたい!(By 鈴木さん)・最近、Twitterなどで若い人もSaaSに興味を持ってくれている人が増えているように感じたので、開催することにした

イベント会場を貸してくれたScouter社中嶋さんより、ご挨拶。

中嶋氏(@Scouter_Taro)

会社の説明をすると、「Scouter」という副業でできる人材紹介サービスをやっている。実はSaaSプロダクトを始めて、最近伸び始めており、社内も元気になっている。SaaSの場合、ボトルネックが見つけやすいため、会社も順調になってきている。

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今回のイベントは二部構成となっております。

第一部が「あなたがいますぐSaaSスタートアップを始めるべき理由」というタイトルで起業家志望向けになります。今回の主催者である鈴木さんが登壇してくださいました。鈴木さんはHiCustomerというカスタマーサクセスに特化したSaaSのサービスを開発されている方です。

第二部が「SaaS中の人 座談会」になります。SaaS企業で働く人向けになります。登壇者の方は、株式会社マツリカ 執行役員 久保文誉様、弁護士ドットコム株式会社 カスタマーサクセスチームリーダー 岩熊勇斗様、ウォンテッドリー株式会社 取締役CFO 吉田祐輔様、株式会社HERP 取締役COO 徳永遼様です。

■ 第一部:あなたがいますぐSaaSスタートアップを始めるべき理由(起業家志望向け)

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画像出典:FastGrow
【小目次:以下のことが分かります。】
・ジャパンファイアーウォールの存在
・調達環境って今どうなの?
・SaaSスタートアップのExitはこうなる
・課題先進国日本におけるSaaSの役割
・応援してもらえる会社を作ろう
・SaaSスタートアップを立ち上げるには

理由①「ジャパンファイアーウォール」の存在

「ジャパンファイアーウォール」(鈴木さんの造語)があるので海外デファクトスタンダードを持ってくるだけでも勝ちやすい。なぜなら、ビジネスプロセスの大枠は万国共通であり、それぞれの課題と解決方法も近似的だから。

※ファイアーウォールとは、ネットワークとネットワークに間に立ち不正アクセスをブロックするためのセキュリティシステム。ここでは、海外プロダクトが日本に入って来づらいことを指す。

課題の解決方法の手段であるSaaS一覧カオスマップを見ると、必要なサービスはすでに存在していることが分かる。

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国産のプロダクトを見てみても、たくさんあることが分かる。(上記のカオスマップはHorizontal SaaSのカオスマップ。)

カテゴリーごとに日本のプロダクトが多くなっている理由。

それが、「ジャパンファイアーウォール」というわけです。


▼海外勢が日本に進出しにくい理由

言語・商習慣・タイムゾーン・法律の違い・優先順位が低い市場・リセラー(代理店)がいまいち・良いカントリーマネージャーが採れない(英語もでき、日本語のビジネスもできる人の採用をするのは難しい。)

要するに、上記のような高いハードルを乗り越えないと日本に進出するのは中々難しい。

▼ 日本ローカライズ版の強み

① 商習慣の差による不都合 > SaaSの業務効率効果

→ローカライズによりこれを解決

② バリューチェーン前後の企業とのアライアンス

ツールの連携の点。日本にすでにあるSaaSプロダクトの連携(アライアンスなど)をお互いにすることは可能。海外SaaS × 日本SaaSの連携に比べれば言語の問題などもあるため、日本のSaaS同士の方が組みやすい。

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理由②「調達ハードルと出口ハードル」が低くなる(はず)

「調達ハードルと出口ハードル」が低くなるはずなので、起業家が取り組む領域として成功確率が高い。

▼ 案件のEXIT確率

B2C < B2B

VCが投資して、EXITした確率(IPOあるいはM&Aされた確率)はコンシューマーよりB2Bの方が多い。

▼ 投資リターン金額合計

B2C < B2B

登壇者の鈴木さんは、10年くらいSaaS業界に身を置いているが、「かつてはB2BのSaaS儲からない」と言っていたVCが最近では、B2B SaaSにめちゃくちゃ目を向けるようになって来たと感じている。

▼B2B SaaSが注目されるようになって来た理由

課題の顕在化、SaaSのメソッドが形式化して来ており、正しい勝ち方ができるようになって来ている。スタートアップとして成長をする際にお金がつきやすい。


ここで、Aidemy石川さんのツイートが話題に。

アメリカでは100億以上の売り上げがないと上場できないことが普通だが、日本では ARR10億で上場している会社がある。米国に比べれば、IPO目指せる規模までは成長できるかもしれない。

▼SaaS企業のM&Aは今後かなり増えそう

SaaSのIPO、資金調達するSaaS系のスタートアップ増えている。
この調子でいけば直近1,2年でIPO案件が増えるはず。IPOした後の企業は間違いなく、他のSaaS企業をM&Aをしてくるだろう。その理由は例えば、マーケ効率と、セールス効率を高めるためだったり、アップセル、クロスセルをやるためだったりする。時間を買うためにM&Aをするのはありうる話であろう。

まとめると、入り口のハードルが低く、海外と比べると出口のハードルが低い。今後、買い手も増えてくるだろう。

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理由③「日本は労働人口の減少がやばい」

「日本は労働人口の減少がやばい」ので事業を通じて日本社会へ圧倒的プラスのインパクトを与えられる。課題を感じている人を救うことができるかもしれない。現状ITリテラシーがそれほどないであろうVertical SaaS(業界特化型SaaS)のスタートアップが間違いなく増えるだろう。元々ITリテラシーが低いと言われるといえ、最近ではスマホなどで業務が便利になっていると感じている人が増えていることから。

余談だがLINE WORKS、メチャクチャ伸びている。これはつまり、ITが業務の中でも活きていると感じる人は多いということでは?

人が減るのは必至なので自動化をしないといけない。生産性のインパクトはめちゃくちゃ大きいと考えている。

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■ SaaSスタートアップを始めるためには?

 ①専門家になろう

SaaSは業務における改題解決手段。課題に対する深い理解が必要。専門家と言われるようになること。鈴木さんは、元々カスタマーサクセスの経験もなくプロではなかったが、カスタマーサクセス(以下CS)に詳しいと思わせるようにした。

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専門家ぽいという空気感を最初のうちから始めるのはやったほうがいい。マクロ的視点、現場の方とのコミュニケーションをするステップ。今困っていることを様々な手段を通じて、情報発信した。メディアとかFBグループなどを動かしつつ、ナレッジを貯めた。最初は、自分自身が専門家でなくともそう思わせられるかは結構後にプラスになる。

 ②専門家を巻き込もう

ゲームチェンジャーは「外の人」が多いため、自分が業界出身でなくても業界を変えたいと願う専門家の力を借りるのもOK。外様の人だとしても、業界の中で不満を抱える人の力を借りることで業界にインパクトを与えるプロダクトを作ろう。

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鈴木さんはカスタマーサクセスのプロではなかった。ただ、初期メンバーに、詳しい人がいた。例えば、CSをやったことあるとか、早いタイミングで対象とする業務/業界のことをすごく知っている人が入ると、プロダクトへのフィードバックがとても良いものになる。

③応援してくれる人を増やそう

初期のトラクションを作りやすい。仲間集めと資金調達の目処をつけやすくなる。スタートアップは応援者をいかに増やすか。

▼ 応援してくれる人とは?

・解決するべき課題を強く抱えている人。
・誰かを応援しないと決めている人。

この2つ。スタートアップを応援する人は最近すごい多い。実は、誰でも応援する人って結局誰も応援していない。自分たちを応援してくれる人って、実は誰かを応援していなくて、自分たちをえこひいきしてくれる人を捕まえるのがめちゃ大事。

【まとめ】あなたが今すぐSaaSスタートアップを始めるべき3つの理由

①海外のお手本をならっても競争環境が緩やか
②SaaSは調達&出口ハードルが相対的に低い
③課題が山積しており、人生をかける理由になる


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■ 第2部:SaaS中の人座談会(SaaSで働く人向け)

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SaaS経営者/セールス/カスタマーサクセス/開発者等々が現場のあれこれや、SaaS裏話などをお話ししてくれました。

■登壇者の方

・株式会社マツリカ 執行役員 久保文誉様(@fumitakakubo)
・弁護士ドットコム株式会社 カスタマーサクセスチームリーダー 岩熊勇斗様(@yut0_kumoin)
・ウォンテッドリー株式会社 取締役CFO 吉田祐輔様(@uskysd)
・株式会社HERP 取締役COO 徳永遼様(@uxkong )


自己紹介をお願いします!(モデレーター:HiCustomer鈴木さん)

①株式会社マツリカ 執行役員 久保文誉さん

株式会社マツリカの久保です。「Senses」というSFA(営業支援ツール)などを開発しています。現在は、セールス・パートナーセールスの営業などを主にやっている。ローンチしてすぐくらいに入って、ずっとビジネスサイド中心でやって来た。インサイドセールスの立ち上げ、オウンドメディアの立ち上げなどやって、今はセールスに落ち着いた。

②弁護士ドットコム CSリーダー 岩熊勇斗さん

「クラウドサイン」という電子契約システムを運営している弁護士ドットコム株式会社の岩熊です。弁護士ドットコムというものは、元々弁護士と一般市民をマッチングするポータルサイトで、toC、toB(主にこっちがメインの売り上げ)向け。その次として立ち上がったサービスがクラウドサイン。法律×ITということで「LegalTech」の分野でクラウドサインを始めて、来月で3周年を迎える。入社した当時はリリースしたばっかなので、色々やっていた。今はカスタマーサクセスに落ち着いている。前職はDeNaでアライアンスなど。

③ウォンテッドリー株式会社 取締役CFO 吉田祐輔さん

ウォンテッドリー株式会社CFOの吉田です。会社自体には、二年前に入った。元々は証券会社でアナリストをしていた。(占い師見たいな仕事をしていた笑)前職は、株式会社trippieceで何でも屋を二年半ほどやったのち、Wantedlyに入った。今は、全社横断的なことをやっている。CFOと言っているが、ファイナンスの部分は5~10%くらい。広報とかアライアンスとか色々やっている。

④株式会社HERP COO 徳永遼さん

株式会社HERP COOの徳永です。現在はプロダクト開発とかセールスとか色々やっている。採用2.0をミッションに掲げている。自動応募管理のHERP ATSとか。採用担当の業務を楽にしようとしている会社。今は、正社員10人くらい。フェーズはまだまだこれから。元々は、beBitというUXコンサルティングの会社で定性調査とかをやっていた。


Q1.今までのキャリアと比較した際の現職の特徴、楽しさ・辛さ・チャレンジ・失敗について


マツリカ久保さん

前職はソフトバンクでB2Bの営業を4年ほど。同じ営業でも、会社として成果報酬制の空気感があるため目的がボーナスになってしまうなどとにかく売りまくれなどのミッションが強かった。マツリカにきて、お客さんがプロダクトを通じて何をしたいのか意識して、課題はどこにあるのかなど、お客さんとしっかりと向き合うためセールスのいる意味を肌感で感じることができるのがいいこと。PMF(プロダクトマーケットフィット)していない際の、セールスの時は辛いこともあった。その辺の要望を一個一個聞く営業の辛さ。お客さんの時間軸の限界を感じた時は辛かったり。プロダクトが未熟だったからこそ、変えざるを得ないという気持ちに素直になることができた。

▼HiCustomer鈴木さん「大手からスタートアップに興味を持った理由は?」

自分がペルソナとなるプロダクトに入りたい。Sensesというプロダクトは、営業マンがペルソナ。自分がペルソナであると、それに対して課題感が持てる。ということで、自分がユーザーとして使えるプロダクトを開発している会社に入ろうと思った。当初自分で営業マン向けのプロトタイプを作っていたとき、当時のSensesと近かったので親近感を感じた。


弁護士ドットコム 岩熊さん

今までのキャリアは、DeNAという主にゲームの会社。お金を払う人がいる以上、今のサービスは意味があるという空気感があり、それに対して自分も半分アグリーというくらいだった。大真面目に、ゲームでいかにお金を取れるように色々考える業務。ゲームに出てくるキャラクターの細部をどうするかによって実際、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)も変わる。

どこか人を喜ばせてやれているか、納得感がいかないところがあった。

そうしたモヤモヤがあった中で弁護士ドットコムに転職することに。 SaaSって全てそうなんだろうと感じることがあるが、ダメなプロダクトだったらお客さんはチャーン(離脱)してしまう。 「適切なお客さんに売ろう」というのがあるが、効果を感じてくれるお客さんに売れるので、自分としても精神的な健全性が保てるのがSaaSの魅力。SaaSは売ってからがスタートだから。クライアントの方と、理にかなった健全な関係を持てるところがSaaSに魅力を感じられる1番の理由。 辛かったこととしては、僕らの15年先を行くDocuSign、Adobe Signなどを見たとき。レッドオーシャンの市場だからね。かつては、日本のカルチャー「紙とハンコ」というものに立ち向かわないといけない、先が見えないという辛さもあった。実際、明日このサービス(クラウドサイン)を閉じないといけないという期間が結構あった。そこも大変だった。

▼HiCustomer鈴木さん「どこかのタイミングで、『おっ!』ってなるタイミングはあった?

初期のお客さんが大企業だったんだけど、2社目の大企業がちゃんと言ったときに「おっ」っていうタイミングがあった。
クライアント先が従業員200人、300人くらいなら対話ができる体制を作っておけば、対応可能だった。だが500人を超えると、関連する部署が増え、経理などほかの部署の業務フローも変えて、やり切らないといけないのでそこが結構大変ではあった。

クラウドサインって「外部ネットワーク効果」(製品やサービスの利用者数や利用率が増えるに従い、その製品やサービスの質やメリット、利便性が利用者そのものに還元される性質や現象)が働きやすいサービスなので、クラウドサインがパブリックヒーローだという空気感を醸成できてきたのが、このサービス、イケるんだなと確信したとき。空気感は大事!


▼HiCustomer鈴木さん「元々、何でも屋だったということだけど、なんでカスタマーサクセスに?」

ベンチャーあるあるだけど、なんでもできるけど、なんにもできない人ってのがいて。なんでも85点より、1つのことで120点を取らないといけない。そこで興味があったのでカスタマーサクセスを選んだ。


ウォンテッドリー吉田さん

前職のトリッピースはtoC。キュレーションメディア。元は証券会社出身でWEB系の人間ではないので前職でWebサービスの感覚を掴んだ。僕は皆さんとは違って、Wantedlyがサービスとして出来上がったときに入ったが、その際にはSaaS企業ではなかった。ベースはマーケットプレイス、メディアという感じだった。少なくとも僕の認識はそうだった。入ったところで年度の予算を立てるところだったので、証券会社時代のアナリストの経験を生かした。ボトムアップで作って行く中で、変数の利き方がトリッキーで、売り上げを積み上げていくという部分に面白さを感じていた。

僕が入った当初は、今以上にエンジニア社風の感じが強かった。けれども、プロダクトだけでは伸びの獲得がうまくいかない。伸び幅が増えていかないフェーズを迎え、その時ビジネスと開発は両輪だなと、徐々にビジネスサイドもやっていくようになった。そのときにフレームワークとしてのSaaSを用いた

(インバウンドマーケティング&セールスソフトウェアの)HubSpotの営業チームを作った方は元エンジニアだったらしい。ある時、HubSpotに関する本が社内で読まれるようになり、うち(Wantedly)はSaaSかもしれないという空気感になった。積み上げのシュミレーションをして行くときに、SaaSのフレームワークを吸収して落とし込んで行くのは学んでよかったこと。SaaSの世界で、チャーン(離脱)とか、追わないといけないKPIを追うチームなども作ることができた。失敗だとすれば、元々WantedlyはSaaSとして立ち上がったわけではなかったこと。それにより、単月の売り上げがデータとして出せないとか問題があった。最初のデータの持ち方はSaaSを想定していなかったので後々苦しくなった。本来的ならもうちょっと簡単にできたはず。
SaaSの方がメトリクス(何かしらデータを収集して、そのままの形ではなくて、計算や分析を加えてわかりやすいデータに変換したもの)が立ち上がっている、変なジャンプとかはない訳で。メディアとかならJカーブもできるけど。データの説明をできないと資金調達の際に詰められる。

▼HiCustomer鈴木さん「今後成長して行く上で、M&Aは検討しているの?」

プロダクトや世界観へのこだわりが強いので、どうだろうなぁ。現状、誰がPMIするの?って感じだから、今はないけど将来的にはオプションとしてはあるかもね。あと、今のSaaS盛り上がり風潮がダウントレンドに入ってくると、考え方も変わるかもしれない。SaaSのM&Aはそうしたアップダウンも関わってくるのかなと。


HERP徳永さん

まず、一番は業務内容が楽しいこと。営業とかCSとか。問い合わせ来たら対応するとかやるけど全部楽しい。なんで楽しいのかなって考えると、岩隈さんが言ったようにSaaSの健全性にあると思う。SaaSというか、サブスクリプションだと思うんだけど、クライアントと健全な関係でいられるから楽しいんだと思う。ビジネスって楽しいけど、辛いこと・汚いこと多いじゃないですか。騙して売るとか、売ったら後はもうサポートしないとか。サブスクリプションはそれを変えうる。サブスクリプションの前は、価値を感じるタイミングとお金を払うタイミングが違うことが原因だった。価値を届けることが目的なはずなのに、お金を取ることが目的となっている。だからこそ、サブスクリプションのSaaSは、価値を感じてお金を支払うという形だからこそ、今の業務が楽しいだろうなと思えるんだと思う。辛さとしては、海外が強いということ。実際、「ジャパンファイアーウォール」があるからこそ、助かっているなと思っている節はある。これが日本に来たら、太刀打ちできないなと感じるときは辛くなる。

▼HiCustomer鈴木さん

確かにスタートは守ってくれるが、後のフェーズになると、グローバルでは勝てない。ガラバゴス化してしまう。

吉田さん「営業・CS組織を分解してないのは実際どうなの?」


弁護士ドットコム 岩熊さん

現状、切り分けてそれぞれのチームとして淡々とKPIを追っている。なぜなら達成度は給料に直結しているから。よくある自分の役割のところだけ達成しようとして他を顧みない行為をしてしまう打ち手としては前後のプロセスもKPIに入れようとしているところ。後は、カスタマーサクセスとしては営業チームに共有などをする。その時はファクトベースで報告をすることを注意している。営業・カスタマーサクセスそれぞれのチームのトップのお約束としている。実際フェーズが大きくなると、難しいところもある。」

HERP徳永さん

今は、うちは小さいチームだからできている。デカくなるとどうするかは難しい。セールス・CSで作るんじゃなくて、ユニットみたいなのをいくつか作って、 MRRとかKPIをそれぞれ追うってのもいいのかなと。プレイドはそんな感じとちらっと聞いたことがある。

マツリカ久保さん

チームって感じでビジネスサイドを分断したのは今期が初めて。基本的にはCSが一番大事。チームとして動き出したのは最近数ヶ月。カスタマーサクセスを学んでから適材適所に分けるようにしている。

SCOUTER 中嶋さん

うちは、一部署にまとめたけどダメだった。守備範囲を明確にした方が、結局分けたほうが良かった。実はね、カスタマーサクセスをやっていた人がセールスになったのが一番良かった。導入が一番スムーズになる。

HERP徳永さん

セールスフォースってやっぱすごい。営業の方が、現場感を持って語れるのが一番良い。ビジョンを描きやすい。

HiCustomer鈴木さん

ドックフーディングできているプロダクトってすごく売りやすい。それが強み。


<会場からのQ&Aタイム>

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質問①:PMFしないとき、ピボットするとき、大企業/SMBどちらに合わせたか?

弁護士ドットコム 岩熊さん

クラウドサインは絶対PMFするだろう、とイケる前提であった。中長期前提では、SMB(中小企業)より大手とのヒアリングを重視した。優先順位づけは大手に合わせた。

HiCustomer鈴木さん

SMB、大企業どちらに合わせた方が良いかっていう、この問題はめちゃくちゃ難問。

SCOUTER中嶋さん

小規模って言ってももっと、細分化はできる。幅広くやってみて、うまく言った事例をもとに絞っているようにしている。できることが増えてから広げないとカスタマーサクセスが死ぬ。例外が発生しないようにやる。

マツリカ久保さん

大企業とSMBだとだいぶ違う。大企業はプロダクトの本質じゃないところで問題が起きがち。大企業リスクはSaaSはデカイかも。

ウォンテッドリー吉田さん

SMBに最適化していきすぎると、大手に広げていくとなったときに、売り方も組織的にも難しくなってしまうことには注意が必要。

HiCustomer鈴木さん

最初にベースを作って、そこに上乗せていくというコンシューマー的な戦い方がB2Bでも増えて来た。


質問②:サービスを来月リリース。リソースがなくて足り困っている。どのくらいリソースを割くべきか?


HERP徳永さん

うちもまだ本格版は出していないが、有料でトライアル利用をしてもらっている。トライアルしてくれている企業さんが15社強くらい。今はセールスにかけたリソースを全部止めている。何故かというアンケートとか取るとNPSとかボロボロだったので、セールスを完全に止めてCSと開発に注力しているところ。かつて無料トライアルをしていた時、あんまりターゲットじゃない人にも提供、コミットする気がない人にも提供するって感じでコストが余計にかかったから有料のトライアルは結果的には良かった。

HiCustomer鈴木さん

カスタマーサクセスとして大事なポイント。1つは、カスタマーサイドの要望をいかに吸い上げ、プロダクトの価値を作るサイクルを早くするか。もう1つ。現状、MVPがあってちょっとしたギャップがあるなら、運用サイクルを回していろんなことをやるのが大事。スタートのフェーズはプロダクトでできることが少ないからこそ、人が何かしらをやるべき。リソースを厚めに置くべき。

SCOUTER中嶋さん

一回売れると、売れんじゃん!と思い込んでしまうよね。

HiCustomer鈴木さん

開いた穴のデカさを掴むことによって、リソースの振り向け方も変わって来ている。1個1個ごとに、課題を埋めるギャップって多い。穴の大きさを測る意味合いでもCSの人が果たすことは多い。


質問③:Zuora入れてどうだった?(Zuora:サブスクリプションビジネス支援プラットフォームSaaS

弁護士ドットコム 岩熊さん

うちはZuora入れている。それまで、うちはGoogleスプレッドシートで手動で管理していたけれど、Zuoraを入れてからはなくなった。かつては、請求もアナログで管理していた。

HiCustomer鈴木さん

ERPあるある。一回入ると離れられないということ。一回入れちゃうとどうしようもない。Zuoraに限らず、SAP含めて、しょうがない部分もある。要は簡単に考えない方が良い。

ウォンテッドリー吉田さん

Zuoraなど入れるなら、Demoは見せてもらった方がいい。


質問④:人的リソースが減る中で、RPAツールとか導入されている方いますか?


ウォンテッドリー吉田さん

うちはRPA入れている。チュートリアル社のRobotic Crowd。営業事務などを自動化している。元アビームの方がいて、その方が業務フローをめちゃくちゃ分解できる方だったため、RPAの運用・構築が上手くいった。それにより自動化しようという波が各チームに広がった。インターン生でもコピペできる。今は1つのロボットしか導入していないので、ロボットの時間割とかを作っている。

HiCustomer鈴木さん

RPA運用のポイントは・業務フローをいかに分解できるか・ルーチン化できるかどうかですね。

質問⑤:カスタマーサクセスは有料でやるべき?


マツリカ久保さん

将来的には有料にしたい。Salesforceは有料だし、そういうモデルは取りたい。今のところは機能的に足りていなくて、人的にカバーしている部分が多いので機能が追いついたときに、カスタマーサクセスとして稼げる体制になったらやりたい。

弁護士ドットコム 岩熊さん

僕らもとっていない。今後もないだろうと考えている。Adobeとかは、アップセル営業をしたいがためにCSでセットでお金取るとかしているんだとか。単独でお金をとっているところはあんまりないはず。

ウォンテッドリー吉田さん

Wantedlyのモデル上、商材がライト。導入してからコンテンツを作ってもらうという形。広く薄く、より多くの会社に使ってもらうために、ベースとしてはテックタッチでやりたい。今後は場合によっては、有料にするかも。

テックタッチ:カスタマーサクセスの1つの手法。システムやテクノロジーを使って、一度に多くのお客さまに対応する方法。

HERP徳永さん

中期的にも取らないかなと。うちのプロダクトはターゲットはWebベンチャーだから。めちゃくちゃ長期になったら取るかもしれない。


質問⑥:ITリテラシーの低い方たちにも営業をかけようとしているんだけどどう?


弁護士ドットコム 岩熊さん

僕らもとてつもないITリテラシーの低さにぶち当たることはある。Excelって何ですか、という方も実際いた。そういう方が入ってくることも、うちは「いいよ」としている。ARPUも月2万円くらいなんだけど、手取り足取り教えて個別にやっている。CSはそれでもいいと思っている。今は使えなくても今後使える会社・人が増えればいいなと思っているから。もちろん、どうしておけばよかったのか、とかは終わった後でセールスなどと振り返って、セールスの段階でどこまで握っておけばよかったのかなどは共有するようにしている。

マツリカ久保さん

Salesforceに比べて直感的という売りなので、ITリテラシーの低い人からのフィードバックは気づきが実はかなり多い。割と大事にしないとな、と意識している。リテラシーが低い低いとお客さんを下に見るようなことをしてはいけない、お客さんと向き合おう。

HiCustomer鈴木さん

「投資と捉えるか、コストと捉えるか。どう捉えるかでアクションが変わる。フェーズによるかな。」

ウォンテッドリー吉田さん

今のWantedlyは顧客の層が広がっている。それゆえ、思ってた以上にうまく使えない人も増えてきている。ビジネスサイドの人を増やしているのはその意味合いもある。うちはボトムから始めて、ファネルを広げて行った。次のステージとしてはトップオブファネルを広げていく、それに付随する課題も出ることは予感している。


▼今回の登壇者の方たちに関係するプロダクト


①株式会社マツリカ:Senses

②弁護士ドットコム株式会社:クラウドサイン

③ウォンテッドリー株式会社:Wantedly

④株式会社HERP:HERP

⑤HiCustomer株式会社:HiCustomer


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参考になれば幸いです。

最後におまけとして、今回の主催者の方や登壇者の方のメディア掲載記事・おすすめ記事を掲載しておきます!

▼おまけ:今回の主催者・登壇者の方に関するメディア掲載記事/おすすめ記事


①主催者:鈴木さんの記事

②WantedlyがSaaSビジネスとして超いい感じに進化している件

Wantedly吉田さんのブログ記事も学びが多くて、めちゃくちゃ勉強になります。最近だとこれですね。


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