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「クマは怖い」について

4月頭の青森県は春遠からず近からず。
平地から少し山間に入ると雪がまだまだ残っており、移動の最中には小雪に見舞われた。人生初の「お天気雨」ならぬ「お天気雪」というものにも初めて遭遇したのだ。

なんだかんだで青森によく来ている。なんか青森の空気が肌に合う。
羽田から1時間ちょっとで来れるし、都会過ぎず田舎過ぎずの町並みや、興味深い歴史や文化をもっと知りたいと思わせる。
でも青森ねぶた祭もねぷた祭も生で観たことがないし、弘前公園の満開の桜は見たことがない。僕は偏屈な人間なのでベタ過ぎる観光はなるべく避ける傾向にある。それは人混みが嫌だというのもあるし、そういうイベント時は旅行代金も高くなるし、何より1人旅で賑やかな場所にわざわざ出向くという寂しさよ。 

昨年12月に青森に来た時には、それまで訪れたことのなかった南部地方を廻ったので、今回は下北方面を観光しようと計画した。津軽地方、南部地方、下北地方と、今回の旅行で大まかに青森県全体を廻ったこととなる。
まぁ計画といってもレンタカーとむつ市内のホテルだけ抑えたのみで、あとは相変わらずノープランだ。

下北半島は本州の最北端部であり青森県北東部に当たる。一般的な知識として恐山やマグロ漁で有名な大間がある所というイメージだ。他は何もわからない。

青森は広いです

野辺地からむつ市までは『下北半島縦貫道路』なる自動車用バイパスが(途中まで)通っていて、予想以上にスムーズに辿り着ける。むつ市街地は賑やかでユニクロもマックもTSUTAYAもあるので本州の果てといえどかなり開けているように見えた。飲食店の店舗数も多く、人口あたりの飲み屋率は全国2位の街らしい。
なんで むつ市で飲んだくれてやろうと思ったものの、何も考えず予約したホテルが山の上にあり、市街地まで歩いて20分以上という立地なので少し愕然となる。
まぁ20分位は歩きますけど。、日が暮れるとえらく寒いわ 雪はチラつくわで、なんてこったって感じですわな。

ブリと生き埋めになった人

旅行するにあたって無計画とか無知識は、面白いことが起こることもあるが、だいたいは記憶に残らないことばかりだし、家に帰ってから「あれをやっておけばよかった!」と後悔することも多い。今回がまさにそうだった。

だいたい今の時期はマグロ漁の時期ではないし、積雪のせいで通行止めの道は多いし、今の時期の恐山には入れない…
Googleマップでみると むつ市より西は山しか見えない… 



「そうだ、仏ヶ浦に行ってみよう」と思ったのはもはやそこしか行く場所が見つからなかったからである。
「仏ヶ浦」とは下北半島西岸の海岸沿いに2キロメートル以上に亘り、奇異な形態の断崖・巨岩が連なる海蝕崖地形である。佐井港から観光遊覧船に乗って見学するのが王道コースのようで、その遊覧船に乗ろうと思ったが冬の時期は運行していないことを直前に知る…
完全に下北半島に来る時期を間違えたと確信したが、徒歩でも海岸に降りられるようなので、駐車場に車を停め遊歩道を歩いて仏ヶ浦に降りていく。小一時間そこに居たけど人っ子一人居ないし、最後まで人とすれ違うことは無かった。

「熊 倒し方 素手」で検索

「熊出没注意!」と看板があったけど、森の中でクマさんに本当に出会ったらどうすりゃいいねん。
この山奥には誰も居ないし、僕がここに居ることは誰も知らないし、もしここで熊に連れ去られたら、数日後には行方不明者として処理されて、同僚には「まぁあの人は蒸発しそうな雰囲気あったしね」と思われて、何事もなく地球は廻っていくのだろうな。

クマの気配を意識しながら歩を進める
そして誰も居ない
とき姐さん こと如来の首

海岸に降りて見える奇岩群は迫力満点だ。ただ、こういう景観地は多くの人に崇められるのを見て初めてありがたみを知る。ぽつんと一人で眺めていてもただただ珍しい形の岩でしかない。

今更だが、旅行は時期の選択と予定を立てることが非常に重要だ。桜は春に咲くし、ねぶた祭は夏だし、林檎が実を付けるのは秋だ。4月に入っても青森の山あいには雪が残っている。
今度青森に来る時にはきちんと計画を立ててこよう。あと熊が出るところにはなるべく行きたくない。怖いし。

ここで食べたカレーが美味しかったな

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