1
あるところに

　なかよし　ふたり　

　なにをするにも　ちからをあわせ　たすけあってきました

２
あるひ

　ふたりは　いちばへ

　でかけることにしました

　そこは　いつだって　みたこともないような

　あたらしくて　おもしろいものが　たくさんあるのです

３
いちばへは　いつもきまって　このリュックをもっていきました

　からのリュックをながめながら

　こんどは　どんなおもしろいもので　

　いっぱいになるのだろう　と　

　ふたりは　わくわく

　このまえ　このリュックで　もちかえったものは…

４
たしか　いろんなおならをする

　おならかいじゅう！　だったよ

　そうそう！

　あれは　おもしろいおもちゃだったね

　しかも　いろんな　おならのおとが　でたよね

　ぷぅ～とか　ぶひっ～とか　ばふん！とかね

　でもさ　あれ　すぐにこわれちゃったんだよね　

　「ばり」　て　おならみたいな　おとをたててさ　

　かんたんに　こわれちゃったよね

５
あとさ　ぐるぐるの　ぼうし

　ああ！　まきぐそぼうしね

　かぶってるだけで　たのしかったね

　でもさ　くさかったからね

　ちょっとつかっただけで　もういいやって　

　いまは　ものいれにしまったまんまだね

　おかげで　ものいれごと　くさくなっちゃったよね

６
ほかにもさ　むしばがらの　すかーふ

　くびにまいているだけで　なんだか　はがいたくなってくるの

　おもしろいすかーふだったよね

　あれも　しまいこんじゃったけどね

　だって　あきちゃったんだもの

　いやいや　はがいたいからでしょう

　あとは　りんごのあじがする　みかん

　くしごとたべられる　くしだんご

　あはは　へんなものばっかり　

　どれも　いまは　のこっていないか　つかっていないものばかり！

７
きょうは　いちばで

「ずっと　たいせつにしたいもの」

　を　みつけてこよう！

　それがいいね！

　ふたりは　いちばまで　いさんででかけていきました

「ずっとたいせつにしたいもの」を　みつけに…！

８
ふたりは　いちばへつきました

　いちばは　またもや　みたこともない　おもしろいもので　あふれていました

　うんちが　ほうせきになる　まほうのおかし

　はなみずが　おはなにかわる　ふしぎなハンカチ

　ひとくちたべたら　いやなおもいでをわすれるアイス…

９
けっきょく　ふたりが　かったものは…

　かわいたラーメンでできている　「カツラーメン」

　はくだけでリズムをきざむ　「かってにタップシューズ」

　かがみにうつるたびにおしゃべりする「ほめたりけなしたりミラー」　

　おもしろそうだけど

　でも　これって　ずっとたいせつに　したいもの…？

１０

ふたりは　いっぱいにふくらんだリュックをながめながら

わらいがこみあげてきました

リュックをみているだけで

これまでにかった　あんなものや　こんなもの

リュックにいれた　いろんなものが　おもいだされて

いつまでも　いつまでも

わらいがとまりませんでした

１１

気づくと　ふたりは　リュックにてをあてていました

からっぽでも　ぱんぱんでも

みているだけで　こんなに　たのしくなれる

おもいでいっぱいの　このリュック

このリュックこそが　「ずっとたいせつにしたいもの」なのだ

と　ふたりはおもいました

リュックをだいじにかかえて　ふたりは　いえにかえることにしました

と　そのときです！

１２

しげみから　おおきなくちをあけた　だいじゃが

ふたりにおそいかかってきました！

いちばのおきゃくさんをたべるために　

こっそり　いちばにきて　まちかまえていたのです

１３

あぶない！

とっさにリュックを　だいじゃのくちのなかに　なげこみました

いっぱいにふくらんだリュックを

だいじゃは　えさとかんちがい

ゆっくりとのみこんでいきます

そのすきに

ふたりは　にげることができました


１４

たいせつなリュックを　うしなってしまったふたり

あのリュックをとりもどすことは　もうできません

それでもふたりは

おたがいのかおをみあわせると　うれしくて　うれしくて！

だって

ふたりとも　ぶじだったのです

おそろしいだいじゃから　ぶじににげられることができたのですから！

１５

かえってきたふたりは

ちからをあわせて　あたらしい　リュックを　つくることにしました。

「じょうぶで　かっこよくて　たくさんいれられる　リュックがいいな！」

リュックに入るものをそうぞうしながらつくっていたのでしょう

ふたりのへやからは　

わらいごえが　たえませんでしたとさ


おしまい