グローバルダイニング

グローバルダイニングが都を提訴。昨日入ってきたニュースだ。

記事にあるように時短命令の対象となった27店舗のうち26店舗がグローバルダイニングというのはさすがにどうかと思うが。

もともとグローバルダイニングは、飲食店の営業自粛に対して強い姿勢をとっていた。昨年8月の時点でも、以下のような考え方を示している。

コロナ禍になってからの対策に疑問を抱いている中で、20時以降の自粛は敢行された。その後も、一貫した姿勢で営業を続けている。

都の補助金自体が飲食店で一律となっており、大きな店舗ほど損する形になっている。誰がどう見ても不公平極まりない政策なので、これも仕方ないと思う。その他、サイゼリヤの社長なんかも声をあげていたようだ。

基本的には近隣店舗の密告が取り締まりの中心になるので全ての店舗を取り締まることは不可能で、自分自身もいくつか20以降も営業している店舗を知っている。

もちろんバレても補助金がもらえないだけなので、営業した方が利益になる、背に腹は代えられないという理由で開けている店舗も多いだろう。

とまぁ、これは政策の不備や不公平感からくるものなので「グローバルダイニングが代表して怒られて、グローバルダイニングが代表して反論している」という図式になるのかもしれない。

今回のコロナ禍でやり玉にあげられがちな飲食店業界。一つになってロビー活動をする組織がないので、大きな会社がその役割を担わなければならない。それがグローバルダイニングだったという話だ。

個人的には、このグローバルダイニングの判断は支持したいと思う。


で、コロナ禍になってたびたび見るようになったグローバルダイニング。関東の飲食店で働いている人間なら知らない人はいないほど有名な会社だ。

ここ数年は鳴りを潜めていたが、十年ほど前は飲食の中心はグローバルだったと言っても大袈裟ではないだろう。

ラ・ボエムやモンスーンカフェなどのいわゆるグータンヌーボで使われそうなお洒落な店。

西麻布にある権八は、ブッシュ前米大統領が訪れたり、映画「kill Bill」のモデルになっていることでも有名だ。

今で言えばインスタ映えしそうな、ステータスになりそうな店を多く展開していた。これらの店は一見高そうに見えるのだが、そこまでではなく少し背伸びをすれば届く価格帯であったことがグローバルのすごいところだ。内装にしっかりとお金をかけて良い雰囲気作りをした上で誰でも訪れることができる。

当然のように流行らないワケはなく2010年くらいまでは飛ぶ鳥を落とす勢いだった。

そして、グローバルは独立も奨励していた。ここ10年でオープンし都内で流行った飲食店の多くにグローバル出身者が絡んでいる。オーナーとして立ち上げたりするのはもちろんだが、オープニングスタッフの中枢としてグローバル出身者を据えるというのも多い。

それくらいグローバルダイニングで働いていたことは飲食業界において大きなものになった。

グローバルダイニングがこれだけ大きな存在になったことの理由はいくつか挙げられるが、個人的にグローバルで明らかに変わったと思う点が2つある。

まずは給料の高さだ。飲食は他と比べそこまで賃金が高い業種ではない。むしろ給料が低い・ブラックという印象を抱いている人の方が多いだろう。大きく間違ってはいないと思うが、それをグローバルダイニングは大きく変えた。とにかく稼げるのだ。詳しい金額は各々で調べてもらうとして、どのグローバル出身者に話を聞いてもグローバル時代の給料はすごかったと声を揃える。当然、めちゃくちゃ働いたと枕詞はあるのだが。

グローバルに入ればこれだけ稼げる。こと給料という面では飲食に希望を与えた。そして、それが周知されることで有能な人材がさらに集まった。


次にサービスの地位向上だ。サービスとはホールスタッフのことである。キッチンに対してサービスと呼ぶ。

飲食店は大きな店舗になるほどキッチンとサービスの溝は深い。そして、キッチンの方が大きな権限を持っている店が圧倒的に多い。いや、多かった。グローバルダイニングは、この権限を同等にしたのだ。良い接客は美味しい料理と同等の価値がある。それならば、サービスの給料も高くすべき。

グローバル出身者に元キッチンだが、いまはサービスをやっているという人が多いのがそれを物語っている。そして、やはりグローバル出身者の店に行くと接客が良い。良いというよりも心地よいというのだろうか。また来たいなと思わせる接客をしてくれる。個人店ほどこうなる傾向があったり、もっと昔からそうだったという意見もあるかもしれない。だが、全体的に飲食のサービスの質や地位を底上げしたことに間違いなくグローバルの存在が寄与していると思っている。


と、自分自身グローバルで働いたことはない中でつらつらと書いてみた。コロナ禍になり続け様に目にして、かつて「グローバルってなんでこんなにすごいんだ」って思いいろいろ調べてたのを思い出した。

隆盛を極めた後のここ数年は、あまり話題にならなかったグローバルダイニング。彼らとしては不本意だろうが、このコロナ禍をキッカケにまた飲食の中心になる可能性もあるだろう。

コロナが明けたらグローバル系列にも飲み行きたい。

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