見出し画像

貴方と。日々を綴る、書き手でいたい。

 「貴方と。日々を綴る、書き手でいたい。」
 そう思ったのは、いつだっただろうか。“貴方”が作ってくれたチーズいっぱいのホットサンドを、ふたり頬張った日だったかもしれない。“貴方”と、思わせぶりに振り回されるMVに、ふたりため息をついたあの夜だったかも。「すみれがしたいことをしなさい」と“貴方”が背中を押してくれたあの日かもしれない。大好きな“貴方”と創り上げた物語が、“貴方”の目に留まったときかも。それとも…。

 初めて、小説を書いたのは中学生の時。数学の時間、ぼーっと窓の外を見ていると、そこには小さな水溜まり……気づいたら、ノートに“物語”が書かれていた。それが、始まりの合図だった。

 それから、密かに書き続けた。小説も、短歌も、詩も、エッセイも。思うままに書き続けた。
 “密かに”が消えたのは、大学生一年生のとき。バスに揺られていたとき、あるサイトに出会った。そのサイトの名前は、“ショートショートガーデン”。四百字、つまり原稿用紙一枚でショートショートを投稿するサイトだった。面白そう…と、ある作品を読んでみると鳥肌が立った。世の中には、こんなにも心揺さぶるような作品を紡ぐ人がいるんだ…とドキドキが止まらなかった。そして、もう一つ、ある感情が私の心を満たしていった。
 「私も、書きたい」
 そこから、ショートショートガーデンに投稿するようになっていった。心を揺さぶられた作者さんー豊丸晃生さんーからコメントをいただき、バスのなかで声を上げてしまったのは、今でも覚えている。私の作品と、出会ってくださった方がいることが本当に嬉しくて仕方なかった。そこから、私の世界はどんどん広がっていった。書くことを通して、同じ書き手のみなさんと出会うことができた。柔らかく包み込んでくださる、いまいまりさん。趣味仲間の深月凛音さん……。特に大好きで、憧れだったのは、『ベリショーズ』のみなさんだ。『ベリショーズ』は、何度も読んだ。ことのはももさんの「クリスマスの朝に」を読んでは、何度も涙した。10101298さんの「落ちる夜」を読んだ翌朝、ウミネコが落ちてくる夢で目が覚めた。私の心をワクワク、ドキドキと満たしてくださるみなさんが全国にいることにいつも勇気づけられていた。私の書く、原動力だった。
 ある夜。私は大好きで憧れだった『ベリショーズ』の一員となる。同期は、秋田柴子さん。私は、柴子さんの「ココロが餃子を求めてる」が大好きで、餃子を食べるとき、いつも思い出す。………大好きなみなさんと、素敵な作品が作れることが嬉しくて仕方なかった。そして、すみれを。受け止めてくださったみなさんに、感謝でいっぱいだった。

 素敵なみなさんに支えられながら、私は書き続けた。それでも、私は書くのが上手くはないから…と悲観的になることも。何が書きたいのだろう、何が書けるのだろうと活字の海で迷子になったこともあった。誰にだって書くことはできる。私じゃなくてもいい、と闇夜に零したこともあった。

 そんななか、ある日気がついた。
 私が書きたいのは、“日々”だと。それはただの“日々”ではなく、“貴方”との“日々”。“貴方”は、誰か一人のことではなく、私と出会ってくれた大好きな人々のこと。“貴方”がいるから、私の“日々”はこんなにも煌めいている。“貴方”と積み重ねた“日々”が、私はとても愛おしい。だって、“貴方”との“日々”は当たり前じゃないから。だから、私は書き続ける。
 誰ひとり、同じ“貴方”はいない。そして、“貴方”への私の想いも同じではない。だから、ひとりひとりを想いながら私は丁寧に書いていく。「ありがとう」も「ごめんね」も「大好きだよ」も。溢れて仕方ない“貴方”への想いを、綴っていく。
 それは、私にしかできないこと。

 私は、「貴方と。日々を綴る、書き手」。
 私と出会ってくれた、全ての“貴方”へ想いを込めて。これからも、書き続けていく。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

523,049件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?