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スナフキンまとめ

スナフキン共通項目
 三角帽子をかぶっており、首にはスカーフを巻いている。
 毎年春になるとムーミン谷に戻り、秋になると南方へ旅に出る。
 自由と旅を好み、あまり人と群れて生活することはせず、ムーミン谷でもひとりテントを張って生活する。
 旅から得た経験や、独自の哲学から、ムーミン谷のみんなのアドバイザー的な役割を担う。

原スナ
原作小説、コミックスのスナフキンのこと。
時期によってかなり性格が変わる。個人的に以下のように分類している。

初期スナ
ムーミン谷の彗星の最初期版の英語版のComet in Moominlandのスナフキン。
(*ムーミン谷の彗星は1946年にKometjaktenと言う名で初版が出た後、1956年(Mumintrollet på kometjakt)と1968年(Kometen kommer)の2度に大幅な書き直しがあり、日本語版は1968年に書き直された最終版を元に翻訳、1951年に翻訳された英語版は1946年版のものを元に翻訳されているのです。)
 シリーズ中ぶっちぎりでアグレッシブかつおしゃべり。
 本人曰く、画家であり、詩人であり、音楽家でもあり、何にでもなれる。
 旅の先輩としてその経験と知識を駆使してムーミンたちを手助けし、導くアドバイザー的な役割を果たす。その一方でムーミントロールに教えられるまで彗星のことを知らなかったりするなど、しばしば最終版とはムーミンと立場が逆になることもある。最終版に比べて感情豊かで、無邪気な子供らしさも垣間見える。
 メロンを窃盗して逮捕、脱獄した経験もあり、それを自慢話にするなどアナーキーな要素もこの頃から垣間見える。
 また初期版では過去にも多少触れられており、赤ん坊の頃籠に入れられた状態で発見されたという過去が語られている。

 1968年にトーベヤンソン氏の手により大幅に書き直された際、彼の話は大幅に減らされ、性格も無口でクールな万能キャラになった。
 ちなみに英語版では初期版のままなので、地域によってはこちらのスナフキンのイメージが強い模様。

Comet in Moominland

中期スナ
楽しいムーミン一家、ムーミンパパの思い出、ムーミン谷の夏祭りのスナフキン。
 多分世間一般的な原スナはこの辺のイメージが強い気がする。
 全体的にアグレッシブで、初期版スナフキンの傾向を引き継いでいる要素も多い。
ただし、それぞれの作品でもだいぶ性格は異なる。

 楽しいムーミン一家ではムーミンたちと仲良く遊ぶ子供らしさと、独自の価値観を持つ経験豊かな大人っぽさがある。自由と孤独と旅が好きで、毎年冬になるとムーミン谷を離れるという生き方が確立されたのも、この作品。

 ムーミンパパの思い出では、話の視点がムーミンパパのためか、自分の父親の話をせがむ子供らしさが他作品に比べダントツに高い。

 ムーミン谷の夏まつりではアグレッシブさと奔放さはありつつも、子供らしさはほとんどなくなる。この小説での看板を引き抜くスナフキンのアナーキーさはちょいちょいネット上で話題になる印象。他にも24人の子どもたちの世話をするハメになって所帯じみたスナフキンなど、見どころの多い小説でもある

楽しいムーミン一家
ムーミンパパの思い出
ムーミン谷の夏まつり

原作後期
ムーミン谷の仲間たち、ムーミン谷の11月あたりのスナフキン。
 ムーミン谷の夏休みあたりまでのアグレッシブさやあまりなくなり、無口で内向的な傾向が強くなる。哲学的要素が強くなり、独自の生き方を生きようとする。そのため、その生き方を阻害する者に対してはぞんざいな対応になる傾向がある。
 みんなのアドバイザー的な役割は健在なものの、少し情緒不安定な部分もあり、ムーミン谷の11月ではヘムレンが作ろうとした「ムーミン谷」と書かれた看板を見て金切り声を出すほど取り乱すような描写がある。

ムーミン谷の仲間たち
ムーミン谷の11月

コミックススナフキン
イギリスの新聞、イブニング・ニュースに連載されたコミックスシリーズのスナフキン。
途中から弟のラルス・ヤンソンに引き継がれる。
 ブラックユーモアが強めなコミックスのためか、社会というものを斜に構えた態度で見る傾向が強い。そのため、目先の利益に目が眩みやすいムーミンたちを俯瞰した目線でアドバイスし、最善な方向へ導く役割を担うことが多い。
 一方で初登場時に果樹園投資に失敗してニョロニョロを生やしたり、再登場時には巨大なブーツを履いていたり、スノークのお嬢さんの色仕掛けに釣られたり、後述の42話ではムーミンたちに振り回されるなど、ネタキャラ要素も強い。

筑摩書房ムーミン・コミックスシリーズ
講談社ムーミンまんがシリーズ
福武書店:ムーミンの冒険日記
ちくま文庫ムーミン・コミックス・セレクション
Moomin: The Complete Tove Jansson Comic Strip
Moomin: The Complete Lars Jansson Comic Strip


危険スナ
ムーミンコミックス42話、ムーミンの危険な生活(英:Moomin Lives Dangerously)(典:Mumin lever farligt)のスナフキン。
 トゥッフェという子供を連れている。放浪生活に疲れ果て、柔らかいベッドと落ち着いた生活に憧れてムーミン谷に戻ってくるものの、ムーミンたちが巻き起こす騒動に振り回されて何度も死にかける。

Moomin Lives Dangerously
それいけムーミン(講談社ムーミンまんがシリーズ)

「ムーミントロールと地球の終わり」のスナフキン
1947年にフィンランドのスウェーデン語系新聞「二ィ・テッド」に連載されたムーミン初のコミックス。のスナフキン。
こちらもネタキャラ要素強め。
なぜか巨大なゴールデンシロップの瓶に寝泊まりしていた。道中自作の詩を聞かせるものの、ムーミンにとってはあまり面白いものではなかった模様。
ちなみにこのコミック、ムーミンとしては初の本格的なコミックであり、英国のイブニングニュースで連載されたムーミンコミックスとはまた違った外連味の強い作品である。

ひとりぼっちのムーミン (筑摩書房ムーミン・コミックス14巻)

アニメのスナフキン

ムーミンはこれまでに5シリーズのテレビアニメシリーズ、6本の劇場アニメが制作されている。それぞれ見た目や性格が大きく異なり、ファンの間でもそれぞれ区別されて独立されたキャラとして扱われることも多い。

旧スナ
1968年版アニメのスナフキンのこと。
声優は西本裕行。
 黄色の服に茶色の帽子で髪の毛はない。1話のみ一人称がオレ。ムーミンと大きく年が離れた大人として描写されている。
 昭和版のスナフキンの大きな特徴として、ハーモニカではなくギターを弾いている。彼の声の西本裕行が歌う「おさびしの山」はアニメ史上に残る名曲。
 アニメシリーズとしてはオリジナル要素が強く、性格は強いて言えば原作中盤やコミックス版のスナフキンのかっこいいイメージを抽出してさらに西部劇を混ぜた感じ。
 基本的にはムーミンたちに大人としてさまざまなアドバイスを与え、時には覆面の西部劇男に変装したりといった妙な実力行使で導く役割を担っている。また、ギターで敵を撃退することもできる。
 登場時はムーミンをからかうなど喰えない大人な部分もあった。

ムーミン

新スナ
1972年版アニメのスナフキンのこと。
 黄色の服に茶色の帽子で、帽子には花を飾ったり羽を飾ったりしてる。黒髪が生えており、長身痩躯の大人。
 旧アニメ序盤に比べ原作よりのキャラクターとなっている。基本的にはムーミンたちに大人としてさまざまなアドバイスを与え、時には他の大人にはない芯の強さと身軽さで行動して導く役割を担っている。
声は1969年版に引き続き西本裕行が担当。

新ムーミン

パペスナ
1978年のポーランドで制作されたパペットアニメーションシリーズのスナフキンのこと。人形を使ったモーションストップアニメ。赤毛〜金髪のストレートヘアー。ストーリー的にかなり原作に忠実なので、彼の言動もおおよそ原作に沿ったものになっている。2010年代以降には再編集して声も新しく吹き替えたものが劇場公開されている。

https://www.nhk-ep.com/products/detail/h18554AA

連スナ
ソ連制作のアニメのスナフキン。
厳密にいうと、1978年の人形を使用したストップモーションアニメ(上記のパペットアニメーションシリーズとは別)と、1980年代初頭の手書きアニメーションの2つがあるのだが、手書きアニメーションの方のキャラデザの癖がかなり強いことで有名になっている。人形アニメの方はキャラデザもストーリーもなかなか原作に忠実な感じ(ロシア語しかないので理解できないが)。

https://youtu.be/Yj-f9WIKJwM?si=2gGZCWI2bzC8T40g
https://youtu.be/hpo45NASD8o?si=7ALxWflI_MvpnNNN

平スナ
1990年版アニメ、「楽しいムーミン一家」のスナフキンのこと。
声優は日本語版は子安武人が担当。
濃いめの茶髪であちこち跳ね上がった髪の毛が特徴。
 性格は原作小説「たのしいムーミン一家」のスナフキンを優等生にした感じ。
 昭和アニメの大人びたスナフキンとはうってかわって頭身の低い子供のような容姿になり、タバコを吸わなくなった。
 ムーミントロールとの関わりも、昭和アニメのようなアドバイザー的な役割は変わらないものの、一緒に遊ぶ同世代の友人という原作に近い関係になる。
 またムーミンたち子ども組だけでなく、大人たちとも対等に関わるシーンが多い。その一方でムーミンママやヘムレンのいとこに子供扱いされるシーンもある
 基本的に優秀でみんなのお兄ちゃん役な立場だが、その優等生キャラ故か、たまに発する珍言暴言がやたらと目立ちやすく、ネット上で話題になりやすい
 64話では物心がついた頃から旅をしており、旅は己の本能だと語っている。

英語版公式チャンネルによる配信

映スナ
2014年公開のフィンランドとフランスの共同制作のアニメ映画、「ムーミン・南の島へ楽しいバカンス(芬:Muumit Rivieralla)」のスナフキン。
 原作初期や旧スナと同様、髪の毛がなく、肌が青い。春になりムーミン谷に戻るものの、入れ替わるようにムーミンたちはバカンスに行ってしまう。そのため作中での出番は冒頭と最後あたりのみ。

https://moominsontheriviera.com/

フィルスナ
2019年開始のイギリスとフィンランド共同制作のアニメシリーズ、「ムーミン谷のなかまたち(原題、MOOMIN VALLAY)」のスナフキン。
 声優は英語版ではスウェーデン俳優のエドヴィン・エンドレ、日本語版ではスナフキン推しで有名な高橋一生が担当。
 英語版ではエドヴィンエンドレの高めで控えめな声、日本語版では高橋一生の低くディープな声という、日英で声の印象がかなり違うのも特徴。
 頭髪は明るい茶髪で、新、平、パペに比べて短いのが特徴。
 性格は原作初期のスナフキンの感情豊かさと原作終盤のちょっと情緒不安定な感じを合わせた感じ。普段は落ち着いているものの、アニメ版のスナフキンたちの中では比較的感情が表に出やすく、激しやすい傾向もある。また英語版では興奮した時に声が上ずる傾向がある。
 このアニメでは、ムーミントロール自身がそれまでのアニメに比べ若干年配気味に描かれている。そのためかムーミンのスナフキンとの関わりも、憧れからより同じ目線の友人という感じになっており、ムーミンからスナフキンを批判する場面も多くなっている。

ムーミン谷のなかまたち公式サイト

その他のスナフキン

ハピスナ
マクドナルドのハッピーセットについていた絵本のスナフキン。

マクドナルド公式ニュース(2016.07.29)

メロスナ
2024年発売予定のゲーム、「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」のスナフキン。
 髪の毛はオレンジ色。現状まだ発売日前なので、現状二次創作ではPVなどからの情報でやりくりされている。PVでは「なんの脈絡もなくコーヒーカップを叩き落とす」という謎行動をしている。

https://www.snufkin.game/

黒スナ
1971年にトーベヤンソン氏が来日した際に描いた幻のスナフキン。全身黒ずくめに赤いマフラー、赤い髪の毛が生えており、長身痩躯でギターを持っている。1972年に始まった新ムーミンのスナフキンのキャラデザに似ている。
ちなみにこのイラストは2015年に催された展覧会「トーベ・ヤンソン生誕 100年記念」の一部の会場で展示されたらしいのだが、展覧会の図録には載っておらず、現状その存在を確実に確認できるのがアート系ニュースサイトのみと言う、超レアイラストである…。

インターネットミュージアム:トーベ・ヤンソン生誕 100年記念 MOOMIN!ムーミン展レポート

バレスナ
埼玉県飯能市にあるムーミンバレーパークのスナフキン。
野外舞台「エンマの劇場」では櫻井孝宏が声優を担当している。

https://metsa-hanno.com/

おまけ。ヨクサルまとめ

ヨクサル
二次創作では見た目は平成版アニメのキャラデザで、設定は原作版で描かれることが多い気がする。

原ヨク
1968年版と、それを元にした日本版「ムーミンパパの思い出」のヨクサル。
スナフキンの父親であり、ミムラとの間にスナフキンをもうけた。
 ムーミンパパ曰く、猫のようにぐうたらで、猫のように体が柔らかい。
 独自の自然主義を突き詰めた結果、自然のまま、なすがままに生きるという独特な生き方を生きる。一方でアナーキズムを極めて禁止されたことだけは率先してするようなアグレッシブさも持ち合わせている。
 その生き方のためか、同じ自然主義、アナーキズムの傾向が強いスナフキンに尊敬される。
 規則に厳しい公園番を嫌悪しており、それもスナフキンに受け継がれている。
 一方でその独特な生き方と価値観はムーミンパパには理解しがたく、ヨクサルを目的もなく生きる怠け者として評価している。

 上記の他、危険察知能力が高いという特徴があり、彼がの悪い予感はだいたい当たる。
また猫に例えられる描写も多く、猫のような目のキャラデザの他、作中でもムーミンパパから猫のような怠け者と評価されたり、猫のように体が柔らかかったり猫のように伸びをしたり猫のように丸まって寝たり猫のように木の上で寝るなどといった描写が多い。

ムーミンパパの思い出

初期ヨク
1950年に発行された初期版「ムーミンパパの思い出」の英語版(The Exploits of Moominpapa)のヨクサル。
 基本的に1968年版の原ヨクと同じだが、帆をたたんだりエンジンを直したりと1968年版のヨクサルに比べ多少は働く。
 初期版ではヨクサルの親族の話も多く、両親は公園番との争い中に消息を絶ったと語っている。(つまりヨクサルとスナフキンの公園番嫌いはヨクサルの親の代から3代にわたって続いていることになる)。また、ズボンのジッパーが引っかかってしまった人物は1968年版ではヨクサルの知り合いとなっているが、初期版ではヨクサルの祖父となっている。
 第六感の鋭さの描写も多く、真っ先に幽霊に気がついたのもヨクサル。
 息子に会ったことがない。

The Exploits of Moominpapa

平ヨク
1990年版アニメ、楽しいムーミン一家の59、63、68話に登場するヨクサル。
声優はスナフキンと同じ子安武人。
性格、生き方などは原ヨクとほぼ同じ。
 ただし、混乱を避けるためかミムラとの恋愛描写やスナフキンの父親設定はない。
 エンジンの確認をするなど初期版の影響が見受けられる部分もある。

英語版公式チャンネルによる、英語版楽しいムーミン一家のヨクサル特集

青ヨク
イラストやフィギュアなどで見かける、青い衣装に身を包んだヨクサル。主に下記の3種類に分かれる

金眼青ヨク:英語版ムーミンパパの思い出(The Exploits of Moominpapa(
1969年)の表紙に描かれたヨクサル。青い衣装に黄色の瞳で、ステッキを持っている。

銀眼青ヨク:メディコムトイ発売、人形作家 谷口千代による、UDF MOOMIN シリーズ2のヨクサルのフィギュア。青い衣装に白い瞳のカラーリングで、ステッキを持っている。

青眼青ヨク:埼玉飯能市にある「ムーミンバレーパーク」のアトラクション、「海のオーケストラ号」に登場するヨクサル。青い衣装に深い青色の目をしている。声優はムーミンバレーパークのスナフキンと同じ、櫻井孝宏。

金目青ヨクの元ネタ、The Exploits of Moominpappa
銀目青ヨクの元ネタ、UDF MOOMIN シリーズ2のヨクサル
青目青ヨクの元ネタ、ムーミンバレーパークの海のオーケストラ


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