アメリカで人気の大人向けアニメ、リックアンドモーティは、過激な描写が取り沙汰されがちです。しかし実は哲学的、情緒的な描写にも定評があり、そして作中にあらゆる謎と複線をばらまく考察アニメとしても高い人気を誇っています。
　シーズン5のラストでは、今までばら撒かれた謎とと複線の一部が回収され、そして新たな謎が生まれました。
　その判明した謎と今までに出てきた謎をまとめてみます。
最新話のシーズン5第10話までのネタバレがありますのでご注意ください

無限に存在する次元の、無限に存在するリックとモーティたち。

判明したことその1)主人公リックと主人公モーティは、血が繋がってない。
シーズン5第10話で、主人公リックであるc-137リックの一人娘であるベスは、幼い頃に死んでいたことが確定しました。つまりはベスの子供であるモーティやサマーは産まれていないということになります。つまり常に一緒にいるモーティも、本来は別のリックの孫か、またはクローンで作られたモーティのどちらかだということになります。

判明その2)リック達は「Central Finite Curve(中央有限曲線)」という、宇宙一天才のリックが存在する次元と、そうではない次元を切り離すシステムを作っていた。
シーズン５第10話で、宇宙一頭のいいリックとそうではないリックが存在する次元を切り離す、「Central Finite Curve（中央有限曲線）」の存在が語られます。
実はこの伏線はシーズン1の段階からあります。日本語では「世に数多いるリックたちのなかで、お前だけが背を向けている」と言うシーン、実は英語では「Of all the Ricks in the central finite curve....(中央有限曲線のリック達の中で…)」と発言されています。また、シーズン3第7話でのシンプルリックのCMでは、日本語では「中央有限曲線」と訳されて登場します。ただ厄介なのが、シーズン5第10話の字幕では何故か「パイプライン」と翻訳されたんですよね。ちょっとこの翻訳はどうにかしてほしいです。

S1E10より。原語版ではここで初めてCentral Finite Curveに言及されている

S3E7より。日本語版ではここで初めて「中央有限曲線」の言葉が出ている。（字幕では「有限曲線」と短縮されている。）後のS5E10の字幕では、何故か「パイプライン」と翻訳されてしまった。

判明その3)モーティ達はリック達の脳波を打ち消すカモフラージュとして、「作られた」
モーティの脳波がリックの脳波を打ち消すため、カモフラージュとして使われているということは、シーズン1第10話で判明しました。そしてシーズン5第10話では、ベスの妊娠とジェリーの結婚は、モーティを誕生させるためにリックが仕組んだということが判明しました。

判明その4)モーティ達は、大量生産されている。
モーティたちの誕生が仕組まれたものだということだけではなく、モーティのクローンも大量に作られていることが判明しました。こちらもシーズン1ではモーティ引換券が登場したり、シーズン2のオープニングではリックがパッケージされたモーティを選ぶシーンがあったりなど、伏線のようなものはありました。
また、シーズン3エピソード7で登場したスリックモーティは、「ドラマインプラントを埋め込まれた試験的モーティ達のうちの1人」です。今思えば彼もまた、クローンモーティの伏線でしたね。
ちなみにモーティの製造工場で、大量のモーティの死体の山が、廃棄されている様子は凄惨そのものです。リック……。

S1E10より。モーティの無料引換券を渡されるリック

S3のオープニングより。売られているモーティたち

S5E10より。工場で大量生産、大量廃棄されるモーティたち。

S3E7より。スリックモーティは、「ドラマチックインプラントを埋め込まれた一連の試験的モーティたち」のうちの1人。吹き替えでは「ドラマチックになるチップを試験的に埋め込まれた」となったいるため、この伏線には気付きづらくなっている。

判明その5)リックとモーティは少なくとも2回引越しをしている
一回はシーズン1第6話でうっかりバケモノだらけにしてしまった世界から今の次元へ引っ越す話です。
ところが二人はさらにもう一回、引っ越しをしている筈なのです。
シーズン3第8話で、モーティの消された記憶の中に、世界征服を企むリスから逃げるために、別の次元へ引っ越すくだりが出てきました。シーズン3第1話で、サマーがシーズン1第6話で死んで埋められた自分のリックの死体を掘り出す描写があったことから、おそらくシーズン3第2話から8話の間のの出来事かと思われます。ところがシーズン4ではシーズン3第1話で改造されたバードパーソンが登場します。そうすると、シーズン4はシーズン3第1話と同じ次元のはずなんですよね。
可能性としては、該当エピソードはc-137とは別のリックとモーティのエピソードだった可能性はあります。

S1E6より。うっかり全人類をバケモノにしてしまったあと、「世界は無事だが自分たちが事故死してしまった」次元に来て、死んだ自分たちと入れ替わることにしたリックたち。

S3E8より。モーティの消された記憶の中に、世界征服を狙う栗鼠たちから逃げるために、別の次元へ引っ越そうとするときの記憶がありました。

判明その4)主人公リックは要塞と中央有限曲線建設に関わっていた
シーズン5第10話で、リックは要塞建設に関わっていたということが判明しました。それどころか、モーティに問い詰められたときの反応から、モーティの製造にも関わっていた可能性があります。

判明その5)主人公リックは、妻子を殺したリックを追っていた。
実はシーズン3第1話で、他のリックに妻と娘のベスを殺されていたことを語る場面があります。その時点では警察を欺くための作り話だった可能性があったのですが、シーズン5第10話で真実だったことがわかりました。

判明その6)バードパーソンは主人公リックの過去を知っている。
バードパーソンの記憶やリックの記憶から、バードパーソンはかつて主人公リックの戦友だったということが判明します。

残った謎その1)モーティの本当のリックは誰なのか。
上記にも記したように、今回の件で主人公のリックとモーティには血の繋がりはないことが判明しました。そうすると、モーティの本当の祖父であるリックはどうなってしまったのでしょうか？それともモーティはクローンとして生産されたモーティだったのでしょうか？

謎その2)何故主人公リックは要塞と中央有限曲線の建設に関わることになったのか。
沢山のリックを殺しまわって、リックたちから指名手配されるようになったはずの主人公リックが、何故要塞と中央有限曲線の建設に関わったのでしょうか。
おそらく要塞の建設自体は主人公リックが関わる前から始まっていたみたいですが、後ほど主人公リックが建設に協力したのは間違いないようです。
一説では、妻子を殺したリックを曲線内に閉じ込めるため、という説もあります。

謎その3)何故バードパーソンは主人公リックを知っているのか。
主人公リックが今現在居住している次元は、元々リックがいたC-137ではありません。さらにS3ではリスから逃げ出すために引っ越しをしたという回想があったので、作中で2回は別の次元に引っ越していた可能性も高いです。
にも関わらず、バードパーソンは主人公リックの過去を知り、共に戦った経験もあります。
バードパーソンはポータルガンを持っていないので、元から今リック達が住んでいる次元の住民であると考えられます。
そこから考えられることは、リックは過去に今の次元に来たことがある。ということです。

謎その4)何故バードパーソンの記憶の中に、出会った時よりもさらに若いリックがいるのか。
リックが侵入したバードパーソンの記憶の中では、バードパーソンと出会った時のリックは長髪で、顔色も悪く、顔にシワも出ていてだいぶ老けています。
ところがその後に出てきたスクワンチのショーの記憶では、髪も短く、顔色も良く、顔のシワもないまだ若々しいリックが出てくるのです。
さらにややこしいことに、そのシーンはバードパーソンと、記憶の中に潜り込んだ現在の主人公リックが共有する記憶なのです。
結局2人が出会ったのはいつなのでしょうか？そしてこれは何らかの伏線なのでしょうか。

S5E8より。バードパーソンと出会った頃のリックの記憶。

そのあと登場した、若い見た目のリックの記憶

謎その5)リックの記憶の中の幼いモーティ、そしてバードパーソンが持っている赤ん坊の頃のモーティを抱き上げるリックの写真。
シーズン1第10話で、悪いリックによってスキャンされた主人公リックの記憶の中に幼いモーティを抱き上げる記憶がありました。シーズン2ではまた、バードパーソンの部屋には赤ん坊の頃のモーティと思われる赤ちゃんを抱いている写真がありました。
　リックは「1年前に２０年ぶりに家族の元に帰った」と言われています。なので単純に考えるとリックは赤ん坊の頃のモーティを知らない筈なのです。
ただ、リック達は次元間を行き来きしているため、別の次元で赤ちゃんモーティに出会った可能性も高いです。

S1E10より。スキャンされた主人公リックの記憶の中に、幼いモーティがいた。

S2E5より。バードパーソンの部屋に、モーティらしき赤ん坊を抱くリックの写真がかざられている。

謎その10）なぜモーティの13歳の誕生日の記憶の中にリックがいるのか
シーズン1第10話で、ベスがリックが帰ってから一周年記念のお祝いをするシーンがありました。その時のモーティはすでに14歳。リックが帰ったときには既に13歳になっているはずです。
ところがシーズン3第8話では、消されたモーティの記憶の中に、モーティの13歳の誕生日パーティにリックがいる描写があります。なぜ13歳の誕生日にはいなかったはずのリックがいるのでしょうか？

S3E8より。なぜかモーティの13歳の誕生日パーティに、本来はいないはずのリックがいる。
(追記)ただ、作中モーティが14歳のまま2回クリスマスを経験していたりしているので、あまり深い意味はないのかもしれません

謎その5)シーズン5第10話の回想でリックが家族の元へ帰ったのはいつ、どこなのか。
シーズン5第10話でモーティが見たリックの記憶では、リックはUFOでスミス家のガレージを突っ込んでUFOを大破させるシーンがあります。おそらく放浪していたC-137リックがついに家族の元へ戻った瞬間だと思われます。ところがよく見るとそのスミス家の庭に、シーズン1ラストで、家丸ごと別の星へワープした時の跡が残っているのです。そうすると、リックが帰ったスミス家はシーズン2以降のスミス家となるわけで…？あれ？時系列が…？？

S1E11より。S１最終話までのスミス宅

S1E11でほかの星にワープしたスミス宅の跡

S2E1より。S2以降のスミス宅はS1E11で家丸ごとワープしたときの跡が残っている。

S5E10より。最初に作った円盤でスミス宅へ「20年ぶりの帰還」をするリック。S1E11でワープしたときの跡が残っている。この時乗っていた円盤を大破させたため、その後おなじみのガラクタで出来た円盤を作ったものだと思われる。
(ただ、家のバンクを使用したことによる単なるミスの可能性もあります。)

謎その6)何故リック達はモーティの誕生を予見できたのか。
シーズン5第10話で、リック達はモーティを誕生させるために、親のベスとジェリーを半ば無理やり引き合わせたということが判明しました。
ただ、そのためには、リック達が１８年前にタイムトラベルするか、もしくは１８年前のリック達がモーティの誕生を予見する必要があります。
リックアンドモーティではタイムトラベルはできるだけ使わないという噂があるのですが、果たしてどうなのでしょうか。

謎その7)シンプルリックはどうやって中央有限曲線内に入ったのか。
シーズン3第7話で登場するシンプルリックは、「中央有限曲線から60回ループしたところ」に住んでいた。と記載されています。英語では「Sixteen iterations off the central finite curve」となっていますので、元々は中央有限曲線の外に住んでいたリックなのは間違いないようです。
どうやってこのリックは中央有限曲線の壁を突破して来たのでしょうか。

謎その8)モーティとサマーの巨大な赤ちゃん。
シーズン5第4話で、あらゆる手違いから、なんとモーティとサマーの間に小惑星サイズの巨大赤ちゃんができます。しかもこの赤ちゃん、宇宙空間で普通に生きているのです。この赤ちゃんも後に何らかの活躍をするのでしょうか？そしてどうやって宇宙空間で生きているのでしょうか？
ちなみにサマーはこの赤ちゃんに「ナルト」と名付けました。なかなか痛いオタク気質なところがあるようです。コミックスの表紙ではカラ松のポスターを部屋に飾るくらいですしね。

謎その9）20年前、なぜ主人以外のリックたちは家を出たのか
我らが主人公のリックは、ベスが幼い頃に殺されたため、放浪の旅に出ました。その一方、ベスが生きている世界線のリックたちはベスが14，5歳のころに家を出ています。その思い出はあらゆる次元のベスに影を落としています。なぜリックたちは14歳のベスを置いて家出をしたのでしょうか？

謎その10）なぜモーティは14歳のまま2回クリスマスを経験したのか
S1E3と、S4E5において、モーティはクリスマスを過ごしています。問題はS1E3にはモーティはすでに14歳であることが語られており、そしてS5になってもまだ14歳であることが判明しています。つまりはモーティは14歳のまま1年以上過ごしたということになるのですが、これはどういうことなのでしょうか…？(とはいえただのイベントエピソードであまり深い意味はないのかもしれませんが…。)

以上がリックアンドモーティ　シーズン5まで判明したことと、そして残された謎です。
他にもいろいろありますが、重要そうなものだけ取り上げました。

リックアンドモーティは、全102話まで予定されているそうです。ちょうど折り返し地点でさまざまな謎が解け、そして新たな謎が出てきたわけです。S5の最終話で真実を知った2人は、この先どうなるのでしょうか。

※追記
判明その4)の項目に、スリックモーティのことを追記しました。