ムーミン年表

ムーミンにハマって2か月のにわかが作ったムーミン関連の年表です。
ムーミン関連の出来事と、そのソースをまとめて満足するために作りました。


各ムーミンまとめ

思ったよりも膨大な量になったので、カテゴリで分けたものを別記事にしました

ムーミン全年表

ムーミン関連の出来事をまとめました。

1945年(小説):ムーミンシリーズ1作目「Småtrollen och den stora översvämningen(小さなトロールと大きな洪水)」がスウェーデン語でフィンランドで刊行

ムーミンの歴史
Introduction to Moomin stories: The Moomins and the Great Flood, 1945
小さなトロールと大きな洪水

1946年(小説):ムーミンシリーズ2作目「Kometjakten(彗星追跡)」(ムーミン谷の彗星の初期版)がスウェーデン語でフィンランドで刊行。のちに1956年と1968年の二度にわたり、改訂版が刊行される。

Introduction to Moomin stories: Comet in Moominland, 1946
ムーミンの歴史

1947年(典)(小説):Kometjakten(彗星追跡)(ムーミン谷の彗星の初期版)、スウェーデンで刊行

Introduction to Moomin stories: Comet in Moominland, 1946

1947年10月3日~1948年(コミック):スウェーデン語系の新聞『ニィ・ティド』紙に「Kometjakten(彗星追跡)」をもとにした初のムーミン・コミックス「ムーミントロールと地球の終わり」を連載。
当時トーヴェが交際していたアートスが編集長を務めていたヘルシンキのスウェーデン語系の新聞『ニィ・ティド』紙の子供欄への漫画をトーヴェに依頼。しかしムーミンパパが王党派新聞を読んでいることに読者から抗議があり、わずか半年、26話で連載を終わらせることになる。
トフスランとビフスラン、モランはこのコミックで初登場した。
小説版とはまた違った、外連味の強いムーミン谷の彗星となっている
このコミックは現在日本でも「ひとりぼっちのムーミン (筑摩書房ムーミン・コミックス14巻)」で読むことができる

ムーミンの歴史
もうひとつのムーミンの原点、コミックスの世界
ひとりぼっちのムーミン (筑摩書房ムーミン・コミックス14巻)
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp233
ムーミンとトーベ・ヤンソンp47

1948年(小説):ムーミンシリーズ3作目、「Trollkarlens Hatt(魔法使いの帽子)」(日:楽しいムーミン一家)刊行。

Introduction to Moomin stories: Finn Family Moomintroll, 1948
旧訳版、たのしいムーミン一家(amazon)

1949年12月29日(舞台):初のムーミン舞台、「Mumintrollet och kometen(ムーミントロールと彗星)」上演。トーヴェと元恋人でヴィフスランのモデルであるヴィヴィカ・バンドラーにより、ヘルシンキのスウェーデン劇場に舞台化の企画を持ち込まれる。当初は脚本が子供向けとも大人向けともつかないと渋られるも、無事上演されることになる。ヴィヴィカが監督をし、トーヴェは脚本から舞台美術、衣装デザインなどに取り組む。演じたのは演劇学校の学生。ニィ・テイド紙に連載された「Kometjakten(彗星追跡)」をベースに、「Trollkarlens Hatt(楽しいムーミン一家)」やまだ未出版の「Muminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)」のテイストも入る。
さらに彗星がしゃべたりスナフキンが魔法使いだったりと、こちらも癖の強いムーミン谷の彗星らしい

ムーミンの歴史
Moomins at the theatre: Mumintrollet och kometen theatre play (1949)
Archive treasures: The original set design sketch for the “Comet in Moominland” play by Tove Jansson
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p287
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp181
ムーミンとトーベ・ヤンソンp49
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録p250、p265

1950年(英)(小説):「Trollkarlens Hatt(魔法使いの帽子)」がイギリスで「Finn Family Moomintroll」として翻訳刊行。
ムーミン初の外国語訳となる。
1949年に留守中アトリエを貸したイギリス人ケネス・グリーンが私的に英訳したTrollkarlens Hattをロンドンのベン社に送ったところ、本格的に翻訳出版されることになる。
翻訳を手掛けたのは、エリザベス・ポーチ、マーガレット・ワッシュボーン、トーマス・ヴァルブトンなど。トーヴェは直訳を嫌い、時には大胆な訳を取り入れたという。

Introduction to Moomin stories: Finn Family Moomintroll, 1948
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p261

1950年(小説):ムーミンシリーズ4作目「Muminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)」(ムーミンパパの思い出の初期版)刊行

Introduction to Moomin books: The Exploits of Moominpappa, 1950

1951年(英)(小説):Kometjakten(彗星追跡)、イギリスで「Comet in Moominland」として翻訳刊行。その際、水彩で描かれていた挿絵をインク絵に差し替える。
ちなみに1956年と1968年に書き直された改訂版が英訳されていないため、最終改訂版を基にした日本語版と英語版では内容が大きく違う。

Introduction to Moomin stories: Comet in Moominland, 1946
Comet in Moominland

1952年(絵本):初のムーミン絵本、Hur gick det sen?(それから、なにがあったの?)刊行

ムーミンの歴史
The first Moomin picture book was a praised breakthrough – how did Tove Jansson do it?
Here are the colours Tove Jansson used in the Moomin picture books(絵本のために使われたカラーチャート)

1952年(英)(小説):ムーミンパパの思い出の初期版である「Muminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)」、イギリスで「The Exploits of Moominpappa(ムーミンパパの手柄話)」として翻訳刊行

Introduction to Moomin books: The Exploits of Moominpappa, 1950
The Exploits of Moominpappa

1953年(典)(劇):スウェーデンのイェーティボリの市立劇場から「ムーミン谷の彗星」の劇場公演を打診される。トーヴェの意見はことごとく無視されてしまい、それどころか劇場側はムーミンの本を読んだこともなく、結局上演はされるもののトーヴェ自身は見に行かなかったという

トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p336

1954年(小説)ムーミンシリーズ5作目、「Farlig midsommar(何でもありの夏まつり)(日:ムーミン谷の夏まつり)」刊行

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish

1954年9月20日(英)(コミック):イギリスの夕刊紙『イヴニング・ニューズ』にて、ムーミン・コミックスの連載開始。絵とストーリーをトーヴェが担当、英訳を語学に堪能な弟のラルス・ヤンソンが担当し、連載を持ちかけたイブニングニューズのチャールズ・サットン氏が編集を担った
小説版よりは大人向けとはいえ、新聞と言う媒体上制約も多く、またキャラクターの見分けがつきやすいようにムーミンパパにはシルクハット、ムーミンママにはエプロンをつけるといった特徴つけもサットン氏のアイディアで生まれた。
このコミックをきっかけに、世界的なムーミンブームが起こる。

ムーミンの歴史
もうひとつのムーミンの原点、コミックスの世界
The history of Moomin comics – cartoonist siblings Tove and Lars
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p337
ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンp90
筑摩書房ムーミン・コミックスシリーズ
講談社ムーミンまんがシリーズ
福武書店:ムーミンの冒険日記
ちくま文庫ムーミン・コミックス・セレクション
Why Tove Jansson decided to draw an apron for Moominmamma?
Moomin: The Complete Tove Jansson Comic Strip
Moomin: The Complete Lars Jansson Comic Strip

1955年(芬)(小説):Kometjakten(彗星追跡)、フィンランドで「Muumipeikko ja pyrstötähti」としてフィンランド語に翻訳刊行

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish

1955年(英)(小説):「Farlig midsommar(何でもありの夏まつり)」がイギリスで「Moominsummer Madness」として翻訳刊行

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
Moominsummer Madness

1955年(典)(コミック):スウェーデンの新聞紙、Svenska Dagbladetでムーミンコミックの連載開始。他フィンランドのFinnish Ilta-SanomatやデンマークのPolitikenでも連載開始。最終的にムーミンコミックは40か国以上、100誌以上で連載された

Moomins and Svenska Dagbladet – Moomin comics in the 1950s

1956年(小説):ムーミンシリーズの改訂
重版や出版社の要望により、それまで刊行されたムーミンシリーズの改訂が行われる。
内容は以下の通り

Kometjakten(彗星追跡)、の一部のイラスト、テキストを改訂したものがMumintrollet på kometjakt(彗星を追うムーミントロール)として刊行

Trollkarlens Hatt(魔法使いの帽子)」重版の際に小さな変更

Muminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)は小さな変更

同時に「Småtrollen och den stora översvämningen(小さなトロールと大きな洪水)」の改訂にも乗り出すが、完成することはなかった。


Introduction to Moomin stories: Comet in Moominland, 1946
How Tove Jansson’s drawing style and the Moomins developed over the decades
ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンp52
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p363

1957年(小説):ムーミンシリーズ6冊目Trollvinter(トロールのふしぎな冬)刊行国際アンデルセン賞作家賞受賞作品。この作品から小説版ムーミンシリーズのストーリーはより哲学的に、大人向けへとシフトしていく。

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
ムーミン谷の冬

1957年(コミック):トーヴェが多忙を極めたため、ムーミンコミックスの14話「Moomin Goes Wild West」から、英訳を担当していたラルスがストーリーにも関わるようになり、コマ端に描かれるサインもTove JanssonからJanssonになる。

もうひとつのムーミンの原点、コミックスの世界
The history of Moomin comics – cartoonist siblings Tove and Lars

1958年(英)(小説):Trollvinter(トロールのふしぎな冬)がイギリスで「Moominland Midwinter」として英訳刊行

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
Moominland Midwinter

1958年(舞台):トーヴェとヴィヴィカによる、ムーミン谷の夏まつりをベースにした二つ目の舞台版ムーミン、「Troll i kulisserna(舞台袖のムーミントロール)」が上演される。ヴィヴィカは役者の表情を見せ、声を通すため、ムーミンのヘッドを舞台上でとるという大胆な手法を使う。

Moomins at the theatre: Lilla Teatern 1958 – Troll i kulisserna
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp230
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録

1959年(独)(実写)(アニメ):ムーミン初のテレビシリーズ、人形劇『ムーミン一家』が西ドイツにて放映開始。アウグスブルガー・プッペンキステという人形劇団が演出をした、操り人形劇を撮影した実写作品。

ムーミンの歴史
昭和から平成、令和へ。ムーミンアニメの歴史
ムーミン世界のTVシリーズ Ⅰ
The first Moomin tv-series “Die Muminfamilie” (1959-1960)

1960年(絵本):ムーミン絵本二作目、Vem ska trösta knyttet?(クニットを慰めるのはだれ?)刊行。同年イギリスで「Who will Comfort Toffle?」として、フィンランド語で「Kuka lohduttaisi Nyytiä?」として刊行

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
The touching backstory behind Who Will Comfort Toffle
絵本『さびしがりやのクニット』感動的な誕生秘話
さびしがりやのクニット

1960年1月2日(コミック):1959年にムーミンコミックスの連載契約が切れたのをきっかけに、22話「Moomin’s lamp(1960年)」からコミックの制作をストーリーからイラストまで含めてラルスが担当するようになる。サインもLars Janssonに変わる。ラルスのムーミンコミックは、トーヴェよりも長く、73話「Moomin and the Ten Piggy Banks(1975年)」まで続くことになる

もうひとつのムーミンの原点、コミックスの世界
The history of Moomin comics – cartoonist siblings Tove and Lars
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p347

1962年(小説):ムーミンシリーズ7作目、「Det osynliga barnet(姿の見えない子とその他の物語)(日:ムーミン谷の仲間たち)」刊行。同年フィンランド語版「Näkymätön lapsi」刊行

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
ムーミン谷の仲間たち

1963年(英)(小説):ムーミンシリーズ7作目、「Det osynliga barnet」の英訳版、「Tales from Moominvalley」刊行

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
Tales From Moominvalley

1964年(日)(小説):講談社から出版された「少年少女新世界文学全集 第27巻」にて、「ムーミン谷の冬」が日本で初のムーミンの翻訳本として出る。翻訳:山室静、挿絵:池田龍雄
当時は翻訳児童書に日本人画家が絵を添えることはよくあった(2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録より)

Wikipedia「ムーミン」より、「日本における受容(小説作品)]
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録

1965年(小説):ムーミンシリーズ第8作目「Pappan och havet(パパと海)(日:ムーミンパパ海へ行く)」刊行

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
ムーミンパパ海へいく

1965年(日)(小説):『世界の子どもの本』シリーズから『ムーミン谷はおおさわぎ(後のムーミン谷の夏まつり)』が刊行される翻訳:矢崎源九郎、挿絵:赤星亮衛。同書では、スナフキンは「かぎタバコ屋くん」、ミイは「おちびのミュー子」などと翻訳されている。メルカリなどに転がっていたりするが、お値段万越えとなっている。

Wikipedia「ムーミン」より、「日本における受容(小説作品)]

1965年(日)(小説):Trollkarlens Hattの日本語版『たのしいムーミン一家』(翻訳:山室静)が刊行。日本版ムーミンでは初めて原作者のトーベ・ヤンソンによる挿絵を使用して出版された。英語版をもとにして翻訳されたものらしく、トフスランとヴィフスラの名前がティングミ―とボブになっているなど、英語版の設定を使われていたりする。

Wikipedia「ムーミン」より、「日本における受容(小説作品)]
たのしいムーミン一家 復刻版

1968年(小説):初期作品の改訂
当時絶版状態だった「小さなトロールと大きな洪水」以外の、初期4作が最終改訂され出版される。
内容は以下の通り

「ムーミン谷の彗星」の改訂
Kometjakten(彗星追跡)Mumintrollet på kometjakt(彗星を追うムーミントロール)を大幅に書き直した最終改訂版、「Kometen kommer(彗星がやってくる)」刊行。
 最終的に初版のKometjakten(彗星追跡)とはキャラクターの性格からストーリーまで大幅に変わることになる。同年その最終改訂版をもとに、「トーベ=ヤンソン全集」にて日本語版「ムーミン谷の彗星」が刊行される。そのため初期版をもとに英訳されたきりの英語版と、最新版をもとにした日本語版とでは内容に大きな違いが生じている。

「たのしいムーミン一家」の改訂
Trollkarlens Hatt(魔法使いの帽子)を改訂したものが刊行。タイトルは変更なし。内容にいくつかの変更はあるものの、「Kometen kommer(彗星がやってくる)」や「Muminpappas memoarer(ムーミンパパの思い出)」ほどの大きな変更はなし。ちなみにこの時点での「たのしいムーミン一家」の日本語版に関しては、ムーミン谷の彗星やムーミンパパの思い出とは違い改訂前のバージョンをを翻訳したままであり、最新版をもとに翻訳されるのは2019年の新版シリーズが刊行されてからなってからである。

「ムーミンパパの思い出」の改訂
Muminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)が大幅に書き直された最終改訂版、「Muminpappas memoarer(ムーミンパパの回想録)」が刊行。同年、その最終改訂版をもとに、「トーベ=ヤンソン全集」にて日本語版「ムーミンパパの思い出」が刊行される。また、1994年にMoominpappa’s Memoirsとして英訳版が刊行される

「ムーミン谷の夏まつり」の改訂
Farlig midsommar(何でもありの夏まつり)を改訂したものが刊行。内容にいくつかの変更はあるものの、「Kometen kommer(彗星がやってくる)」や「Muminpappas memoarer(ムーミンパパの思い出)」ほどの大きな変更はなし。

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
How Tove Jansson’s drawing style and the Moomins developed over the decades
Introduction to Moomin stories: Comet in Moominland, 1946
Comet in Moominland(amazon)
旧訳版:ムーミン谷の彗星(amazon)
Introduction to Moomin stories: Finn Family Moomintroll, 1948
新版:たのしいムーミン一家
原書バージョン騒動①ラジオ?オルゴール?(畑中麻紀)
Moominpappa's Memoirs(amazon)
旧訳版、ムーミンパパの思い出(amazon)
ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンp52
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p478

1968年(日)(小説):日本にて「トーベ=ヤンソン全集」が出版され、当時絶版状態だった「小さなトロールと大きな洪水」と、まだ未刊行だった「ムーミン谷の十一月」を除くすべてのムーミン小説シリーズが日本語訳される。
*ちなみにウィキペディアによると「1968年には『トーベ=ヤンソン全集』が出版され、当時原書が絶版だった『小さなトロールと大きな洪水』を除く原作本全8作がすべて翻訳・出版されることとなった」となっているが、当時はまだムーミン谷の11月の原書が刊行されておらず、また当時刊行されていたムーミンまんがシリーズの巻末の書籍案内では、ムーミン谷の11月の記載はない

ムーミン日本における受容(小説作品)(wikipedia)
それいけムーミン(講談社ムーミンまんがシリーズ3)巻末

1969年(日)(アニメ):日本にてムーミン初のアニメシリーズ、「ムーミン」が放映される。アニメきっかけに日本でムーミン人気が出るものの、原作者からはあまり良い評価は得られなかった模様。交渉の際、相手の日本人関係者にスウェーデン語を話せるものがおらず、意見交換が思うように進まなかったのが原因か企画者と、プロデューサー(と制作陣)との意見の対立が原因か、(ムーミンのテレビアニメ化を企画したズイヨー企画の高橋茂人は原作に沿って進めたかったようだが、プロデューサーと制作陣はそれでは日本人に受けないと判断したようだ制作陣と原作者両者の作家性が強すぎたせいか。(トーヴェはどんな商品にも細かく監修をして商品をリスト化し、自身の著作物さえも徹底的に書き直しをするくらいだ)(他方当時の日本のアニメは原作改変は一般的である)
 一方でトーヴェの指摘には本人や弟が手掛けたコミックシリーズなどにも当てはまる部分もあり、個人的にいささか釈然としない部分もある(全体的なノリや雰囲気などが小説ともコミックとも違うのは事実だが)。
 ちなみにトーヴェ自身は日本嫌いではなく、フィンランドと日本の自然に対するシンボル性の共通点を指摘したり、後のムーミンコミックの翻訳者である冨原眞弓ヘルシンキのホテルで会った際は日本で貰ったちゃんちゃんこを着て現れるなどしてる。
また、1971年に来日した際は日本アニメ風なスナフキンのイラストを描いている.
ちなみにこの作品の放映権は既に切れているため、今は(正当な手法で)見ることはできない

ムーミンの歴史

昭和から平成、令和へ。ムーミンアニメの歴史
ムーミン世界のTVシリーズ Ⅱ
How Moomin TV animations conquered the world
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p354(トーヴェの版権物に対するこだわり)
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p525
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp311
ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンp101
作画汗まみれ(大塚康生)p138
アニメ大国 建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たちp327
ムーミン (アニメ)(wikipedia)
原作者トーベヤンソンとムーミンの時代背景(おおすみ正秋の仕事場)
岸田今日子との出会い(おおすみ正秋の仕事場)
ビジネス戦略が一人歩きした(おおすみ正秋の仕事場)
トーベ・ヤンソン生誕 100年記念 MOOMIN!ムーミン展レポート(トーヴェが来日した際に書かれたスナフキンの絵)

1969年(日)(コミック):日本にて初のムーミンコミックスの日本語訳、「ムーミンまんがシリーズ」が講談社より刊行。左綴じだった原作を右綴じにするために左右反転してあるのが特徴。たまに駿河屋やまんだらけ、ヤフオクやメルカリなどに転がっていたりする。

ムーミンまんがシリーズ(wikipedia)

1969年(典)(実写):スウェーデンにてムーミン初の人間による実写テレビシリーズ「Mumintrollet」が放映される。なんとこちらはトーヴェ、ラルス・ヤンソンが脚本を書き、ヴィヴィカ・バンドレが監督を務めた作品。時々被り物を脱ぐ。

ムーミン世界のTVシリーズ Ⅳ
Mumintrollet (Moomintroll) tv-series from the 1969

1970年(小説):ムーミンシリーズ最終巻、「Sent i november(11月も終わるころ)(日:ムーミン谷の11月)」刊行。
同年「Muumilaakson marraskuu」としてフィンランド語版も刊行

ムーミンの歴史
The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
新版:ムーミン谷の十一月(amazon)

1971年(英)(小説):「Sent i november(11月も終わるころ)」の英訳版「Moominvalley in November」刊行

The complete Moomin books list: all Moomin books in Swedish, English and Finnish
Moominvalley in November(amazon)

1971年(日):トーヴェヤンソン初来日。
日本のTV曲から支給された往復チケットをパートナーのトゥーリッキと二人の片道切符に変更。日本への旅をきっかけにそのまま8か月のアメリカ旅行をし、8㎜ビデオを撮るようになる

(130)トーベ・ヤンソンの日本の旅
(110)45年前の思い出
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p525
インターネットミュージアム:トーベ・ヤンソン生誕 100年記念 MOOMIN!ムーミン展レポート

1972年(日)(アニメ):日本にて、1969年に放映された「ムーミン」の続編シリーズが放映される

昭和から平成、令和へ。ムーミンアニメの歴史
ムーミン世界のTVシリーズ Ⅲ
Japanese Moomin animations: Moomin (1969-1970) & Shin Moomin (1972
ムーミン (アニメ)(wikipedia)

1972年(典)(実写):1969年に放映されたスウェーデンの実写版ムーミン、「Mumintrollet」の続編が放映される

ムーミン世界のTVシリーズ Ⅴ

1974年(舞台):ヘルシンキの国立劇場でムーミンのオペラがフィンランド語で上演される。
企画は作曲者のイルッカ・クーシスト
内容は1958年の「Troll i kulisserna(舞台袖のムーミントロール)」をオペラ向けにしたもの。
作曲はイルッカ・クーシスト
監督と振り付けはHeikki Värtsi
背景デザインはThomas Gripenberg
今回の舞台ではムーミンの頭には拡声器が仕込まれ、声を通すために頭をずらしたり取る必要はなくなった。

ムーミンの歴史
113)カフェの誕生、オペラの再演、冬のヘルシンキを楽しくするムーミンたち。
Moomins at the theatre: Moomin Finnish National Opera 1974
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p564
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録p455

1975年:ウォルト・ディズニー社からムーミン本と「さびしがりやのクニット」の映画化権利を買い取りたいと打診がある。ラルスヤンソンの娘であり、現ムーミンキャラクターズ社の代表であるソフィア・ヤンソンによると、トーヴェが亡くなった後も再度交渉があったようだ。

トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p584

1975年4月16日(コミック):ラルス・ヤンソンによるムーミンコミックス終了

ムーミンとトーベ・ヤンソンp67

1977年(絵本):ムーミンの絵本の三作目「Den farliga resan(何でもありの不思議な旅)」が刊行される

ムーミンの歴史
ムーミン谷へのふしぎな旅

1978年(波)(アニメ):ポーランドでパペットアニメーションシリーズ、「Opowiadania Muminków(ムーミン一家)」が放映開始される。
日本では「ムーミン・パペット・アニメーション」として知られるこの作品は、トーベ・ヤンソン自身もシナリオの段階から携わっている。
このパペットで使われた人形は、その後修復され、展覧会や公演のために再利用されている。日本版では昭和ムーミントロール役だった岸田今日子が全キャラクターの吹き替えを担当した。
後に再編集、再吹き替えされたものが劇場映画として公開される。

<ムーミン世界のTVシリーズ Ⅵ>
How Moomin TV animations conquered the world
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp313

1978年(連)(アニメ):ソヴィエトで人形アニメーション、「Муми-тролль и комета」が放映。「ムーミン谷の彗星」をもとにしており、全3話からなる

How Moomin TV animations conquered the world
https://www.youtube.com/watch?v=Yj-f9WIKJwM

1980年(絵本)ムーミンの写真絵本、Skurken i Muminhuset(ムーミンやしきに来た悪党)」刊行。日本では「ムーミンやしきはひみつのにおい」として2014年に刊行
ムーミンファンであるペンッティ・エイストラが1958年に作った高さ2Mもあるムーミン屋敷を抱えてトーヴェを訪れたのをきっかけに、トーヴェ、トゥーリッキ、母のハム、そしてペンッティを交え、さらに建築学教授レイマ・ピエティラが構造をチェックし、1976年から1079年まで3年かけて高さ2.5mの巨大なムーミン屋敷を作り上げる。
その模型をトーヴェの弟であり写真家のペル・ウールフが撮影し、それをもとにトーヴェが文を添えて写真絵本が作られる

ムーミンやしきはひみつのにおい
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp3321
ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンp89
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録p164

1980年(連)(アニメ):ソヴィエトにて楽しいムーミン一家をもとにしたアニメが放映。キャラデザの癖の強さで有名。

https://www.youtube.com/watch?v=hpo45NASD8o

1982年(舞台):1958年に上映された「Troll i kulisserna(舞台袖のムーミントロール)」が再上演。
元々「バス2台分」の舞台向けだった演劇を、スウェーデン王立劇場向けに脚本やセットを再構成する。
作者、トーヴェヤンソン、監督はヴィヴィカ・バンドレ、そして王立劇場の総監督はかつてムーミントロールを演じたラッセ・ポウスティ。

トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p584
2019年ムーミン展 THE ART AND THE STORY図録p251

1987年(施設):フィンランドのタンペレ市図書館内に「タンペレ市立ムーミン谷博物館」がオープン

ムーミンの歴史

1990年(日)(アニメ):日本、フィンランド、オランダの共同制作で、アニメシリーズ『楽しいムーミン一家』(テレビ東京系)放送開始。
制作段階からトーヴェ/ラルス・ヤンソン、そしてコンサルタントとしてデニス・リプソンが関わり、特にラルスヤンソンが主だって内容を厳しくチェックした。
キャラクターデザインの名倉靖博氏はオーディションでトーベから選ばれた。
このアニメは全世界で人気となり、名倉靖博氏によるデザインとカラーリングはあいまいだったムーミンのイメージの指針の一つとなるほどになっている。

Did you know this about the beloved 1990s Moomin TV series?
昭和から平成、令和へ。ムーミンアニメの歴史
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンp314
トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉p517

1991年(日)(コミック):日本の福武書店より、野中しぎ訳のムーミンコミックを翻訳したシリーズ「ムーミンの冒険日記」が刊行される。全10巻

1991年(小説):ながらく絶版状態だったムーミンシリーズ第一作目、「Småtrollen och den stora översvämningen(小さなトロールと大きな洪水)」が46年ぶりに初版のまま復刊

小さなトロールと大きな洪水
Introduction to Moomin stories: The Moomins and the Great Flood, 1945

1992年(日)(小説):「Småtrollen och den stora översvämningen(小さなトロールと大きな洪水)」の日本語版刊行

小さなトロールと大きな洪水

1992年(日)(アニメ):『楽しいムーミン一家』の劇場版「楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星」が上映される。

https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/04366/

1993年(施設):アニメ『楽しいムーミン一家』の設定に基づいて作られたテーマパーク、ムーミンワールドがフィンランドのナーンタリにオープン

1993年?(コミック):スウェーデン、フィンランドでムーミンのオリジナルコミックシリーズが刊行された・・・、のだが、詳細不明。日本では1999年に「ムーミンのぼうけん」シリーズとして、偕成社から発刊されている。
トーヴェ/ラルス・ヤンソンが描いたコミックではなく、多数の作家によって書かれている

Semic(SemicPressのデータ。コミックリストにMuminがある)
https://www.bokborsen.se/?f=5&qt=Mumin%C2%B4Magasinet(スウェーデンの書籍通販サイト。90年代ムーミンコミックが売られている)
Muminserien(典語版wikipedia。90
年代にコミックが作られたことに言及している)
Translated Moomin Magazine Comics & Stories(ファンによる私訳)
https://skruttet.tumblr.com/tagged/muumi%20magazine
偕成社「ムーミンのぼうけん」シリーズ(日本語版)


1994年(英)(小説):1968年に改訂されたMuminpappas bravader(ムーミンパパのほら話)」の改訂版、「Muminpappas memoarer(ムーミンパパの思い出)」の英語版が「Moominpappa’s Memoirs」として英訳刊行。
現在英語版では1948年版と1968年版両方の「ムーミンパパの思い出」が出版されている。

Introduction to Moomin books: The Exploits of Moominpappa, 1950

2000年7月31日:ラルス・ヤンソン永眠

2000年~(日)(コミック):冨原 眞弓の訳により、「ムーミン・コミックス」シリーズが刊行される。全14巻。
掲載順は連載順ではなく、最終巻に連載第1話目が収録されているなどしている。2015年に筑摩書房版「ムーミン・コミックス」のベスト版、「ムーミン・コミックス セレクション」が文庫本として発刊されている

筑摩書房ムーミン・コミックスシリーズ
ちくま文庫「ムーミン・コミックス セレクション」
筑摩書房よりムーミンコミックスベスト版発売です!
ムーミン・コミックス、ガイマン賞2016にノミネート!

2001年6月27日:トーヴェ・ヤンソン永眠

2008年(アニメ):1978年にポーランドで放送されたパペットアニメーションシリーズ「Opowiadania Muminków」から原作の「ムーミン谷の夏まつり」に相当する部分を中心に再編集、再吹き替えをした「劇場版ムーミン パペット・アニメーション~ムーミン谷の夏まつり~」が劇場映画として公開。

2010年(アニメ):1978年にポーランドで放送されたパペットアニメーションシリーズ「Opowiadania Muminków」から原作の「ムーミン谷の彗星」に相当する部分を中心に再編集、再吹き替えをした「劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション」が劇場映画として公開される

劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション

2010年ごろ:おそらくそのころムーミンの映画化権が解禁された模様

日本でムーミンを知ったフランス人監督が描いたムーミンとは?

2014年(芬)(仏)(アニメ):トーベ・ヤンソン生誕100周年記念の一環として、本国フィンランド主導で映画『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』が制作、公開される(日本公開は2015年)
「長い間、映画化さえ許されなかった。5年前にようやく映画化権が解禁されたものの、日本やアメリカを含めた多くのスタジオが当時『ムーミン』の映画化を望んでいた。でもその多くは、ムーミンをディズニー作品のように大きな作品にしようと考えていた。そこで金のなかった僕は、僕のアイデアで描いた2分半のムーミンの映像をトーベ・ヤンソンのめい、ソフィア・ヤンソンに見せた。数日後、彼女が『あなたがムーミンの映画化権を獲得した』と言ってくれたんだ」

日本でムーミンを知ったフランス人監督が描いたムーミンとは?

2015年(舞台):フィンランド国立バレエ団による本格的なバレエ作品『ムーミン谷の彗星』が上演され、話題を呼ぶ。2017年、新演目『たのしいムーミン一家』が日本で先行上演された

2017年(施設):タンペレのムーミン谷博物館が、場所を市中心部のタンペレホールに移し、世界で唯一のムーミン美術館としてリニューアルオープン

2017年(アニメ):1978年にポーランドで放送されたパペットアニメーションシリーズ「Opowiadania Muminków」から原作の「ムーミン谷の冬」に相当する部分を中心に再編集、再吹き替えをした「ムーミン谷とウィンターワンダーランド」劇場映画として公開

2018年(絵本):アレックス・ハレディ作、セシリア・ヘイッキラ絵によりオリジナルの絵本シリーズが刊行される。日本では「クラシック・ムーミン」として刊行

ムーミンの新しい絵本シリーズを手がけたアーティストへのインタビュー
Adapting Tove Jansson’s stories for younger readers – an interview with two creators

2019年(芬)(英)(アニメ):フィンランドとイギリスの合作によるアニメシリーズ『ムーミン谷のなかまたち』が放送スタート

ムーミン谷のなかまたち | アニメ公式サイト
(117)新しいムーミンアニメ
Behind The Scenes at Moominvalley 🎥 Moomin Official

2019年3月16日(施設):埼玉にムーミンバレーパーク」オープン

【公式】ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ

2019~2020年(日)(小説):日本語版ムーミンシリーズの、翻訳改訂版が刊行される。
旧訳のテイストを残しつつ、訳をより原語版に近く、また文章を整え表現を現代風にするなどの変更を行っている。
また、楽しいムーミン一家に関しては1948年版の英訳版をもとに翻訳されていたものを、1968年版の原語版に基づいたものに翻訳されなおされているため、だいぶ大きく内容が変わっている。

https://www.moomin.co.jp/moomins/books/novels
ムーミン世界の原典「ムーミンの本」日本版が、新しくなります!
新版ムーミン改訂翻訳こぼれ話、はじめます

2020年10月:筑摩書房より、英語版ムーミンコミックスをもとにした「英語対訳 ムーミン・コミックス」が発刊

英語対訳 ムーミン・コミックス
【『英語対訳 ムーミン・コミックス』10/1発売!】オリジナルのコミックスが英語で楽しめる!

2023年9月(芬)(アニメ):フィンランドで1992年制作の劇場版「楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星」の再吹き替え版が上映

https://x.com/MoominOfficial/status/1702596932718252224?s=20
Muumipeikko ja pyrstötähti -animaatio elokuvateattereihin syyskuussa

2023年12月(アニメ):1978年にポーランドで放送されたパペットアニメーションシリーズ「Opowiadania Muminków」から原作の「ムーミンパパの思い出」に相当する部分を中心に再編集、再吹き替えをした「映画『ムーミンパパの思い出』」が劇場映画として公開される

映画「ムーミンパパの思い出」

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