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障害のある方々が、自ら得たお給料で自立する後押しをしたい 一般社団法人アプローズ 代表理事 光枝 茉莉子さん

障害のある・ないでお給料が低い、高いではなく、誰もが認める価値を提供し、自信をつけて施設を卒業し、社会を支えていける人をつくりたい。そんな人づくりや環境作りをされている光枝 茉莉子さんにお話を伺いました。

プロフィール
1984年神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部社会福祉学科卒業。
東京都福祉保健局で8年間勤務し、平成26年1月都庁在職中に起業。
2014年4月より一般社団法人アプローズ代表理事に就任。
2016年2月より株式会社アンフィニテ代表取締役に就任。

アプローズ南青山
一般社団法人アプローズが、平成26年4月1日に開設した、東京都指定障害福祉サービス事業所(就労継続支援B型)。大人の発達障害など、障害のある方が、仲間とともにフラワーアレンジメントの技術を学びながら働く場。アプローズの運営する花屋「BISTARAI BISTARAI(ビスターレ・ビスターレ)」では、花を通じたウェルフェアトレードを提唱する日本初のフラワーショップとして、心から喜ばれる花束・アレンジメントを創作している。 
 BISTARAI(ビスターレ)とは、“ゆっくり、ゆっくり” という意味のネパール語。こころやからだに障害のあるアーティストたちが“ゆっくり” と丁寧に完成させる作品に期待と祈りを込め“ビスターレ・ビスターレ”と名付けた。ビスターレは店舗を持たないアトリエスタイルのショップ。贈る方や贈られる方の想いにまで心を寄せたオーダーメイドの商品をひとつひとつ手作りしている。
 *ウェルフェアトレードとは“Welfare =社会貢献” と“Fair trade= 公正な取引” を掛け合わせた造語で、社会的弱者と言われている人たちの作る製品などを適正価格で購入することによる社会的支援活動のことです。

人間の成長する力って本当に凄い

記者 どうぞ宜しくお願い致します。

光枝 茉莉子さん(以下、光枝) どうぞ宜しくお願い致します。

記者 今お持ちの夢や目標をお聞かせ頂けますでしょうか。

光枝 近いところですと来年オリンピックがあるので、選手の持つヴィクトリー・ブーケの製作に弊社の障害者スタッフが関わらせて頂けたらありがたい、と思っています。他にも、障害者スタッフがデザインした花火を伝統花火師さん達に作って頂き、東京湾で打ち上げるオリンピック・パラリンピックの試行プロジェクトが企画されています。実際2年前に、成田の印旛沼花火大会でも打ち上げさせて頂いたことがあるので、東京湾でも打ち上げられたらいいな、と思っております。お花にしても花火にしても、自分が製作したり、デザインしたものを大勢の方に観て頂くことは、一生の思い出になりますから。
 また、現在オンラインショップのお花屋さんを運営しているのですが、実店舗を持つ目標もあります。多くのお客様に手に取って、買って頂くという体験を通して障害者スタッフに自信をつけてもらえたら、と思っています。
 アプローズ南青山は設立して丸5年経つのですが、障害者スタッフには、まずは自信をつけ、一歩踏み出す力を自ら養って頂き、私達は出来る限り背中を押して、どんどん社会に出て行って頂く、という方針でやらせて頂いております。20人位の方がこれまで就職で卒業されたのですが、卒業生の中には10年位家に引きこもり、人と喋る事が苦手な方がいたんです。いつも緊張された様子だったのですが、次第に笑顔が出てくるようになりました。それだけでも凄い感動でしたが、その方が弊社で初めて工賃を受け取った時、ボロボロと泣きはじめたんです。「自分が働いてお給料を頂けるなんて思わなかった。」って。最初なので本当に数千円位の工賃です。でも初めて親に頼らず、社会保険料を自分で払えるようになったということが、その方にとって転機になったようでした。人間の成長する力って本当に凄いと感じましたし、そうやって一人ずつ自信をつけ、自ら得たお給料で自立していって欲しいと思っております。

記者 今お持ちの夢や目標に対して、計画があれば教えてください。

光枝 花火の方は、全国の伝統花火師さん達で構成されている一般社団法人日本花火推進協力会の方々と一緒にさせて頂いているのですが、そのプロジェクト自体がまだ企画の段階なので、今は本決まりになるのを待っているという状態です。日本花火推進協力会の方々が、この事業所に来て下さり、花火に対する熱い話を語ってくださった時、障害者スタッフも花火師さん達の思いに自分達も応えないといけないと刺激を受け、頑張ってデザインをさせて頂きました。
 また、2019年6月、横浜に企業への就職を目指した就労移行支援事業所を作りました。2年間の期限の中で、段階的に企業への就職に必要なスキルを身に付ける事ができるので、もっと就職への確度が高くなる事業となっています。今までやっていたお花とは少し違う形にはなりますが、企業への就職に特化した支援事業所を作りました。

記者 夢や目標に対して、現実的に動かれている事はございますか?

光枝 ヴィクトリー・ブーケの方は、実際にチャンスを頂いた時にすぐブーケを作れるというわけではないので、日々お客様から頂く注文を通して基礎技術を積み、きちんと技術を身に付け、準備万端にしておくというのが大事だと思っています。
 人によって障害特性も様々ですし、脳梗塞や交通事故等で後天的に障害になられた方もいらっしゃいます。ですので、全てその方の特性に合わせて指導の仕方や指示出しを変え、技術指導をさせて頂いております。
 障害者スタッフをフォローするスタッフは、元々一般のお花屋さんや結婚式場で働いていた方々なんですが、そのスタッフ達も色々と試行錯誤しながら「この方にはこういう指導をしていこう」など、日々勉強しながらやってくれています。

このままずっと公務員をやってていいのかな

記者 夢や目標を持たれたきっかけというのは、何だったのでしょうか。

光枝 漫然と学生時代を過ごしていたので、就活を始めた時に何をやりたいかが見つからなかったんです。家族で公務員に就いている者が多かったこともあり、自然と公務員を選びました。福祉事業所の担当として、色々な施設に伺う中で、とても素敵な施設の代表や理事長さんとの出会いがありました。一生懸命、障害者スタッフの為に頑張っておられ、夢を実現されている姿を見たり、お話を聞かせて頂くと、本当に素敵だなと思っていました。
 でも仕事をしていても、自分の中で特にこれといって何かが積み上がっていく感覚がなく、このままずっと公務員をやってていいのかな、と私自身迷うところもありました。
 そんな中、25歳の時にたまたま『プロ論』という本を読んだんです。色んな業界で活躍されている方のインタビュー記事をまとめた本なのですが、それを読んだ時に、ズバーン!!ってカミナリに打たれたような衝撃が走り「これが仕事なんだ!!」って。これがプロの仕事なんだ、自分は何をやっているんだろう、って思ったんです。勿論仕事は真面目にやってはいましたが、もう一歩熱意が足りなかったり、一生を捧げたいかと聞かれるとちょっと、、、という状態でした。でも、その本を読んだ時に、こういう働き方をしている人達って、なんてカッコいいんだ!!と思ったんです。まさに自分が求めていたものだと思いました。

記者 大きな認識の変化が、きっかけになったんですね。

光枝 そうですね。まさに外からの刺激を頂いて、それをきっかけに自分の中で思いを形にしてきました。モヤモヤしている期間が5年位あったので、このまま一生公務員をやるのか、思い切って踏み出してみるのか、30歳までに決断しよう、って自分で期限を決め、30歳の直前、在職中に法人を作りました。
 「やった後悔より、やらない後悔の方が大きい」とよく言われますが、その言葉が、正に自分にズバー!!っと刺さったんですね。一生こういう思いを抱えて公務員をやっていくのは辛いな、と思ったのでチャレンジしました。

記者 最後に読者の方にメッセージをお願いします。

光枝 あれこれ悩むよりも、一歩踏み出した方が人生楽しいです。不安があったとしても、決断したら道は開けていきます。やった後悔より、やらない後悔の方が大きいので、皆さんもぜひチャレンジしてみて頂けたら、と思います。

記者 本日はお時間頂き、ありがとうございました。

光枝 ありがとうございました。

光枝さんに関する情報はこちら
↓↓↓

◇一般社団法人アプローズ HP◇

◇「BISTARAI BISTARAI」オンラインショップ HP◇

◇株式会社アンフィニテ HP◇

【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した、住吉と阿久津です。
会社や仕事が増えたとしても、最初の目的は変わらず、自然の流れに身を任されているあり方がとても印象的でした。素敵な笑顔の裏に、明確な軸を持たれている光枝さん。光枝さんのご活躍、心から応援しております!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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