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カリフォルニア州司法試験(California Bar Exam)におけるエッセイ攻略

追記(2019年7月28日)

【CAバーエッセイ出題科目事前公表について】

皆様、司法試験の勉強、本当にお疲れ様です。State of Bar CaliforniaがCA州ロースクールの学長に、数日後の今回の司法試験のエッセイ出題科目が誤って送ってしまったため、公平性の観点から受験生全員に事前に出題科目をメールで知らせたようです。

信じられない話ですが、メールを読まれていない方がいらっしゃるかもしれませんので、今回受験される方に念のため共有していただけますと幸いです。

受験生に送付されたメール、エッセイ及びパフォーマンステストの出題科目は、前川弁護士のブログにまとめられておりますが、以下が今回の出題科目とされております。

Question 1: Civil Procedure
Question 2: Remedies/Constitutional Law
Question 3: Criminal Law and Procedure
Question 4: Professional Responsibility
Question 5: Contracts
PT: Objective Memo – Evidence

NY Bar受験者含め、今回受験される皆様全員が納得のいくパフォーマンスができることを切に願っております。

はじめに

本ノートでは、カリフォルニア州司法試験(CA Bar)における自分の経験を踏まえて、CA Barの試験対策上肝となる、エッセイ対策に絞って情報提供させていただきたいと思います。私は2019 年2 月に受験した試験で合格しました。私の経験が今後CA Barを受験される方が無事合格される一助となれば幸いです。
CA Barの概要、一般的な注意点、MBE対策等は、2018年に合格した私の同僚のブログにおいて分かりやすく整理されておりますので、それらの解説はそちらに譲り、本ノートでは、(純ジャパである)私が実際に意識していたエッセイ戦略を中心に紹介したいと思います。また、CA Bar対策については、前川弁護士のブログも非常に有益ですので、こちらも参考にしていただければと思います。

※なお、ニューヨーク州司法試験(NY Bar)につきましては、増田弁護士のブログ酒井弁護士のブログ松田弁護士のブログの3つが直近のものとして参考になりますので、こちらをご覧ください。

CA Barの合格率・出題傾向

合格率は、直近4回だと、2017年7月が49.6%、2018年7月が40.7%である一方、2018年2月は27.3%、2019年2月は31.4%となっており、7月と2月で大きく異なります。これは、2月の方が合格するのが難しいということではなく、ロースクール卒業生が7月に受験し、そこで合格した人は2月に受験しませんので、相対的に7月の方が優秀な方の割合が高いということに起因するものだと思います。したがいまして、仮に2月に受験することになったとしても、上記の合格率の違いから不安になる必要はないと思います。もっとも、出題傾向としては、2月の方が、複数の科目が一つのエッセイで問われる複合問題やチャレンジングな問題が多いように思います。たとえば、今回2019年2月は、Wills and Succession(遺言及び相続), Trusts(信託法), Community Property(共有財産法)の複合問題で、Quasi-Community Property(準共有財産)の(離婚ではなく)死亡した場合の取扱いというレアな論点が正面から聞かれましたし、昨年の2月はCriminal Law and Procedure(刑法及び刑事訴訟法)でKidnapping(誘拐)が、Real Property(不動産法)、Constitutional Law(合衆国憲法), Torts(不法行為法)の複合問題で、Taking(私有財産収用)、Nuisance(生活妨害)、Trespass(不法侵入)等の少しマイナーな論点が問われました。一方で、2017年7月、2018年7月の問題はマイナーな論点が正面から問われたということはなかったと思いますので、今後2月に受験される方は、細かい論点も念のため目を通しておくのがよいと思います。(なお、このような傾向になっているのは、7月の試験ではロースクールを卒業したばかりの受験生が多数いるので、比較的オーソドックスな問いを出題し、2月はリピーターの割合も多いので少しチャレンジングなものも出題するという考えなのかもしれません。)出題予想については、直前期に出題予想や貴重な情報を提供してくれるサイトがありますので、私はこちらをよく見ていました。過去の出題リストはこちらで確認できます。なお、2019年2月の試験から、Professional Responsibility(法曹倫理)において直近の法改正が反映されるようになりましたので、それ以前の教材を利用されている方は要注意です。詳細は予備校本等でご確認いただければと思いますが、主な改正点はこちらで把握することができます。

エッセイでの対応方針(質よりも量)

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