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Routine

 真っ逆さまに落ちる夢を見た。
 覚醒。
 肺腑がぐるぐる蠢く感触。
 不愉快。残る。身体を起こす。
 頭痛。
 吐き気。
 何時ものこと。
 朝食。
 食欲なんてない。
 駄目元でおにぎりを口に含んだ。
 舌が米粒で押し込まれる。
 気色が悪かった。
 吐き気。えずきながら嚥下する。
 身体は重い。鉛のよう。重りの詰まったみたいな頭。振ると酷く痛む。米粒の流れ込んだ胃もぐるぐると厭な音を鳴らしていた。みっともない。
 サインバルタ。
 服用。
 何にも変わらない。プラセボを待ち望む。きっと効く。元気になれる。土台無理な話。分かってる。プラセボは急には来てくれない。
 脳の中を引っ掻かれる。
 嗚咽。溢れそうになりながら仕事をする。
 正常の振り。出来ているか? 分からない。わからない。
 薬の副作用。
 ほとんどない胃の中身が暴れる。
 口の中に唾液が溢れる。
 トイレに駆け込む。口の中に指を突っ込む。一本、二本。掻き回す。舌の根っこを押し込む。粘膜を引っ掻く。
 生半可にしか出来ない。怖いから。
 口の中からは何も出てこない。喉から間抜けな音が漏れた。それだけだった。
 薬は効いた?
 わからない。
 効いている?
 わからない。
 教えてほしい。
 無理な話だった。
 昼食。
 口の粘膜と食物が擦れる。
 寒気がする程気色が悪かった。
 薬は切れた?
 わからない。
 効いている実感もないのに。
 それでも働く。
 周囲に溶け込む努力をする。模範解答はない。
 間違えた気がする。
 どこを?
 分からない。
 でも間違えた気がする。
 全部間違いかもしれなかった。
 仕事が終わる。
 薬は効かずじまいだった。
 入浴。シャワー。水音の中で反省会。
 正しかった?
 間違い塗れだった。
 早く終わりにしたい。
 土台無理な話だった。
 マイスリー。
 口の中に入れても気色悪くない物。
 嚥下。
 夕食は粉末スープ。液体なら許せた。固形物。おぞましかった。
 眠剤はまだきちんと効く。
 四六時中の自問自答。
 眠剤が曖昧にしてくれる。
 自責が脳の中で解けて、薄められる。
 救いだった。
 冷えた布団に身体を埋める。
 薬で作られた曖昧な意識。一抹の幸福。
 目を閉じる。
 シャットダウン。

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