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一人で描く漫画、チームで作るゲーム

会社は恵比寿にあり、通うために借りたアパートは電車乗り換えで三駅だがチャリのほうが早かった。家賃は大学の頃と一万円くらいしか差がなく値切れた。探せば古いところは案外安い。

同期は同じデザイナー採用は僕以外女で、男はみんなプログラマーという比較的アウェイな環境に入社したが、ゲーム会社ということもあって基本的にゲーム・アニメ・漫画の知識が豊富でやりやすかった。

入社して毎朝のミーティングで課題など出され、フォトショップや3Dツールを触った。学生の時の遊びで覚えるより給料もらってやるほうがはるかに覚えが早かった。教えてもらえるし。

入社一週間目の宿題で、明日は架空のゲームの広告を作る、という課題が出たが思いつかず、当日のミーティング中にノートにネタ出ししながら書いた言葉が「前科一〇八犯」だった。そこで悪人の顔を描き、打ち首になったということで首に線を入れた。地獄の鬼に聖闘士みたいな鎧を着せたり、閻魔大王を女王にしたりしてみた。あ、これは漫画になるな、と思った。

3Dモデルを作る練習ということで、当時制作中のゲーム、メタルギアソリッドの主人公をプレイ用のカクカクモデルからハイクオリティにする、テクスチャも自分で描くという課題が出た。一か月で新人が作ったのものの中でいいものは海外宣伝用に使うと。初めて作るポリゴンモデルなので夢中で覚えた。男が自分だけなので筋肉・骨格の表現にアドバンテージがあった。完成品に他のデザイナーがレタッチを加え、初めて作った3DCGモデルはアメリカのゲーム雑誌の表紙になった。

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