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「物語れば愛。」/Anglo Japanese Brewing Company

 平成を生きる私達は、インターネットを開けば知りたいことが何でもわかる。SNSを使えば人との出会い方も変わるし、憧れの人のつぶやきだって覗ける。でもそれって、そればかりじゃつまらないんだ。インターネットの中には出会いのきっかけは転がっているけれど、それをつかむためには「えい!」と行ってしまえる心が必要だ。

 足を運ぶことでしか伝わらない温度感があるし、動く心がある。だから好きな人には会いに行くんだ。きっと、思い出が生まれるんだから。私は「AJB」のオーナー絵美子さんから話を聞いてそんなことを思った。絵美子さんが語る旦那のトーマス・リヴシーさんは意志を貫ぬくアーティストだった。その言葉は尊さに溢れ、私の心はプルプルと震えた。

 2014年、英国出身のトーマスリヴシーさんと絵美子さんがブリューパブ「里武士」をオープンした。このブリューパブはお二人が経営する「AJB(AngloJapaneseBreweryCompany)」が持つ店舗。ブリュワリーによっては定番ビールを醸造しているところが多いけれど「AJB」は同じビールを二度と作らない。それは、彫刻家として活動されていたブルワー、トーマス・リヴシーさんが一つの「作品」としてビールを造っているから。「作品を作っているからアーティストであって何を作っているかは関係ない。」と彼は言うと絵美子さんはまっすぐ私を見つめて教えてくれた。


 二人の最初のデートは彼の個展だった。絵美子さんはその頃から、アーティストとしての彼を見ていたのだ。彼のバックグラウンドを語る上で出てくるエピソードが「思い出のランデブー」だなんて、何てこった。素敵だ。
「アートはよくわからないけれど。」と言う絵美子さんが語るのは、アーティストとして確かな意志を持つ彼であった。絵美子さんはトーマス・リヴシーさんの作品を「色がものすごくきれい」「繊細」「ピースフルな作品」と言う。そんな作品づくりの対象がビールとなった今、AJBのビールは決まった種類に囚われず、作り手の面白さに溢れている。幅広い製法と、多様な味わいはブルワー自身のアーティスト性をストレートに表現しているのだ。
 「里武士」はいわば彼の個展とも呼べるのだろうか。アーティスト性を感じられるビールだなんてどぎまぎしてしまうが、その作品がビールであれば「これってどう思う?」だなんて会話も自然に生まれるだろう。にしてもそんな会話、美術館デートでひとつの作品を見る2人がするもののようだ。

イベント情報:https://wp.me/p9DLnw-3v

Anglo Japanese Brewing Company:http://anglojapanesebeer.com/

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あおにさい酒店(工藤葵)

人生と遊ぶきっかけをつくる架空の酒屋「あおにさい酒店」。イベント企画、撮影、執筆、店舗のボトルビールセレクト、コピーライティングなど手掛けています。
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