展開者の影

記憶者の天涯

結局のところ、記憶したことは全て書くしかありません。
書く事だけが全てを救います。

一般性のある人生も、普遍性のある人生も送っていません。我が人生は他の人の何倍もの混乱に満ちており、それはこれからも一切変わることは無いのです。
会社に入って少しは落ち着いていこうなどという意識は純粋に甘えです。会社に入った程度のことで、その人生が落ち着くわけが無いのです。

本郷キャンパス、最先端科学の中で世界の天井を支える人々を見て、そのあと関西のド田舎くだりまで来て、私は崩れてゆく世界の地面を支える人々と、彼らがもがき苦しむ地獄をその目に焼き付けることになります。
私も例外ではありません。苦しんで入院したり、パワハラを受けてすっかり参ってしまって精神科にも行きます。日本で一人の労働者として働くことの苦しさを、社会人として生活する中で全て味わう事となります。

私が見聞きし、そして経験することは全て紛れもなく日本の真実で、現実なのです。目を背けてはいけないのです。

力んでも仕方がありません。そんな状況に陥った世界を、自分一人の手で救うことなど不可能です。
私がすべきこと、それはただ記憶し、書き続ける事だけです。

私が見たもの、私が感じたもの、私が聞いたことは、どこまでも深淵なる記憶力の中に残り続けます。誰かが削除しようとしても、私の記憶を削除することだけは不可能です。
私がこの天涯で視たもの、識ったものは、記憶者たる私の意識の中に無限に残り続けます。

日本の産業が、世界に誇る「ものづくり」が、どうしてここまで凋落していったのか、崩壊していったのか。何故日本の労働社会はここまで崩壊してしまったのか。
私が辿り着いた天涯には、その答えが全て詰まっていたのです。

目を背けてはなりません。
ただ、己の両の眼でそれをしっかり見つめ、全てを記憶するのです。

いつの日か狂った日本が、狂った世界が死を迎えるその時まで、私は全ての狂気と苦痛とを記憶し、記録し続けるのです。

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