雑にまとめる、あすきょうのための3分講座。0008 UWFとMMA、そしてプロレスとは PART3
さて、UFCの試合を振り返って見てみましょう。
ホイスグレイシー対ウェインシャムロック。
ステップを踏んで、一気に距離を詰める。
タックルを仕掛けます。
タックルでは必ずしも上にならなくてもいい。
下からでもかかとを使ってコツコツと打撃を当てる。これを嫌がってか、足の関節技に入るシャムロックを、
千載一遇とひっくり返すホイス。
バランスを崩さずに上から打撃を当てる。
上から体重を乗せて逃がさない。
後ろを見せたシャムロックを「柔道着」を使う。これが正にこの時の最大の武器。
柔道着を使って、汗で滑らずに締める事ができる。
柔道着を使ったチョークスリーパー。何と、最大の武器は柔道着だった!
何でもありの大会だった。確かに下からの打撃やら、金的攻撃もありのルールで、まさにバーリトゥードであったが。
何と柔道着という武器。こりゃ、グレイシーが有利です。
剣道だったとしたら、竹刀を使わせてくれますか?
それはない。
この戦い方に慣れ、準備し、さらに柔道着まで使われては勝てるはずがない。
ほぼ同じスタイルで、ジェラルドゴルドーもチョークスリーパーに切って取られた。
もちろん、柔術自体がバーリトゥードに最適化して来た歴史があるから勝てるのではある。
ホイスの10倍強いと言われたヒクソンのバーリトゥードジャパンでの戦いを見てみよう。
倒されまいと思っても、倒されてしまう。
足を絡めて逃げられなくしている。
パスガードされるとなすすべなく。
距離を少し開けると、
上から殴られる。
近くても何もできない。
嫌がれば、
亀の状態になるが、こうなると、
また脇などを殴られる。
殴られる。
そうこうしていると、首が開く。
チョークスリーパーまでもう少し。
入った。しかも体重も乗ってる。
胴も締められ、逃げるわけにいかず、ギブアップ。
まさに詰将棋のようにセオリー通り。
これまでのプロレスなどにはなかった寝技での打撃。寝技での打撃は当然ながら危険。
それを嫌がる格闘家が多いし、ルールとしても寝技での打撃は致命傷を与えることもあるから、これまでの格闘技のルールでは禁止の場所が多かった。
だがグレイシー、そしてバーリトゥードが主流になるとこのルールでやらざるを得ない。
バーリトゥードとは、格闘技といいながら、かなり殺し合いに近い。
競技性を追求する格闘技からはバーリトゥードルールは厳しい選択を迫られるものだった。
似て非なるもの。
プロレス、特にUWF系は見た目から同じ格闘技に捉われやすい。
「プロレスとは格闘技なのか。」
「プロレスラーは柔術に勝てないのか。」
「日本人はグレイシーに勝てないのか。」
当時の格闘家、プロレスラーはグレイシー柔術を研究しながら、様々なことを考えた。
そんな中、UFC JAPANが開催され、トーナメントに出場した男がいる。
ある選手の代理として出場したその選手は、柔術の選手を破る。
→こちら
桜庭和志だ。
見事な腕ひしぎで柔術の黒帯を逆十字に切ってとった。
あの高田延彦の弟子だ。
そこで彼はなんと言ったか。
「プロレスラーは、本当は強いんです。」
この言葉にプロレスファンは酔った。
・・・果たして桜庭和志はプロレスラーなのかという議論はある。
スタイルはどうあれ、プロレスにプライドを持ってやっている人は、プロレスラーだと思う。
プロレスはいろいろなものがある。
そしてお互いに戦い合える。
船木誠勝も最近言っている。
「四天王なら、三沢光晴さんと戦ってみたかった。やるなら、四天王スタイルと、パンクラススタイル両方で。」
プロレスに答えはない。
そして、何よりも我々はプロレスが、プロレスラーが好きだ。
さて、桜庭和志も、この勝利だけでは終わらなかった。
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