「男女間モテ格差」と「非モテ男性のつらさ」

「『男女間モテ格差』は存在しない」と主張する人たち

「男女間モテ格差」とは、男女間に生まれつきある「性的需要」の差(女性がモテ、男性がモテない)のことである(筆者定義)。誰もが体感的に理解できそうなものだが、Twitterの世界では「「男女間モテ格差」なんてない」という主張も少なくない。例えば、植村恒一郎(哲学、ジェンダー研究者)は次のように述べている。

「男女間モテ格差」の根拠として、「交際率の差」「未婚率の差」「マッチングサービスの料金設定の非対称性」などが挙げられるが、直接的な根拠にはならない(間接的には十分だと思うが…)。そこで今回はより直接的な根拠を得るため、自主企画調査を実施した。

「男女間モテ格差」は存在する ~自主企画調査による実証~

【調査方法】
  ■調査名称:恋愛についての調査
  ■調査手法:インターネット調査
  ■調査期間:2019年8月19日(月)~2019年8月21日(水)
  ■調査対象:全国の20~29歳の男女
  (株式会社クロス・マーケティングのリサーチパネルより)
  ■標本サイズ:20~29歳男性:200名/20~29歳女性:200名
  ■調査企画:すもも(@sumomodane)
  ■調査実施:株式会社クロス・マーケティング

モテ度を測定するために告白回数を用いた。第一に、明示的な好意の意思表示であるため回答の正確性が望める、第二に、交際不成立だった好意も含めて把握できる。

〔過去告白をした回数〕→ 男性の方が多く告白している

〔過去告白をされた回数〕→ 女性の方が多く告白されている

「過去告白した回数」よりも、「過去告白された回数」において大きな差があることが確認できる。特に「過去告白された回数」が「0回」における男女差が大きく、男性は51.5%と半数以上が告白されたことがないのに対して、女性は25.0%にとどまる。以上より分布の点から「男女間モテ格差」があることが確認できた。さらに、カテゴリーデータを数値データに変換し、平均値、標準偏差、変動係数を確認する。

平均値をみると、「過去告白した回数」は男性1.66回、女性1.26回と男性の方が多い。一方、「過去告白された回数」は男性1.60回、女性3.03回と、女性の方が倍近く多い。平均値の点からも「男女間モテ格差」があることが確認できる。格差の構造をみるために変動係数(データのバラツキを異なる平均値間で比較できるようにしたもの)をみると、男性の「過去告白された回数」において他よりも顕著なバラツキ(変動係数1.58)が確認できた。つまり、男性の性的需要(告白される回数)は、二極化しており、モテる人はモテ、モテない人はモテないという構図になっている。

「モテ格差」によって多数の非モテ男性が発生する

さて、自主調査の結果より、以下の2点が確認できた。

①男性は女性と比べてモテない
②男性はモテと非モテの二極化の構造になっている(女性はそうではない)

したがって、男女の需要構造の違いを以下のように図示できる。

このような需要構造が生まれるのは、男性の場合、女性に選ばれる基準が明確(年収、学歴など)である分、人気者は女性のそれよりも一極集中しやすい傾向があるからだ。

鈴木ら(2018)は、大手企業の婚活サービスの会員の行動履歴を分析した結果、「ハイスペック男性に人気が集まる」という傾向を明らかにした。「100日あたりのお見合い申し受け件数」に影響を与える要因を分析した結果、男性のお見合い申し受け件数は、社会経済的条件(年収、大卒)などで説明できる割合が女性よりも高いことが明らかになった。

鈴木・須藤・寺田・小黒「学歴・収入・容姿が成婚と配偶者選択行動に与える影響::結婚相談サービスに内包されたメカニズム」( 数理社会学会「理論と方法」、2018年33巻2号)より引用

生涯未婚率に大きな男女差が生じるのもこのような需要構造を反映しているからだろう。

非モテ男性は恋愛でつらくなる

「①現代」「②日本」という状況では、非モテ男性は特につらい状況になりやすい。

「①現代」という状況についてみると、現代の若者は、自己肯定感が低く、告白の心理的ハードルが高い。また、他人の目を気にする傾向があり、告白によって仲間外れにされることを怖がる。また現代の女性は、学歴が高まったため男性に高望みをする(特に2010年以降)。また性に対する被害意識も高っており、男性にとってはアプローチの仕方によってはハラスメント扱いされるリスクになる。さらに現代の男性は、収入が少なくなっている。

「②日本」という状況についてみると、日本の女性は、世界的にみて恋愛に受動的である。そのためアプローチの負担は男性に偏在しやすい。また、日本ではソーシャルキャピタルが低いため、未婚男性は、孤立しやすく、幸福度も低い。簡単には恋愛から撤退できない状況がある。

まとめると、現代の日本の男性は、恋愛において以下ようなつらさがある。

〔現代日本の恋愛での男性のつらさ〕
①アプローチコストが大きい
:〔現代要因〕自己肯定感の低下で心理的ハードルが高い
②アプローチリスクが大きい
:〔現代要因〕仲間外れリスク、ハラスメントリスク
③アプローチ回数が多い  
:〔日本要因〕女性が恋愛に受動的
④アプローチ成功率が低い 
:〔現代要因〕女性が高望みをする/男性の収入が少ない
⑤恋愛撤退コストが高い  
:〔日本要因〕未婚男性は孤立しやすく、幸福度が低い

〔コラム〕:告白後ハラスメント
「恋愛についての調査」では「告白したことで経験したこと」をたずねている。男女とも様々なつらい経験をしているが、男性の場合「気持ち悪がられた」という経験が女性よりも高い。

近年「告白ハラスメント」という言葉がある。「告白することが女性に対する迷惑行為である」ととみなす風潮が高まっている。告白するということは勇気がいる行為であり、「気持ち悪い」という反応は、むしろ告白した人に対するハラスメントではないか。このような告白した人を必要以上に傷つけるリアクションを「告白『後』ハラスメント」と名付けたい。

非モテ男性に鈍感なモテる人たち

非モテ男性のつらさはモテる人には理解されにくい。「カフカと知恵の輪」の構成員である小保内は、以下のように述べる。

要約すると「恋愛に価値をおくからつらくなる。恋愛に価値をおくことをやめて精神的余裕を持てば自然にモテる」ということである。これは一見「正しい」雰囲気を醸し出している。しかし因果関係が逆である。精神的余裕は自然に出すことができない。だから恋愛に価値をおき、試行錯誤をして、成功体験を積み重ねることで、はじめて”本物の”精神的余裕が出てくるのである。小保内のアドバイスは役に立たないどころか、非モテの試行錯誤を妨げるという意味で、逆効果になってしまうおそれさえある。このように「非モテの現実」を無視したアドバイスが出てくるのは小保内がモテるからだろう。小保内は過去のツイートで以下のようなことを述べている。

モテている人のリアリティのない言葉は非モテ男性には響かないのである。

以下、私宛に届いた匿名メッセージを紹介しよう。モテる人には理解できない「リアル」が集約されている。

〔マシュマロに寄せられた匿名メッセージ〕
 恋愛相談とは少し異なるのですが、僕は何度告白しても、女性と恋愛関係を結べずにいます。
 僕が恋愛が出来ないのは女性との出会いが少ないからだと考え、女性と出会う回数を増やそうと、アプリで会えそうな女性を探しました。しかし、僕と会ってくれる人は現れず、結局「いいね」も貰えずアプリをやめました。
 どうして「いいね」がつかなかったのかを考えて、僕に魅力がないからだと考えました。だから魅力を補うべく、遊んでくれる相手に食事をごちそうしたりして、金銭で魅力を補って洋服や恋愛のアドバイスを貰いました。
 洋服をユニクロで揃えて、髪を切って髭を剃り。相席屋とかクラブ等に行ってみました。
結果は何も変わらず、お金だけが消えていきました。
 どうしてそうなったのかを考えた僕は、自身が女性に慣れていないからだと考えました。だから、僕は風俗に行って性経験をしてみました。
彼女たちが僕の相手をしてくれるのは、彼女たちが応援しているホスト達の為に稼ぐ為であることを知って、僕は疲れてしまいました。
 僕は、女性と性経験をして愛されたいです。僕は性経験の為に美しい女性を買う事が出来ます。しかし、その性経験には愛はついてこないのです。
 僕は、恋愛結婚とは誰でもできるものだと思っていました。僕がされたような事は例外で、母親は育児放棄せずに子供を愛して、妻は夫を、夫は妻を愛するものだと思っていました。
 僕はどうすればいいのかわかりません、神にもどうしようもない問題でしょう。
すももさん、僕に希望を、切り捨てられる少数にも幸せになれる希望を示して頂くことは難しいでしょうか?
長文失礼しました。

彼らは高望みをしていない。ただ「人なみに恋愛がしたい」だけなのである。このような人たちに「恋愛に価値を置くのをやめろ」とアドバイスをして、何の価値があるのだろう。何の役に立つのだろう。無神経にもほどがある。

女性の恋愛指南はあてにならない?

非モテ男性が、女性にアドバイスを求めると「清潔にしておけばいいんだよ」とよく指南される。たしかに、三木(2016)が、広島女学院大学学生636名を対象に実施した質問紙調査によると、「許容できない男性の条件」として「不潔」がトップである。

しかし、「恋人の条件」「結婚相手の条件」としては「清潔感・体臭」という項目は、かなり低い。文字通りに「清潔」にしてもモテない。

このようなズレが生じるのは、女性が「清潔にしておけばいいんだよ」というときの「清潔」とは「清潔感」のことであって、美しさ、爽やかさのある「イケメン」の言い換えだからだろう。女性の恋愛指南は基本的にあてにならないのである。

参考)三木幹子「女子大生の恋愛と結婚に対する意識調査」
(「広島女学院大学論集63巻」,2016年)
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005726980

〔コラム:女性のいう「やさしさ」〕
女性に「どんな男性が好き?」ときくと、「優しい男性」を答えるのが定番である。「優しい」という言葉をきいて、物ごし柔らかい奥手な非モテは「自分もチャンスがあるかも」と思うかもしれない。昨年ツイッター投票機能で女性を対象に「優しい男性が好き」というときの「優しさ」の意味に近いものをきいた結果、「気づかい・思いやり」「頼りになる、包容力」が大半を占め、「柔らかい、丁寧」はほとんどなかった。結局、ナヨナヨした優しさは求められておらずモテる属性(甲斐性がある、察せる)の男性が好まれているのである。

非モテ男性にとって有益なのは恋愛工学

非モテ男性に有益なのは例えば「恋愛工学」だろう。恋愛工学とは藤沢数希が、著書「ぼくは愛を証明しようと思う。」の中で提唱した概念であり「男性モテ=試行回数×成功率」を最大化する技術の総称である。恋愛工学では、進化生物学の視点から以下のような基本的な考え方をとる。

【恋愛工学の基本的な考え方】
・女性は、限られた出産で優れた遺伝子を残そうと男性を厳選する。
・よって、適応度の高い優秀な男性(イケメン、金持ちなど)だけを好む。
・しかし、女性は男性が優秀かどうかを客観的に評価できず、雰囲気や評判をあてにする。
・そのため非モテ男性でも「モテている」というシグナルを出せば、女性に選ばれることができる。

原作:藤沢数希、漫画:井雲くす「ぼくは愛を証明しようと思う。2巻」より引用

「モテているようにふるまえ」という提案は、モテる側の提案(例えば「精神的余裕をもて」「清潔にしろ」「普通にしてろ」)と似ている。しかし、恋愛工学では、①「試行回数」を重視し、②学術的根拠のある具体的なテクニックにまで落とし込む、そのため、モテる側の抽象的なアドバイスよりも結果につながりやすい。

「男女間モテ格差」を理解することが非モテ男性問題の改善につながる

「男女間モテ格差」を理解することは、非モテ男性問題の改善になる。それだけではなく、女性や社会全体のメリットにつながると考える。「男女間モテ格差」を理解すれば、男性は自身の恋愛弱者性に気付き、早い段階からモテるための努力をする。そうすれば女性にも選ばれやすくなるだろう。また女性は自身の恋愛強者性に気付き「もっと男性にやさしくなろう」と、自分からアプローチしたり、高望みをやめたりするだろう。このような意識の変化は男女平等や少子化対策にとってもよい効果があるだろう。

コンサルっぽい図(すもも作成)

フェミニズムが不都合な真実(「男女間モテ格差」)を隠す

さて、「男女間モテ格差」を理解することは、社会にとってメリットが多い。しかし、「男女間モテ格差」の存在を積極的に隠そうとする集団がいるのである。…それは、フェミニストである。

フェミニズムの入門書には「男女間モテ格差」について次のような書いてある。

(一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同 (著), 佐藤文香 (監修)「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた」(2019年)より一部引用)

…これはあんまりではなかろうか。

「女性がモテること」については「(ジェンダー非対称で)一見高くみえる」という詭弁を使い、進化生物学的な事実から目をそむけ、「恋愛で男性がつらいこと」については何の根拠もなく「恋愛至上主義のせい」と言い切り、科学的な原因の分析を放棄している。果たしてこれが学問なのだろうか?

女性はモテるし(今回noteの定量調査で実証済み)、男性がつらいのは現代日本において、女性が高望み状態にあり(過去note「日本女性の上昇婚志向」参照)、男性に性役割を期待する(過去note「男性のつらさの構造」参照)ことが一因としてあることは素直に認めなければならない。

事実を重視せず、特定の思想に固執する…。フェミニズムは学問ではなく、政治活動の類だろう。それを大学という学問の場で教えることは、本当にふさわしいのだろうか?(否ふさわしくない)



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すもも

男性社会の幸福な女性たち

日本は「男性社会」だといわれるが、女性の幸福度は高い。なぜそのようなことが起こるのか。
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コメント24件

今度のケースで言えば、端さんの指摘が
当たっている部分もあるのではないでしょうか?

「恋人の条件」「結婚相手の条件」において、
上位に入っている顔・ルックス、ユーモア・面白い、包容力・男らしさ、
身長・体型(スタイル)などは、人によって重視する人もいれば
あまり気にしない人もいて、ばらつきがあるのではないでしょうか?
正確・価値観が合う、などは圧倒的1位で恋人としても結婚相手としても
求められているので揺るぎなさそうですが、、、

そして、清潔感・体臭は、誰でもそこそこの順位に
位置づけてそう、というのもある程度納得できます。

この状態で、3つ選ぶ、というのを5つとか6つとかに増やすと、
清潔感・体臭の順位が上昇する、ということもありえるのではないでしょうか?

(まあ、「恋人・結婚相手の条件」と「許容できない男性の条件」の
ギャップについては、項目内容が色々違ってるとか、肯定的と否定的の
ニュアンスの違いが回答者の心理に与える影響とか他にも色々あるでしょうが、、、)

(続く)
また、「〇〇すればモテる」というフレーズには
大雑把に言って以下のような2つの解釈があり得ると思います。

1.〇〇すれば、モテ確率(期間あたり被告白回数とか、告白成功率とか)
  が、80%とか”高い”という何かしらの絶対的水準に乗ること

2.〇〇したときの、モテ確率の平均上昇率が大きい

1の意味では、すももさんの仰るようにそもそも女性の好みの分布は
集中する傾向があるので、清潔にしようが、お金があろうが、
男性は結局モテない、少なくとも女性のようにはモテない、つまり、
男性は清潔にしてもモテない、というのは正しいと思います。

しかし2の意味では、他の要素(顔、金、学歴etc)と比べて、
清潔度がUPしたとき、UPする前と比べてどれほどモテ度が
(平均して)改善するか、ということなので、その意味では、
男性は清潔にすればモテる、はかなり正しいように思えます。

実感としても、肌が汚かったり、体臭のあるイケメンよりも、
肌のきれいな、キレイ好きなフツメン(場合によりブサメン)のほうが
モテるというのもあるように思います。

(続く)
長くなってしまいましたが、結論として、
やっぱり清潔感は大事で、女性のアドバイスも結構当たってる
(2の意味で、ですが)、と思うのですがどうでしょうか?

まぁ、そうだとしても、男性はモテる人モテない人の差が、
女性に比べて圧倒的、というすももさんの話の大筋には
何ら影響するものではないですが、、、

あと、これは余談ですが、僕はすももさんの説になにかケチを
付けたいとかそういうのではないです。
むしろ、科学的、統計的、論理的に精緻な分析に基づいた
理論に勉強させてもらってます。
とくに、男女賃金格差が女性差別よりもむしろ、女性自身の
価値観・意思を反映してるというのを分析して、web上で
発信してくれる人ってあんまりいなかったと思うので。
いや非モテ女もつらいすよ...
自分以外の全ての女がちやほやされてるのに自分だけ酷い扱い受けるんですから...
男性はモテない人多い分、仲間が多いし、そこまで惨めな思いしないでしょう。
女非モテは男非モテの1/10しか存在しないかもしれないが、一人当たりの苦しみは10倍ある気がします。
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