男性社会の幸福な女性たち

盛り上がるフェミニズム

 近年、日本におけるフェミニズムが盛り上がりを見せている。「#MeToo」が2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」候補の30語にノミネートされたり、上野千鶴子氏の東京大学の入学式の祝辞が話題になったり、企業広告の何気ないジェンダー表現が次々と燃えている。

 特にジェンダー表現への圧力に関しては、2014年の人工知能学会の学会誌の「ほうきと本を持つ女性型アンドロイドのイラスト」の表現がネット上で批判されて以来、年々、ジェンダー表現に対するフェミニストたちの攻撃が増している。2019年は1~3月のたった3か月で、過去の1年分の件数が炎上しているというハイペースである。

漠然とした不満

 フェミニストたちの盛り上がりの背景には、日本社会を”ざっくりと”「男性社会」だと認識し、その中で生活することに対する漠然としたフラストレーションがあるように思う。

 統計的事実として多くの女性が日本を「男性社会」だと感じている。内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」では「それぞれの分野で男女の地位は平等になっていると思うか」という質問を様々な分野について訊ねている。その中で「社会生活全体」「政治の場」「社会通念・慣習・しきたりなど」という3項目において、約70~80%という大半の女性が「男性の方が優遇されている」と回答している。

 さらに詳しく分析すると、内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2000年2月調査)の「男性が優遇されている原因」をみると、「日本の社会は仕事優先,企業中心の考え方が強く,それを支えているのは男性だという意識が強い」「社会通念や慣習やしきたりなどの中には,男性優位にはたらいているものが多い」「女性の能力を発揮できる環境や機会が十分ではない」が上位にきている。

 つまり、多くの女性が「男性優遇」だと思っているものは、「女性という属性を理由に本人の意思に反して不当な扱いを受けた」という「差別」や「優遇・冷遇」の類ではなく「男性目線で動いているように見える社会」に対する漠然とした不満であると理解できる。確かに社会の重要な意思決定をする政治家も、管理職も男性の比率が圧倒的に多いので、そのように社会が見えてしまうのは仕方がないのかもしれない。

”結果の差”は差別なのか

 フェミニスト言説において日本が「男性社会」であるエビデンスとして世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」がよく引用される。「ジェンダー・ギャップ指数」とは世界各国の「経済」、「教育」、「健康」、「政治」の各分野における男女格差を得点化し、「総合得点」が算出される。日本の「総合得点」の順位は149か国中110位であった。これは、日本の「政治」の得点が低すぎることが原因となっている。

〇世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数2018」の得点と順位
・総合   0.662(110位)
・経済分野 0.595(117位)
・教育分野 0.994(65位)
・健康分野 0.979(41位)
・政治分野 0.081(125位)

 ところで「政治家の女性比率が少ない」ということは、「女性という属性を理由に本人の意思に反して不当な扱いを受けた」という「差別」や「優遇・冷遇」の類なのだろうか。

 「男性は女性よりも政治指導者として優れている」という意見に対して、日本の女性は「賛成計」が上位4位、「反対計」がワースト1位であり、「政治家は男性がするもの」という意識が強いことが示唆される。

 もし、「政治家になりたい」という女性が非常に少ないのであれば、「ジェンダー・ギャップ指数」を「女性差別」「男性優遇」を主張するエビデンスにはならないのではなかろうか。

 政治家における男女比のみならず、管理職の男女比、賃金の格差など、機会は平等だが、結果的に男女差が生じているものに対して「差別」や「優遇・冷遇」の類と混同する議論をよくみかける。

 以上から、近年フェミニズムは盛り上がっているのだが、その実は漠然とした「男性社会」(男性主導で動いているように見える)への怒りだったり、女性にも選ぶチャンスが平等に用意されていたにも関わらず選ばなかったことで生じた結果の差(賃金格差、管理職比率の差など)に対する怒りであり、女性は本当は切実に困っていないのではないのかという疑問が湧いてくる。

日本は世界一男性よりも女性が幸せな国

 もし、本当に女性たちが「男性社会」による「女性差別」によって切実に困っているのなら、幸福度は男性よりも低いはずである。

 世界価値観調査(2010)の幸福度(平均点:最小‐2~最大2点)をみると、男性は先進12か国中で8位で先進12か国平均より低いのに対して、女性は5位で先進12か国平均よりも高い。

 次に、幸福度の男女差(女性‐男性)をみると、日本の幸福度の男女差の女性超過は先進12か国で最も大きい。

 「男性よりも女性の方が幸福度が高い」ことは日本以外の多くの国にも共通するので女性特有の生物学的要因があるかもしれない。しかし、幸福度の男女差の程度が国ごとに違っているのは、国ごとの文化的要因の違いがあるからだろう。幸福度の男女差の女性超過が世界一である日本には、他国よりも「女性の幸福度を高くする(あるいは男性の幸福度を低くする)文化的要因」が強く働いていることが推測できる。

日本の女性の幸福度を高めているのは専業主婦

 そこで日本の幸福度の男女差の原因を探るために、年齢、婚姻状況、職業など基本属性別に幸福度の男女差を確認すると以下のような特徴がみられた。

・女性は「10代」(90年代生)「20代」(80年代生)の幸福度が高い。
・女性は「学生」「主婦」「退職」の幸福度が高い。
・男性は「未婚」「離婚」の幸福度が低い。
・男性は「収入階層意識が高い層」の幸福度が高い。

 日本の幸福度の男女差の女性超過に影響を与えているのは、「専業主婦」の幸福度の高さである。専業主婦の幸福度1.33は女性全体の幸福度1.22より高い。また、日本は女性の主婦比率が30.3%と先進12か国で最も高い。

  専業主婦を搾取されている存在とみなすフェミニズムの言説に反して、日本の女性は専業主婦であることを肯定的に捉えているようである。

 このような日本の「女性が男性の経済力に依存することが肯定される文化」では、男性の生き方が限定される。

 「男性は収入階層意識が高い場合のみ、女性並の幸福度にまで高まる」という事実が示唆するのは、「男性は経済力をつけなければ幸福になれない」ということである。

 恋愛・結婚における力関係では女性が選ぶ側であり、女性の意識が変わっていかない限り、男性の幸福度の向上も男女平等も遠のくだろう。

日本の未婚男性は怒っていい

 日本の幸福度の男女差の女性超過の原因として、幸福度の低い男性の存在も見逃せない。日本の未婚男性の幸福度得点は0.51と先進12か国中最低である。また、男性に占める未婚男性の割合は約3割と少なくない。

 時系列の推移をみても、未婚男性の幸福度の低さは2010年の一時的なものではなく継続的なものだと確認できる。

 日本の未婚男性の幸福度の低さは、未婚率が高まり人口ボリュームの多い層だという点を踏まえると大きな社会問題だと言える。

 未婚男性は、未婚女性と比べると、社会階層が低く、健康状態も低く、人生における家族と友人の重要性も低い。

 近年のフェミニズムは「わたしたちは怒っていい」という掛け声のもと「ヒールの靴が履きにくい」とか「裁判所はおかしい」と怒っているが、本当に切実なことなのだろうか。本当に「怒っていい」のは幸福度がここまで低い未婚男性ではなかろうか。近年のフェミニズムは、幸福度の高い女性に対する「過剰サービス」になっているのではないか。

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すもも

男性社会の幸福な女性たち

日本は「男性社会」だといわれるが、女性の幸福度は高い。なぜそのようなことが起こるのか。
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コメント6件

分析が不十分です。読むに耐えないので、もうちょい詳細に調べてから記事にしてください。女性が感じている差別が見えないのであれば、見えないことをもっと反省して掘り下げてください。私達の差別を見えないからって勝手に「ないこと」にしないでください。
女性はそもそも仕事なんかしたくないというのが読み取れる、男だって仕事なんかしたくないんですよ本当は。
こんにちは。興味深く拝見させていただきました。なるほど確かに美味しいところにばかり鼻は聞くわけです(代わりにデメリットに気づかないか、敏感で避けて通る)。
データと、主張されていることが全体的に噛み合っていないと感じる文章でした。

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2000年2月調査)の「男性が優遇されている原因」をみると、「日本の社会は仕事優先,企業中心の考え方が強く,それを支えているのは男性だという意識が強い」

→ こちらを引用された後に、女性が感じてるのは「男性目線で動いているように見える社会」に対する漠然とした不満である。と結論付けているのがよくわかりませんでした。

この調査で59%の女性があてはまると回答している「社会通念やしきたりが男性優位なものが多い」は女性に対しての「優遇・冷遇」に当てはまると思います。
このような内容を全く考慮せずに、「漠然とした不満」と結論づけるのは少々無理があります。
どちらかといえば「漠然」ではなく「具体的」な不満ではないでしょうか。


日本人男性が不遇で抑圧された環境にいるというのは確かにその通りで、解決すべき問題だという点はとても共感しました。
男性も女性も幸福度がともに上がるように、生きやすい世の中になってほしいですよね。
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