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骨を埋めたい故郷はありますか?

番組の中で、閉鎖された街にお骨をまいた家族の話が印象的だった。
私自身が進学や就職で割と転々としていることもあって、住む場所へのこだわりが薄い分、決して住みやすいとは言えない環境で住み続け、そこに骨を埋めたいってどういう気持ちなのかととても興味が湧いた。

チリのアタカマ砂漠にいる3つの家族の生活を紹介している。
どう考えても不便でしょという環境なのだが、どの家族もこの場所に住み続けたいという考えを持っていた。それぞれの生活スタイルは違うのだけど、もっといい暮らしをしたいといった考えは1mmもない気がした。足りないものではなく、今あるものを大切にして生きていた。
なんでそういった雰囲気になるのかなと思ったのだが、このなんにもない砂漠だからこそなのかもしれない。見渡す限りなにもなく地球剥き出しのような環境に水が噴き出している。この環境だからこそ、生活している人々は資源は有限であることを本能的に受け入れているのではないだろうか。
最近SDGsやサスティナビリティというワードがよく聞くようになったけど、正直ピンと来ていないし、むしろそういうキャッチーなワードをマーケティングに使っている感じにうんざりする部分があった。アタカマ砂漠での生活を見ることによって、私の感じていた違和感みたいなものは間違っていなかったかもと思えた。もっと根本的なサスティナブルを考えるきっかけにもなった。(ちなみに私はコンビニでもビニール袋をもらうし、ストローもプラスチックがいいタイプの人間)

また、街って人間が作り出した空間なんだと改めて思った。硝石という鉱物を採取するために多くの人々が移動し、そこに家、学校、デパート、劇場といった建物が造られていた。街に向かうまでは本当に何もない砂漠が広がっているのだけど、突如街というエリアが現れる。私はいわゆる都市にしか住んだことがないので、街をすでに存在しているもの、いやむしろ当たり前すぎて存在を意識したこともなかった。何もないところから、人々が当たり前に暮らす街というものを作り出せる人間の凄さと、自分で街をつくれば愛着というものも生まれるのかもしれないと思った。

堤さんと現地家族との距離感も心地がいい。あと、最後の写真もいい。
旅行では絶対行かないであろう土地に暮らす人々の生活を覗き見できる、そんな番組であった。

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