過活動膀胱と心因性頻尿と人生の話

私は過活動膀胱かつ心因性頻尿の高校生だ。

↓かなり大雑把な説明

過活動膀胱→少量の尿で膀胱が反応してしまい、強い尿意が頻繁に起こる症状。40歳以上に起こることが多く、「過活動膀胱 グラフ」で画像検索をすると横軸が40からはじまるグラフをたくさん見ることができる。

心因性頻尿→ストレスや緊張で尿意を感じてしまう症状。トイレのことを意識すると起こりやすく、集中しているときや寝ている間は大丈夫なことが多いのが特徴。

人生→急にはじまり急に終わる

この文章は、過活動膀胱や心因性頻尿や人生に悩んでいる人に向けて、「私はこんな感じですよ」と伝えるために書いている。何かの参考になればいいな~でも別にならなくてもいいな~と思う。


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去年の夏、授業中に突然強い尿意を感じた。これはまずい、と即座に立ち上がってその勢いで教室を飛び出した。先生に一言かける余裕と理性が残っていたのが奇跡だった。その日の残りの授業でもかなり強い尿意が襲ってきたが、このときは気合いで耐えた。もともとあまりトイレに行かない方(学校で一度も行かないこともザラ)だったため、授業中に2回もトイレにいくのはさすがに、と思っていたのかもしれない。そのときは、なんか今日トイレ近かったな~と思うだけだった。

その数日後、友達とカラオケに行ったときに症状は起こった。トイレに行きたすぎて一曲歌いきれないのだ。歌に集中してもずっと尿意があったので、この時点では膀胱炎だったと思われる。友達が歌っている間も必ずトイレに向かっていたため、その日に20回以上は行っていたと思う。友達には本当に迷惑をかけて申し訳ない…

そのカラオケのあと、泌尿器科に走った。「膀胱炎みたいな感じですかね?」と聞かれたので、ああ多分そうです~と適当に答えたら0秒診察で薬をいただいた。適当に答えるな。膀胱炎は膀胱が炎症を起こしている状態なので、水をたくさん飲んで炎症の原因であるウイルスをながしてあげてくださいね~ちゃんと水飲めば数日で治りますよ~という説明を受けた。水をたくさん飲んだら数日で治るんだ~よかった~と安堵し、ルンルンで帰宅。水をたくさん飲んだ。

あれ?治ってないぞ?と思ったのは次の学校のとき。夏休みの中の登校日で、膀胱炎の薬をもらってからは数週間経っている。当然ほぼ治っているものだと思っていたのだが、そこには依然として強い尿意があった。おかしくない?まだ治ってないのかな?膀胱炎2(ツー)になっちゃったのかな?と思いつつも、水を飲み続けた。そして夏休みが終わって学校が再開されると、恐ろしいくらい頻繁にやってくる強烈な尿意が浮き彫りになった。「これ治ってないわ」とようやく悟る。またもや病院へ。

別の泌尿器科で、過活動膀胱との診断を受けた。診断を受けたとは書いたが、これは尿が正常(膀胱炎ではない)かつ、過活動膀胱のチェックリストで基準点以上であれば診断がおりるものらしい。漏らしたことはないので中等症。過活動膀胱の漢方薬、清心蓮子飲(セイシンレンシイン)を処方してもらった。

薬を飲みながら、全く引く気のない尿意に耐える。私は過活動膀胱のことを学校の誰にも言っておらず、集団の中で座っていると緊張してしまう、とだけ言っているため、ただただ孤独な戦いだ。実際緊張はするし、座っているより立っている方が尿意を感じにくい(焼け石に水だが)ので、教室の後ろで立たせてもらって授業を受けていた。どうしても耐えられなくなったら外に出て呼吸を整えた。どれだけ集中していてもそばには必ず尿意があった。言ってしまえばなにか変わることもあるのかもしれないが、症状を言うとからかわれるのを身内で学んだため、人に言う気が起きなかった。本気で退学を考えた。しかし、学校をやめても過活動膀胱が治るわけじゃないな、と思い通い続けた。ほとんど意地だった。

そして全然効いていない。頼みの綱の漢方薬は、びっくりするほどなんの効果ももたらさなかった。再度泌尿器科に行き、「すみませんびっくりするほどなんの効果もないです」と言った。新たにベオーバという薬を処方してもらった。まだ長期処方ができなかったため、この後は処方箋をもらうために頻繁に泌尿器科に通うようになった。通院だ。

新しい薬は、前の粉よりはるかに仕事をしてくれた。座っているといつもの強烈な尿意が襲ってくるが、立っていればいくらかマシになった。授業中にトイレに行くこともなくなって、休み時間に済ませればなんとか切り抜けられるようになった。ただ水を全然飲まなくなったので、尿意→トイレに行く→数滴しか出ない→トイレ出た数分後に尿意 のループがキツかった。かといって水を飲むと尿意がさらに加速する。このあたりから過活動膀胱より心因性頻尿の面が強く出てきている。

症状がそこそこ落ち着いてよかったね、と思ったところで冬が来た。寒いとトイレが近くなる。私はまた尿意の波にのまれてしまった。以前は座っていられた場面で我慢ができない、トイレに行く回数が増えている、などの変化を受け、私は泌尿器科にかけこんだ。副作用の恐れもあるが強力な薬、トビエースを処方してもらった。

トビエースは強かった。飲み始めて一週間で尿意が抑えられているのを実感した。ベオーバを飲んでいた頃とは明らかに違う。完全に治ったわけではないし、座るといつも通りだが、意識しなければ大丈夫なくらい尿意は軽くなった。副作用として口内乾燥が起こる可能性があると聞いていたが、それも全くない。運がよかった。

今私はトビエースの力を借りて、なんとか普通に生活を送っている。座っていられないのは相変わらずなので、なるべく立たせてもらいながら生きている。曖昧なことしか言わない私を気遣ってくれる周りの人には本当に感謝してもしきれない。ありがとうございます。

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これを書いていて、「ちゃんと頻尿のこと言った方がいいのでは?」と思ったが、この症状はあまりにも人の悪意にさらされすぎるので、少し慎重に行動をとっている。尿意は限界値が想像できるからなのか、「大丈夫でしょ」「そんな泣くほどのことでもなくない?」「またトイレ?」と言われることも少なくはない。こちらの苦しみを理解しようとしなくてもいいので、否定だけはやめてほしい。否定されると悲しいから。

過活動膀胱や心因性頻尿持ちの人は、尿意に耐えながら生活をしている人がほとんどだと思う。尿意に耐えていると精神がつかれるので、ほどほどに休んでほしい。そして、もしあなたの周りに頻尿の人がいたら、やさしくトイレに送り出してあげてほしい。

私は今後も理不尽な尿意と付き合っていくことになると思うので、もうこういうものだと割り切って生きていこうと思う。受験のときはトイレに近い教室にしてもらうつもりだ。座って尿意に耐えながら問題を解くとかなり点数が落ちるため、正直どうなるかは全くわからないが、こればっかりは仕方がない。覚悟を決めて前を向こうと思う。

私の人生は最高にはならない。頻尿になっていいことなんてひとつもないし、ただただ気分が悪いだけだ。その気持ちを否定する必要はない。この先の人生で何が起ころうと頻尿は最悪だ。ただ、最悪な頻尿のことを少しでも忘れられるような、なにか素敵なことを見つけられたらいいなと思う。そのために私は前に進むのだ。