シュナ奇行録「護摩屋敷編」

シュナイダーはジムに通うようになって、姉の古いチャリを乗り回していた。近所の老人や子供を颯爽と追い抜くことで自己肯定感を高めようと試みていたのである。
そんな悲しい日常をすごしていると、突然友人から連絡がきた。
ツーリングに行こうというお誘いだ。
人に飢えて餓死しそうになっていたシュナイダーは二つ返事でチャリをセカンドストリートにぶん投げ、バイクに跨ったのであった。

2時間ほど見たくもない友人のケツを眺めながら峠を攻めていると
護摩屋敷というところに着いた。
ここは名水が湧き出る霊験あらたかな場所らしい。
しばらく眺めていると弱虫ペダルみたいな恰好した人が現れるや否や
ものすごい勢いで岩から染み出てる水をちゅーちゅー吸い始めた。普通に怖かった。友人は「授乳中の赤ちゃんみたい」と言っていた。

しかしシュナイダーはとんでもないことに気づいてしまった。
看板が苔むしてて気づかなかったが「生水での飲用禁止」と
書かれているではないか。あわてて赤ちゃんペダルに
「もし、生水は危険ですよ。」と声をかけたが
「ダァオ」と一喝されてしまった。
なるほど、本当に赤ちゃんだな。と思って我々はそっと離れた。

峠を攻め終わって肉をシバいていたら友人が見たことない笑顔で
「あそこ、先々月の水質調査で大腸菌が検出されてるよ」
とPDFを開きながら爆笑していた。
赤ちゃんペダルの無事を祈るばかりである。

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