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近くて遠い人。

昨日の夕飯時、スマホでたまたま出てきたグレース・ケリーの画像を見た夫がちょっと鼻高々に、「これ、オードリー・ヘプバーンだよね」と言ったので、秒速で「グレース・ケリー」だと訂正しておいた。

「グレース・ケリーって誰?」
オードリー・ヘプバーンと同時期に活躍した、この泣く子も黙る超セレブを知らない人が、まだ、しかも身近にいたことにちょっと驚きを感じながらも、
「ヒッチコック映画のヒロインで、絶頂期にモナコ公に嫁ぎ、モナコ公妃になったヘプバーンに勝るとも劣らない有名人」だと答えておいた。

たしか去年映画化もされ、多少話題になったはずだが、ヘプバーンは知っていてもグレース・ケリーを知らない男の人はいるのかもしれない。

「あ、ヒッチコックなら知ってるわ!」

私はサスペンスが大好きなので、さすがにヒッチコックの名前は誰もが知っているものと思っていた。
チャップリンくらいの有名人だろうと。

「ヒッチコック知らない人はいないでしょ。サスペンス映画の巨匠で、『めまい』や『鳥』なんかの代表作があるけど」と私。

すると夫がそれに合わせて言った。
「あと、あれ、時計じかけのオレンジ!」

たしかにハリウッド女優やハリウッド映画に詳しい男と結婚したつもりはなかったが、年齢もほぼ変わらず、育った場所も同じ県内。
環境は多少違うとは言え、当然同じ文化を共有していると思っていたが、ふとした会話で何となく文化背景が違うことを感じる時がある。

多分、付き合っていた頃や結婚当初は、こうした「違い」が新鮮であり、可愛く思えたものだ。
しかし、自営業のため同じ時間を共有していることもあり、価値観も同じ、見ている物も同じという時間を過ごすようになり、普段は違いを感じることがほとんどない。
いや、二人の違いをすり合わせていくのが結婚生活なのだから、年数が経っていくと明らかな違いを探すことの方が難しくなるものだろう。

ふとした事で、ハッキリとした違いを持つことを再発見した夜。
そんな二人が、仕事や生活などの色んな場面で話し合い、妥協し、すり合わせていくこと。
それ自体がほとんど奇跡と言えるのかもしれない。

芸能人の結婚ラッシュにともない考えたこと、というわけではないが、誰しもが普通にしている結婚、そして離婚。
今日も誰かが、自分と違う誰かと離れたり、くっついたりしながら、お互いの違いを認め合っているのだろうか。

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