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何も考えずに描くときに出る癖の由来

模写をするときは、まず対象を注意深く観察して、丁寧に丁寧に再現しようとする。その作業は、最初から最後までカロリーを大量に消費するのだけど、特にどういうところに消費するかというと、自分の気持ちいい描き方を無視して(というか反して)腕を動かさないといけないストレスと戦うところだと思っている。

だいたい、描いていて、てんで気持ちよくない。スラッとか、シャッとか流れるような曲線なんて世の中にほとんどないんじゃないだろうか。

「これって…こんな形になってたっけか…?」とか「思ってたより起伏がなかったな…」みたいな認知との乖離に苦しんで、う〜んとか言いながら描くのである。

そういうのをずっとやっていてもしんどいから、たまには何も見ずに自由に想像しながら描いてみよう!と思っては、おもむろに適当にペンをクロッキー帳に走らせることもしばしばあったりする。

下の絵は、「首を少しかしげている長髪の姉さん描こ」とぱっと思いついて描いてみた絵。顎の下あたりがちらっと見えるくらいの角度でかしげていて、若干見下ろすくらいの感じがよい。自分で描いておきながらなんだけども、そういうのを描きたかったんだから、いいんだよ別に、自分で褒めたって。

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最初に適当にアタリをとってバランスを取ったら、あごやほっぺあたりの輪郭を描いていく。今度は目や鼻、口を描いていき、だいたい前髪を描くあたりで自ずと人間っぽい形になっていく。そういう様を眺めるのがなんとも気持ちいいので、お〜っとか独り言をたまに言ったりする。

ところが、ノリとしては自由に描いているつもりなんだけど、頭の中では過去描いた模写の記憶を掘り返していることに気づく。

「目ってこういう描き方するとリアルだったけな…」とか「唇はこのへんに光沢があるとそれっぽかったよな…」とか、そういうことばかり考えていて、こういう風に描いてみよう!みたいな自分なりのクリエイティビティ(笑)はいつの間にかどっかにいってる。

何も考えずに描いているように見えて、その筆致は実は過去に模写した別の作品のトレースの集合体だった。

結局、自分が描きたいと思っている絵を描くには、やたらめったら模写して記憶をためていくしかないのである、っていうのが最近分かってきた。

よし、これからも好きなイラストをいっぱい模写していくぞ!…と締めたいところなんだけど、絵を描きたいと思うタイミングって本当に急だから、コンスタントに描いている人ってすごいよなあ…。