書評

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ノート

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明

約四年前、私はネットでとんでもない鬼畜小説を書いてる人がいる事を知り、著者による「他人事」を購入し、あまりの気持ち悪さに本を捨ててしまった記憶がある。

同著者の代表作「DINER」もその頃購読し、楽しく読ませて頂いた。現在ヤンジャンで連載している。調べたら今度藤原竜也主演で映画化するみたいですね。
何がきっかけかは忘れてしまったが私は再び著者の短編集を購入し、読了したのだがやはりとんでもない内容

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自省録

わたしが大好きな本だ。
マルクス・アウレリウスはA.D121年頃の人で、ローマ皇帝と言うとても立派な役職についていたが、この本を読むと人間の心は立場も時代も違えど、そんなに変わってない様に思う。

要は多忙の間に彼が残した心構えやメモを纏めた本なのだが、名言だらけだ。名言が多すぎて、名言にアンダーラインを引くより、あまり名言じゃない文にアンダーラインを引いた方が効率的だ。

ここでは私が特に気に入

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闘争領域の拡大 M・ウェルベック

惡の華の書評を書こうとしたらとんでもない書籍に出会ってしまい、二日で読了してしまった。
書かれている内容は純粋な人には劇毒にしかならないものだ。

劇中で語られている闘争領域とは社会内における、競争の事である。
それは時代と共に多様化し、拡大していく。容姿、資産、仕事、セックス、愛、これらの獲得の為の「闘争」の中にいるのだーーと言う思想がテーマの作品だ。アメリカンサイコに少しテーマが近いかもしれな

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若きウェルテルの悩み ゲーテ 高橋義孝訳

余りにも悲しい、物語である。
主人公ウェルテルは心に傷を抱えた純粋な青年で、彼がワールハイムと言う土地でシャルロッテと言う婚約済みの女性に恋に落ちると言う、嫌な予感しかしないストーリーである(その予感は的中してしまう)

ウェルテルが友人(ウィルヘルム)に送った手紙を基に小説が構成されている(書簡体小説と言うらしい)
これによりウェルテルの激烈な内面が叙情的に表現されており、叶わぬ恋によりその精神

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マルキ・ド・サド「美徳の不幸」澁澤龍彦訳 ➁

前回は美徳の不幸の悪人に着目したが、今回は善人である、主人公ジュスチーヌに着目してみよう。

二言目には「神がそんな事を許しません!」とか「必ず天の裁きが下ります!」とか「ああ、そんな恐ろしい事を!」とか言う女の子だが、案外狡猾で恩着せがましいところもある。

不幸な生い立ちである事は確かなのだが、行く先々で他人を信用しては、自分の身の上話をして、同情を誘い、助けてもらおうとする。何十回同じ失敗を

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マルキ・ド・サド「美徳の不幸」澁澤龍彦訳 ①

読了したので、感想

サドといえばサディストの語源になった人。
昔から気になっていたので一読した。

異常な程、道徳的で誠実で善人の少女が世の悪にひたすらひたすらいじめられまくる物語である。
善人と悪人が過剰なほど両極端に描かれている。

あらすじはいいとこのお嬢さんがある日突然、家が没落して天涯孤独の身になる。彼女が救いを求めて誰かに助けを乞うたびに肉体労働を強いられたりレイプされたり、ムチで

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