見出し画像

就活用製薬業界の考察①

就職参謀です。ほったらかしになっていた業界研究のマガジン第1号は製薬業界全体の動向について考察します。業界研究用のサイトはたくさんあるので、ここでは一般的な内容ではなく業界の喫緊の課題やそれに対する企業の対応状況について記載したいと思います。

1.製薬業界の周辺環境

おそらくどこのサイトでも言われているのが、医薬品の薬価(値段)の毎年改訂といって、徐々に薬の値段が下げられる制度が近年取り入れられた事です。日本はもともと国民皆保険が充実していて、高い薬価の薬でも負担率3割で使用できる恵まれた環境でしたが、高齢者人口の増大によって医療財政が逼迫していて、医薬品の薬価部分を公的保険だけでカバーする事が難しくなりつつあるという状況です。よって薬価を下げる→保険からカバーする分の金額を減らす→少しでも国民皆保険を維持する、という戦略を政府が取っている訳です。しかし、製薬会社からしたら苦労して開発した新薬の薬価がバリバリ下げられていく訳ですから、激しい反対意見が出ました。以下ご参考ください。特に海外製薬メーカーからは日本市場への期待が下がったとして厳しい意見が出ており、一概にグローバル開発中の新薬が日本でも売られる、という状況が当たり前で無くなる可能性も否定できません。ドラッグラグならぬドラッグロスの危険性すら感じる状況です。

2.業界の課題

こちらも色々ありますが、就活用としては以下のネタが考えやすいと思います。

①DXの推進

②リアルワールドデータ活用

③AI創薬

まずDXですが、デジタルトランスフォーメーションの略で、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる、という意味合いです。これを製薬業界でやると、従来は紙やFaxでやり取りしていた医師とのコミュニケーションが改善され、より医師が求める情報に合わせたマーケティングが可能になる、製造ラインの効率化とコスト削減、創薬や化合物ライブラリーの互換化など多岐に渡る利点があります。一方でDXで何をするのかを戦略的に考えないと何をしても意味が無くなるため、やたらとDXやデジタル化を標榜するだけの企業はITコンサルの餌食になりやすいです。

リアルワールドデータ活用はDXと似てますが実診療で得られている服薬記録や検査、治療内容などの大量のデータベースから新薬や既存薬の安全性や有効性に関する評価に耐えるデータを抽出して解析しエビデンスを作る作業を指す、と理解していれば就活用としては十分です。ぶっちゃけリアルワールドデータ活用の考え方や定義にこれという規制は無いので、各社好きなようにやっている側面が強いです。以下参考ください。

最後はAI創薬。といってもAIが勝手に薬を作ってくれるのではなく、医薬品候補の物資の探索やips細胞病態モデルの構築、評価プロセスに対してAIによる網羅的検索や開発可能性の数値化などを導入して創薬を早めようという動きの事です。こちらも各社取り組みがまちまちで、機密に関わる内容ですので公表される情報は当たり障りない範囲ばかりです。なかなか就活の企業研究としては差別化が難しい所ですが、新規化合物の開発スピードが早い企業はAI創薬をしている、と読むくらいでしょう。

まとめ

とりあえず知っとけば素人に見られないくらいの情報は載せてみました。次回は新卒採用で出てくる職種解説をします。

助太刀感謝いたす